2013年1月26日

【ぼくはドアをあけた】福間健二 2factory23

「ぼくはドアをあけた」。1月17日、三日前の雪があちこちに残る風景にむかって書きはじめました。寒いなあ。身も心もそう感じながら、書きました。映画『あるいは佐々木ユキ』で狙った冬の光をここでも求めました。音楽は、7で発作的に呼び出してしまった、ジーン・ヴィンセントのロックンロールの古典「ビー・バップ・ア・ルーラ」。 http://www.youtube.com/watch?v=vDU9FP5_B2M
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福間健二 @acasaazul

ぼくはドアをあけた。半分の景色。いないだろうと思った動物はいない。足から熱を感じる。カッターナイフで切っていいものとはお別れだ。告白をきらう最初の死体に速度を要求され、「おじさん、ここ、滑るから気をつけてね」。幼い風が吹いている。(ぼくはドアをあけた1)#2factory23

2013-01-16 08:30:19
福間健二 @acasaazul

この両足が跳びこえられなかったこの世の道具たちの、曖昧な出現。あれっ、下半身が蛇なのは進化にさからってか。どれも接着剤でくっつけた無関係な棒が支えている。したくない仕事、どうしてするのかと訊いてはいけない。柿ピーの小袋、あっという間。(ぼくはドアをあけた2)#2factory23

2013-01-17 06:47:22
福間健二 @acasaazul

ぽかんとして。詩、映画、そして恋。不規則な波紋で、まわりの人たちに迷惑かけながら、自分は「死んだ人間の、かけら」いじった手を眠らせている。この世の、点滅する信号の裏側に隠されているものに感応するのだ。トリスのポケット壜、あっという間。(ぼくはドアをあけた3)#2factory23

2013-01-18 08:42:46
福間健二 @acasaazul

けれども、ドアをあけた。物事、ざらざらした面には、倒れる「直接性」だけが、夜に秘密の子どもを招く。手袋、犬、あこがれと一緒に汚れる内側が叫ぶ。二番目、三番目、霊性のカバーが破られて、何を手に入れるか。クリームパイ、これは時間を要した。(ぼくはドアをあけた4)#2factory23

2013-01-19 09:39:50
福間健二 @acasaazul

労力も。刺すなら刺して、まわり道。雪がいつまでも残る地面、その襞にていねいな視線を送るべきだから。ふるえが止まらない理由はわかっている。詩、映画、そしてきみに会うこと。朝焼けの空に感情をもってもらい、ぼくは約束した「見る位置」に立つ。(ぼくはドアをあけた5)#2factory23

2013-01-20 09:56:17
福間健二 @acasaazul

理論に、楽譜に、解釈された夢に抵抗して、きみは踊るように歩く。もうだれの秘密兵器でもないのなら、どんな虹が欲しいのか。待ち伏せする、大きなコッペパンの胴体の、知らないおばさんたち。負けるわけはないだろうけど、バターの溶けない冬の虹だ。(ぼくはドアをあけた6)#2factory23

2013-01-21 08:55:34
福間健二 @acasaazul

遅い朝食のあと、駅前のベンチで新聞を読む。ちぎることのできる何枚かの感情、返してもらっても、このあとにつながるものができていない。寒いなあ。流れが止まって体が冷え、どうするか。水、ビーバッパルーラ。クイーンのきみの消えた道を走るのさ。(ぼくはドアをあけた7)#2factory23

2013-01-22 18:41:18
福間健二 @acasaazul

外の風。隣り合わせた「静かな男性」の声をまたいで、黒い動物が斜めに移動する。街、きょうは。なにか、半透明の。走るけれど、歌うけれど、色彩を失う、食いとめられない衰弱がある。次の人、どうぞ。遠くへ簡単には行かないことも、ときには大事だ。(ぼくはドアをあけた8)#2factory23

2013-01-23 09:38:14
福間健二 @acasaazul

黙って、反射神経が青や赤をとりかえしている。おきざりにされたライオン。つまり、ちょっとしたハムレットだった。もう思うことがなくて、歩く死者を演じながら、もだえるだけ。光と影の関係を復習して生まれる石がいくつか。いつも夕暮れからの、恋。(ぼくはドアをあけた9)#2factory23

2013-01-24 06:28:43
福間健二 @acasaazul

オルガンは鳴らない。苦しいのはおたがいさまの、夜の動物たち。背中を風に擦られ、味のしないサンドイッチ。死にたいと思うこと、一週間に一度くらいってわりと普通なのかな。ぐらつく棒と波紋の、この世。ぼくは生きているんだ。きみに会うために。(ぼくはドアをあけた10)#2factory23

2013-01-25 09:52:40

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