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ソイ・ディヴィジョン #4

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
文学 書籍 ニンジャスレイヤー
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「アイエエエエ!」布袋を被せられた上半身裸の逞しい男が、タタミの上へと放り出された。自分はどこに連れてこられたのか?これから何が起こるというのか?手足は拘束されていないようだ。男は困惑しながら、布袋を外して立ち上がる。 1
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「アイエエエエ!」男は再び絶叫する。信じ難い光景が彼を出迎えた。全員同じ顔、同じ髪型、同じスーツ、同じサングラス……何十人ものクローンヤクザが威圧的に立ち、ヘキサゴンリング型に並んで彼を閉じ込めていたのだ!「何だこれは!?おい、出してくれ!出してくれ!」男はヤクザに懇願する。 2
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クローンヤクザが、男の掌に白い錠剤を置いた。摂取しろということか。彼はそれをひとおもいに、奥歯で噛みしだいた。「遥かにいい……!」違法薬物シャカリキ・タブレットだ。長らく薬物を断っていたこの元ボクサーの肉体は、生まれて初めてカフェインを与えられた子供のように敏感に反応した。 3
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「イヤーッ!」黒服で作られたヘキサゴンリングの対角で、不意にカラテシャウトが響き渡った。男は反射的にファイティングポーズを取り、そちらを振り向く。だが「おい……待てよ……」男は首を振って、眉をひそめた。そこには白装束のニンジャが立っていたからだ。 4
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そのニンジャも上半身は裸であり、引き締まった肉体を露出させていた。腰にはさりげない装飾が施されたブラックベルトが巻かれ、顔はニンジャ頭巾と覆面で覆われている。「カモン!」そのニンジャは奇妙ないにしえのボックス・カラテを構えた。上半身をわずかに仰け反らせた、挑発的な姿勢である。 5
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戦えという事だ。男はそれを本能で悟った。過酷な強制労働のおかげで、彼の筋肉は少しも衰えてはいない。むしろマッシヴさを増している。謎の白ニンジャのほうが体格的には二階級ほど下に見えるほどだ。「シュー!シュシュシュ!」男は両手を顔の前に構え、近代的ボクシング姿勢を取って威嚇した。 6
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凄まじい威圧感!彼はソイ・ディヴィジョンに囚われる前、この凶器のような拳で何人ものヨタモノを殺害してきたのだ。だが白ニンジャは動じない。「カモン!」左拳を前、右拳を後ろ、顎を反らせたまま挑発を続ける。「それでボクシングのつもりか!ナメるな!」男はステップを刻みながら前進した! 7
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白ニンジャの目がかっと見開かれ、信じ難い速度で両腕が動く!瞬時に、左右のベアナックル・パンチが十六発連続で繰り出される!「イヤーッ!」「アバーッ!」即死した!即死である!元ボクサーは一瞬のうちに十六発のカラテを顔面に叩き込まれ、タタミに倒れる前に絶命していた!ナムアミダブツ! 8
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そのニンジャ、ベアナックルは、息を乱すことなくザンシンを行った。恐るべきワザマエ。江戸時代初頭、古式ボックス・カラテはイギリス全土を熱狂の渦に包み込んだが、死者が多すぎたため女王の命令で禁止された。彼に憑依したニンジャソウルは、そのような暗黒時代の暗闇から蘇ったものなのだ。 9
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「これがソイ・ディヴィジョンで一番屈強な男か?準備運動にもならんぞ!」ベアナックルは怒った。「アイエエエエエ!申し訳ありません!」ムラキ部長が血相を変える。「今夜はラオモト=サンが視察に来るのだ!万が一の事がないよう、トレーニングに勤しもうと思っているのに、失望させるな!」 10
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「アイエエエエエ!すみません、次はソイ・ディヴィジョンいちの巨漢を手配しますので……!」ムラキ部長はハンドヘルドUNIXで労働者データを検索する。「もういい、時間の無駄だ!タイムイズマネー!やはりクローンヤクザに限る!ドスダガーを構えて、四人同時にかかってこい!カモン!」 11
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「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」クローンヤクザたちの怒声と絶叫、そしてベアナックルのカラテシャウトを背に、ムラキ部長はドージョーを退室する。ワックスで固められた奥ゆかしいカイゼル髭の下で、ムラキ部長は歯を食いしばり、理不尽に対する怒りに震えていた。 12
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スターン!部長室のフスマを勢いよく閉じると、彼は重役机のブランデーを瓶のまま煽った。「悔しい!」重いガラス瓶の底が、机に叩き付けられる。コストをかけて丹念に育成した奴隷職人をトレーニングで殺される理不尽さ……さらにクローンヤクザのコストも自分たちが負担せねばならないのだ。 13
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「しかも本社は見て見ぬ振りだ!この部門ごと私を切り捨てようと言うのか?ショーユの味は最高だというのに!」ムラキは頭をかきむしった。壁に掛けられた「春」のショドーが彼を嘲笑っているかのようだ。「怒りが収まらん!誰彼かまわずファックしたい気分だ!」彼は両腕を重役机に叩き付けた! 14
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「今夜だ、やるなら今夜しかない。どこかの偉いさんが視察に訪れるとかで、奴らは気もそぞろだ。ファイナルシーズン前のスモトリのように落ち着きがない」シロキが小声で言った。給食室で同じチャブを囲んだアケダとバラキが頷く。勇敢なる三人は、脱出のための最後の作戦会議を行っているのだ。 16
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「手順を間違わずにできるかな」巨漢のアケダが不安そうに時計を見た。あと15分ほどで決行だ。途端に不安になってきた。命綱無しで宇宙空間に飛び出すような心地だ。例え一生奴隷だとしても、ここで暮らした方が実際安全なのでは?「今さらビビってんのか?」バラキが小刻みに揺れながら言う。 17
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「ショーユ工場で違法薬物を作るなんてのは、飛んで火にいる夏の虫のコトワザ通りだ。絶対に破滅が来る」元主任のシロキが、自らの深い教養を見せる。伝説の兵法書ブック・オブ・ファイブリングスにも記された、詩聖ミヤモトマサシのコトワザだ。その意味はよく解らなかったが、二人は納得した。 18
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「ありがとうよ、シロキ=サン、あんたがいなかったら、おれたちは抵抗すらできなかった」バラキが自分の胸を拳で叩く「ここじゃ解ってたんだ。でも、どうしたらいいか、アイディアが無かった。まとめられなかった。あんたがいなけりゃ、ヤバレカバレになって、焚き火に飛び込んでいただろう」 19
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アケダもいつになく神妙な顔で頷いた。「待てよ、まだ成功した訳じゃないぞ」シロキが苦笑いする。だが、バラキの気持ちは痛いほど解った。この脱走作戦が上手く行くかどうか、保証はどこにも無い。むしろ、失敗可能性のほうが高いだろう。ゆえにシロキも彼らに礼を言おうと思った、その時……! 20
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「緊急呼び出しドスエ。た14-26班のシロキ=サン、た14-26班のシロキ=サン、ショドーの件で特別労働がありますので監視員まで直ちに名乗り出なさいドスエ」不気味な合成マイコ音声が所内に響いた。緊急呼び出しなど、一年のうちに一度あるかないかだ。三人の間に凄まじい緊張が走る。 21
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「まさか、LANケーブル盗難がバレたか……?」シロキの全身に汗が滲む。ナムアミダブツ!直ぐに行かねば、なおのこと怪しまれる。計画自体がバレれば、三人とも処罰を受け、脱走計画は永遠に果たされないだろう。どうすればいい……考えろ、考えろ……極限状況下でニューロンがブーストする! 22
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シロキは巻いたLANケーブルを懐から取り出し、チャブの下でバラキに手渡した。「おい、どういうことだ。おれにちゃんと説明しろよ」バラキが困惑する。「……チャンスは今夜しかない。そして俺は帰って来れないかもしれない。……二人でやってくれ。大丈夫、計算上は二人でも成立する計画だ」 23
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「無理だって……」アケダが弱音を吐く。バラキも無言でシロキを見つめる。「できる」シロキが半ばヤバレカバレで二人を勇気づけた。そして自分のこめかみを二本の指でとんとんと叩く「俺の計画を信じられないのか?俺はかなり頭がいいんだぞ。お前たち二人なら、必ずやれる。絶対にやれる」 24
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2013年2月4日
ソイ・ディヴィジョン #1 http://togetter.com/li/438917 ソイ・ディヴィジョン #5 http://togetter.com/li/450010
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