ヘレニズム時代における地中海世界の戦象について~ケントゥリオPのツイートまとめ
というか、今気付きました、このまとめで話してる人ガンパレの芝村さんか!おぉ……なんと。 / 古代インドの象兵が圧倒的に強かったわけ http://t.co/h7N1MLXG
2013-01-29 22:27:34まず、象兵のドクトリンがインドでは使われ続けたというのは正しいかもですが、アレクサンドロス三世の東方遠征からディアドコイ戦争を通じて一気にヨーロッパへ広まり、その後もヨーロッパにおいて象兵が使われたことについて(特にディアドコイ戦争間)がすっぽり抜けてます。
2013-01-29 22:22:54@centurio_P 隊長!一つ根本的な質問をさせてください!…ディアドコイ戦争って何でしょうか?アレクサンダー大王の後継者争いみたいな?
2013-01-30 01:24:50@Tai_hou_ya その通りです。アレクサンドロス大王は後継者を定めぬまま、また直系の男子が育ちきる前に死亡した為、作り上げた東西融合の大帝国を巡って、親族と臣下が「後継者(ディアドコイ)」となるのを様々な理由から目指して戦った戦争を指します。
2013-01-30 01:29:50紀元前四世紀に至るまで、確かに主に象兵(戦象)を使っていたとされるのはインドです。しかしながら、確証はとれませんがペルシャ帝国においても一部使用が見られる記述があるという話もあります。
2013-01-29 22:34:11そして、アレクサンドロス三世の東方遠征の最終局面、インド方面の戦いにて始めて西方の人間達は大規模な象兵部隊に遭遇するわけです。それがヒュダスペスの戦い、ポロス王との戦いです。ここでアレクサンドロス初め、後のディアドコイとなる幹部達は象兵の脅威に衝撃を感じました。
2013-01-29 22:36:11その後、東方遠征は終わり、アレクサンドロスが死亡する僅かの間、インド方面からはインド象と象使い、と共に象を使った戦術、象の育成と調教の仕方、様々なノウハウが西方世界へ流入し始めます。
2013-01-29 22:41:08もっともそれが顕著になったのはアレクサンドロスが死に、東西融合の大帝国が分裂してディアドコイ戦争が起こった時。かつての衝撃から、是非戦いに活かそうと各地のディアドコイ達は大規模な象兵を用意するようになります。真っ先に象兵部隊を作り上げたのはセレウコス朝シリアのセレウコス一世です。
2013-01-29 22:42:22これはセレウコス朝シリアがメソポタミアからインドまで跨る大規模な国であり、インドから象を含め、象使いのノウハウを得るのがもっとも容易であったからですね。また、昨今では当時、シリアにはアジア象がおり、そこからも象を調達し、訓練することが容易であったと考えられています。
2013-01-29 22:45:18地中海世界における、象兵と象使いのノウハウはこのシリアから発信されるようになり、インド象、アジア象を含め、象も各地へ輸出されました。この極初めの時期、ディアドコイ国家における象部隊の象はインド象が中心であったとされるのは確かです。が、それもとても短い期間であります。
2013-01-29 22:50:43何故なら、ディアドコイ戦争が混迷し、激しさを増すと、唯一、インドと繋がりを持っていたセレウコス朝シリアは敵対するディアドコイ国家への象(インド象、後にはアジア象)の輸出入を禁止、独占したからです。特に影響を受けたのはシリアの仇敵、プトレマイオス朝エジプトです。
2013-01-29 22:55:06インド象の供給を断たれたプトレマイオス朝エジプトは後に「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ北東部(今のソマリア、ソマリランド辺り)まで遠征し、アフリカ森林象を掻き集めました。当時の北アフリカは非常に緑豊かで森林が存在しました。これを後に、カルタゴもヌミディア方面で真似します。
2013-01-29 23:00:37こうした、象兵部隊の指揮官はエレファンタルコス(エレファンタルコイとしているのもある)、と呼ばれ、高い地位を得ておりました。
2013-01-29 23:12:21@centurio_P ただ今の残ってるアフリカ象とは違うんですねぇ…生物学的にはアジアゾウに近いってのはあるのかもしれないなぁ…
2013-01-29 23:25:51@Lynx_nWdF2 アフリカ象には二種ありまして、一つは気性の荒く、大きいアフリカ象、もう一つは小さめで大人しいアフリカ森林象(マルミミ象)ですね。後者は絶滅してしまったので。
2013-01-29 23:27:49@centurio_P なお、アフリカゾウは馴致しがたく軍用には不適という前提を踏まえつつ、やはりインドの象でもなかったという見解として、近年になってアフリカゾウとは別種であることが確認されたマルミミゾウの名を挙げる新説があります。(マルミミゾウはアフリカに棲息しつつ性格は温厚)
2013-01-29 20:19:30@haihroneko その説は承知しておりますが、象の供給やインド象以外にもヨーロッパには象が存在したこと、象兵育成、運用のノウハウはディアドコイ戦争で広がっていたことなどの観点からとっくに否定され、マルミミ森林象説が有力のはずです。
2013-01-29 21:31:09@zealotofBW ローマ神話上では象によくにた姿の怪物が登場し、またエジプトや北アフリカでは一部軍神の象徴として崇められたりしてますが……そのまま輸入されていたかはちょっとわかりません。
2013-01-29 23:48:22象使いがインドスと呼ばれたからインド人であり、その象もインド象であるというのはかなり乱暴であります。確かに当初、インドから地中海世界にインド象と象使い、それらのノウハウが持ち込まれた時は、インド人であり、インド象でありました。しかし、それもごくわずかな期間です。
2013-01-30 00:01:32そのノウハウが広まり、自国にて象使いを用いられるようになった時、当初はインドの象使いという意味であった「インドス」が、単純な"象使い"という意味で「インドス」と呼ばれるようになっただけです。その"象使い"が扱う象もインド象だけでなく、アジア象、アフリカ森林象等になっております。
2013-01-30 00:04:04よく、再現イラストでは象の上に跨る象使いはただのチュニックを纏い、手にアンクシュ(ハルペ、クシュトシュ)と呼ばれる矛と鎌を合わせたような武器を持っている姿で描かれますが実際の"インドス(象使い)"達はそれなりの鎧を身につけたと考えられます。武器は象といえますのでそのままですが。
2013-01-30 00:07:29