- rikasan0624
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フォーク(人々の)ロア(知恵)の華、民話は面白くてためになるもの、娯楽であって教訓も含んでいた。例えば、厳しい労働の裏返しで、怠ける事の快楽が語られた(cf.わらしべ長者)。例えば、嘘についての教訓は世界共通で2つ。弱い者は時には嘘ついてでも生き延びろ(とんち話、動物物語)(続
2013-01-26 15:04:15そして嘘は見抜け。近代国民国家はパロール共同体(cf.ドイツ語を話す人が住むところがドイツ)、これが言語ナショナリズム(前近代は王の領地が王国)。それで近代、言語学や言語史、民俗学等が盛んになった。これらには国民国家の正統性を裏付けるための学問という側面があった(続
2013-01-26 15:10:09民話は一国の民衆の言語文化として収拾されたが(言語文化による版図)、ここに倒錯が生じて、国民ならこれらの話は知っているはず、とされ、国民に自覚を持たせるための教科書に位置づけられた。ところで近代は資本主義に裏打ちされている。資本主義は勤勉と信用によって成り立つ(続
2013-01-26 15:13:44ところが民話には、怠けの賞賛や嘘の推奨等、反資本主義的な要素があった。そこで、アンソロジスト達は採話したものを再話し、独抜きをして、新しい時代にふさわしいものにした。例えば主人公が軒並み勤勉になる。例えば白雪姫がこびとの家に置いてもらう条件は、原話では「食事を作る」だったが(続
2013-01-26 15:16:48グリム最終版では「食事を作って、寝床をしつらえて、洗濯をして、縫い物や編み物をして、どこもかしこもきれいにきちんとしておく」になる。嘘話では「嘘はよくない」という一文が加わり、事あるごとに正直が推奨される。例えば花咲爺が正直者になるのは文部省唱歌の中。それまではただの爺だった(続
2013-01-26 15:21:50「伝統は貴重であればあるほど改ざんされなければならない」(B.アンダーソン)という事。民話を改ざんしたのは近代国民国家の建設に携わった人々。例えばグリム兄弟の兄のほう、ヤーコプは、46年フランクフルト会議(近代国家の準備会議)の議長を勤めたが、観念的な初代大統領のようなもの(続
2013-01-26 15:28:50日本でも柳田国男は農商務省官吏から経世済民の学として民俗学を創始した。そして昔話を収集しても色話は一切採らなかった。たくさんあったし人気があったのに、風紀紊乱のもと、新国家の国民にふさわしくないというわけ(続
2013-01-26 15:32:24ユーロに切り替わる前のドイツの最高額紙幣は1000マルクだったが、グリム兄弟の肖像。メルヒェンを集めたからではなく、兄弟こそが近代ドイツを象徴していたから(了
2013-01-26 15:35:21あ、感謝です。あと、収拾→収集てのもRT @cao58020: 申し訳在りません。大変失礼ですが、" 独抜き→毒抜き、では? RT @ikeda_kayoko: ところが民話には、怠けの賞賛や嘘の推奨等、反資本主義的な要素があった。そこで、アンソロジスト達は採話したものを…
2013-01-26 15:38:40私達はすっかり毒を抜かれて「嘘」と聞くと「つくな」と連想するけど、前近代には「嘘は見抜け」だった。そうでないと命が保たなかった。こういうリテラシーは取り戻すべきだなあと思います
2013-01-26 15:49:50これについて書いたもので、一般入手できる(図書館にある)のは、『完訳クラシックグリム童話』(全五巻、講談社)のあとがき、『完訳グリム童話集』(全三巻、講談社文藝文庫)のあとがき、『岩波講座文学6』所収の「グリムの『メルヒェン集』近代国民国家の創出をめぐって」等です
2013-01-26 15:55:57