130124_遺族に対する取材のあり方を問う。岩上安身連投まとめ

まとめました。
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岩上安身 @iwakamiyasumi

今から約三十年前、駆け出しの週刊誌記者の頃、ある有名人の葬式の取材に行かされた。報道陣はここまで、という仕切りがあり、そのすぐ向こう側では読経が行われていた。その距離を詰めることは、葬儀の厳粛さを損なうであろうと十二分に予想された。

2013-01-24 03:25:33
岩上安身 @iwakamiyasumi

続き2。だが、報道陣の何人かは不服をあらわにし、「もっと前へ行かせろ」と遺族側の喪服を着た方々に詰め寄った。もみあいになり、葬儀場が騒然となった。先頭に立っていた1人のカメラマンが振り返り、報道陣みんなに向かって「おい! みんな! 突入しようぜ!」と大声をあげた。

2013-01-24 03:29:57
岩上安身 @iwakamiyasumi

続き3。あの時の現場の異常な空気を、今も忘れない。人の死を悼む厳粛な葬儀の場を踏みにじり、荒らす権利があると思い込んでいる、そういう「群れ」の中に自分も身を置いていることがたまらなく不快だった。本当に制止をきかず、彼らが突破しようとしたらどうしようか、と考えた。

2013-01-24 03:36:49
岩上安身 @iwakamiyasumi

続き4 結局、「突入」は制止されたが、後味の悪い空気はその現場にずっと残った。初めてそんな現場に出くわした全くの新人の僕は、「やめろよ」と咄嗟に制することができなかった自分を恥じつつ、制していたらどんな展開になったか、思い巡らしても想像がつかず、ずっと混乱していた。

2013-01-24 03:55:13
岩上安身 @iwakamiyasumi

続き5。突進するものを制したとしたら、他社の人間に取材を妨害されたとして、大きな問題になっていただろう。自社の上司も前進しなかったことを「臆病」と責めるに違いない。あの時の自分の混乱を思い出すと、メディアスクラムが起こる心理的な仕組みが痛いほどよくわかる。

2013-01-24 04:02:41
岩上安身 @iwakamiyasumi

続き6。新聞でもテレビでも雑誌でも、マスコミに入ったら一度は事件記者を経験する。そして事件記者の第一歩は、事件の被害者の「ヤサ割り」(自宅を突き止めること)と「ガンシャ」(顔写真)の入手である。取れなければデスクに怒鳴られる。本当にヤクザな仕事である。

2013-01-24 04:11:47
岩上安身 @iwakamiyasumi

続き7。ご遺族が納得してくれて、納得してくださった上で、遺影や遺品を写させてもらったり、話を聞かせてもらったり、というならば理解できる。しかし、合意もないのに、なぜ強引に事件被害者の顔写真や実名を出すのか、駆け出しの当時も、今も、納得がいかない。

2013-01-24 04:16:39