同志社大学大学院の内藤正典教授による「サラフィストとフランスの軍事介入」について -2013-1-26-

内藤正典教授による「サラフィストとフランスのマリ軍事介入」についてのツイート。 多くの日本人がイスラム圏へ赴任している現代において、日本人はイスラム圏の複雑な事情をもっと学び理解する必要があると思います。
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masanorinaito @masanorinaito

エジプトで革命2周年の日に、カイロ、タハリール広場で騒乱。多くの人がムルシ大統領の政権にプロテスト。多くは、経済的な向上が実現されないことへの不満。ムスリム同胞団は、貧困層への援助を続けてきたが、与党の支持基盤として全国民がぶら下がる構造になったら、到底、救済活動はできない。

2013-01-26 02:07:09
masanorinaito @masanorinaito

そのことへの不満が爆発しているのだが、革命の混乱以来所得を失った民衆は待てないし、かといって、あれだけの大国を俄かに豊かな国にする方策はない。国民は、一方ではより原典主義的なサラフィストと、世俗派の軍部に近い(ムバラク政権下で甘い汁を吸えた)人びとに分裂して対立している。

2013-01-26 02:09:31
masanorinaito @masanorinaito

新自由主義的な、勝ち組はどんどん会談を上り、負け組は退場しろ、的な物言いは、およそイスラームの価値に合わない。しかし、世界の経済システムには、いまだ新自由主義の夢を追う気配が濃厚であるゆえ、それに抵抗するイスラームは、目障りで、掃討すべき対象として欧米諸国には映るはずである。

2013-01-26 02:11:24
masanorinaito @masanorinaito

シリアでは、混乱のなかでヌスラ・フロント(シリアの民を支援するヌスラ戦線)というイスラーム主義(ジハードを掲げる)強硬派が力を持ちつつある。ごちゃごちゃと多様な反体制派がいたが、おそらく世界中からジハーディストを集める力があるのは、このヌスラ戦線だろう。

2013-01-26 02:16:56
masanorinaito @masanorinaito

アメリカは早くも、ヌスラ戦線をテロ組織に指定したが、アルジェリアでも、マリでも、エジプトでも、こういう集団の台頭は広く見られる。嫌うのも、テロ組織扱いするのも、アメリカの自由だが、止められない構造を理解しない限り、欧米には不都合な状況が続く。

2013-01-26 02:18:37
masanorinaito @masanorinaito

既存のムスリムの国というのは、エジプトでも、シリアでも、アルジェリアでも、どこでもそうだが、本来、どうしてもイスラームの価値と適合できない西欧近代国家をモデルにして無理やりつくりあげたもの。

2013-01-26 02:22:44
masanorinaito @masanorinaito

1980年代から、そのことに矛盾を感じて、ピュアなイスラームで国造りをやり直そうとする運動が各地で起きたが、どこでも苛烈な弾圧によって、運動家は殺され、投獄され、あるいは地下にもぐって破たん国家に向かった。

2013-01-26 02:24:05
masanorinaito @masanorinaito

それから30年。あちこちに出現しているサラフィストとは、よりイスラームの原点に帰ろうとする人びとだが、彼らにとって、もはや国家(西欧近代国家の真似をしてつくった国)など、どうでもいい存在になっている。破たん国家に行って、武装集団化するのも、彼らの望む、国家らしくない国家だからかも

2013-01-26 02:25:53
masanorinaito @masanorinaito

彼らは、女性にヴェールを被るように命じ、強盗は手首の切断で罰し、あごひげをぼうぼうに伸ばしてターバンなど被るから、欧米から見れば、テロリストということになる。

2013-01-26 02:27:14
masanorinaito @masanorinaito

嫌うのはいいが、彼らを軍事力で抹殺しようなどと思わない方がいい。それをすると、一層、増大して、じわじわと権力の中枢を窺い、いつかは権力を奪取する。アフガニスタンはその先行例だが、フランスがマリで武力介入を続けると、同じことが起きるだろう。

2013-01-26 02:28:26
masanorinaito @masanorinaito

Saudi prince calls for Syrian rebels to be armed, warns of extremists http://t.co/mDQ2idnNこの記事はなかなか真実を言い当てている。

2013-01-26 02:36:11
masanorinaito @masanorinaito

ただし、話者のトゥルキはサウジ王室の一員だし、外相の兄弟。シリアに武器を送ってるさ、当然だろ、と言いつつ、一方で急進派は危険だ、と言う。ここでいう急進派はサラフィのことだが、彼らがサウジに刃を向けることは許さない、という身勝手な言い分である。

2013-01-26 02:38:48
masanorinaito @masanorinaito

つまり、シリアの反体制派には武器を送る(その武器がサラフィストのヌスラ戦線に渡ることは十分ありうるのに)、でも、その武器でうち(サウジ)を撃つなと言っている。

2013-01-26 02:39:51
masanorinaito @masanorinaito

わざわざそういうのは、サウジアラビア自身が、やはりイスラーム国家としては堕落しているという批判があることを意識してのこと。

2013-01-26 02:40:33
masanorinaito @masanorinaito

東京出張で、宿でBBCをみているが、world newsのほとんどはイスラーム関係。日本のメディアが日本人が犠牲にならないと報じないとは対照的。もちろん、報道の仕方は偏っているのだが

2013-01-26 02:41:49
masanorinaito @masanorinaito

さっきから横目で見ていると、エジプト革命2周年で騒乱、マリの人道の危機。これに出てくるUNHCR:国連難民高等弁務官事務所の担当官、完全にフランスに同調している。シリアの混乱とつづく。

2013-01-26 02:43:53
masanorinaito @masanorinaito

日本にはこういう報道はない。NHKもWorld Newsを放送すべきなのだが、NHK内部では受信料を払ってくださる方が「観たいもの」を放送するんだそうな。ずれてると思うのだが。

2013-01-26 02:45:03
masanorinaito @masanorinaito

同志社大学の烏丸・今出川キャンパスには、世界の衛星放送を受信する設備を設置してもらった。今度は、世界にでかけていくリーディング大学院履修生の人たちが発信する映像を、世界に送り出したい。

2013-01-26 02:46:52
masanorinaito @masanorinaito

かつてドイツやオランダで、家庭用ビデオで撮った映像をじゃんじゃん流す「テレビ局」が存在することを知って驚いたが、映像機器とPCは、それに十分耐えるのだから、後はコンテンツのクオリティの問題。

2013-01-26 02:48:41
masanorinaito @masanorinaito

随分前に、呟いたことだが、一橋大学時代にも世界の衛星放送ぐらい受信して、学生にどんどん見せればよいと思って、同じ設備を設置したが、ランニングコストが払えないと言われて、あえなく巨大な粗大ごみと化した由。

2013-01-26 02:51:17
masanorinaito @masanorinaito

そんな、金のかかるものを買って、と随分非難された。マーキュリータワーの裏と屋上に、いまも残っているはず、残骸が。中国、韓国、北朝鮮からイラン、サウジ、シリア、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、カタル、ロシア、みんな観ることができたのに。

2013-01-26 02:54:03
masanorinaito @masanorinaito

言葉なんてわからなくても、学生ラウンジとかで昼休みにみんなが様々な国の放送をみているだけでも、発見があるはず、と思ったのだが、理解されなかった。

2013-01-26 02:54:43
masanorinaito @masanorinaito

今度こそ。同志社ではそれを実現する。

2013-01-26 02:54:56