法学入門的な

法学部一年生とのやりとりをまとめました。
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pon @pon_de_ring5555

@A14henry 返信遅くて申し訳ないです。PCからツイートしているので。。。 ありがとうございます。自分の周りに法曹志望者がほとんどいないのでアドバイス頂ければ助かります。学部3年で気づいた法律の勉強とはどういったものでしょうか?

2013-02-02 22:38:07
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 ざっくり言いますと,基本書を読んで覚えるという勉強になっていたのですが,ある先生の指導から条文へのあてはめという意識が弱かったことに気づきました。抽象的なことを言ってもわからないと思うので具体的な例で。民法177条は勉強しましたか?

2013-02-02 22:52:40
pon @pon_de_ring5555

@A14henry すみません物権は最近やっと本腰を入れて取り組み始めたのでまだなんとも。。。条文へのあてはめとは?

2013-02-02 22:58:09
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 2重譲渡の場合に登記を得た方が勝つということは勉強しましたか?

2013-02-02 22:59:11
pon @pon_de_ring5555

@A14henry はい!そこは勉強しました!

2013-02-02 23:00:31
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 教科書には177条は不動産の二重譲渡の場合に登記を先に得た方が勝つことを規定している等と書いてますが,この結論を177条の「不動産に関する物権の得喪及び変更..登記をしなければ、第三者に対抗することができない」という文言から導き出せますか?

2013-02-02 23:03:43
pon @pon_de_ring5555

@A14henry 導き出せ、、ませんね、、、なるほど。そう考えてみると情けないことに自分も基本書を暗記するだけの勉強をしてますね。

2013-02-02 23:08:59
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 自分が導き出せるようになったのは3年生の時でした(笑)では種明かしをします。まず所有権を自分が持っているという主張をするには原始取得とわれる時効取得の他に,買ったというような承継取得による方法があります。(続

2013-02-02 23:13:23
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 Bさんが所有権者であることを主張する場合,Bさんは,「所有者Aさんと売買契約をしたことにより,AさんからBに所有権が移転した。これによりBが所有者だ」と主張することになります。二重譲渡の場合,Bさんが売買契約をした後にAさんがCさんに売る(続

2013-02-02 23:17:18
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 ことによりCさんが所有権者だと主張することになります。でもCさんは無権利者Aさんから所有権を取得したことになっているはずで,Cさんは無権利者のはずですよね?ここで177条が機能します。Bさんが所有者であることをCさんにいうためには,(続

2013-02-02 23:19:15
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 A→Bに不動産の所有権が移転したことを主張する必要があります。これは「不動産に関する物権の得喪」(不動産物権変動)にあたります。これを「第三者に対抗(=主張)する」には登記がいります。第三者とは一般に当事者以外をいいます。(続

2013-02-02 23:23:22
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 この当事者とは177条だと不動産物権変動の当事者なので,さっきの事例ではA→BなのでAとBが当事者です。CはA・B以外なので第三者になります。そうすると。BがCに「A→B」の所有権移転を主張するには登記がいることになります。(続

2013-02-02 23:25:26
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 これにより,Bは登記をしなければ所有権移転をCに主張できず,Cとの関係ではAに所有権があることになり,CはAから所有権を譲り受けることができることになります。しかし,CがBに所有権を主張するにはやはり「A→C」の所有権移転の主張が必要です。(続

2013-02-02 23:26:52
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 「A→C」の物権変動も「A→B」の物権変動と同様の理由で177条の適用があります。その結果,CがBに「A→C」の所有権移転を主張するには登記がいることになります。このようにA→Bの物権変動(所有権移転)とA→Cの物権変動にはそれぞれ177条の(続

2013-02-02 23:29:44
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 適用がある結果,登記を先に得た者が勝つ(=所有権主張をすることがきでる)ということになります。長くなりましたが以上が種明かしです(笑)

2013-02-02 23:30:58
pon @pon_de_ring5555

@A14henry 丁寧にありがとうございます!すごくわかりやすいです!その条文の効果を知っててもそれを条文からひねり出せるようにならなきゃ駄目ですね。

2013-02-02 23:38:03
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 そうですね。この例を通して何をいいたいかというと条文が大事ということなんですけど,なぜ大事かという事を理解する必要があります。法は紛争解決のためにあるのですが,紛争解決は最終的には裁判所での判決によることになります。(続

2013-02-02 23:41:05
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 憲法でやったっかわかりませんが,裁判所は司法権を行使するのですが,司法権とは簡単にいうと法を適用することによって権利義務の存否を判断し紛争を解決する権能をいいます。ポイントは「法を適用することにより」→「権利義務の存否」を判断することです。

2013-02-02 23:43:00
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 権利は目に見えません。ではどのように権利を判断するかということが問題になります。どう判断するかわかりますか?

2013-02-02 23:43:42
pon @pon_de_ring5555

@A14henry うーんいまいちわかりません。。。権利を判断するために条文解釈が重要になるのですか?

2013-02-02 23:50:44
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 条文は法律要件と法律効果で構成されています。例えば,法律要件Aに該当するaという事実があると,法律効果として権利Bが発生するという構造になっています。なので権利の存否を判断するには条文がどういう要件があれば効果=権利が発生すると規定しているか(続

2013-02-02 23:53:42
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 を見て,要件に該当する事実があるかどうかを判断します。要件に該当する事実があり,全ての要件を満たせば晴れて権利が発生するということになります。例えば売買契約を締結すると代金を支払えという権利が発生します(民法555条)。(続く

2013-02-02 23:56:57
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 もちろん法律効果として権利の発生を阻止したり,権利を消滅させるものもあります。例えば錯誤(民法95条),詐欺取消(96条1項)なんかがそうです。そうすると今まで勉強したであろう錯誤の規定なんかも整理がつきますかね。(続

2013-02-02 23:59:04
080 @A14henry

@pon_de_ring0125 長々と書きましたが,要するに法律の条文が法律要件,法律効果(=権利の発生・変更・消滅)を規定していて,権利の存否を判断するには,法律要件が満たされているか=法律要件に該当する事実があるかを判断することになります。事実は見えますからね。

2013-02-03 00:01:23
pon @pon_de_ring5555

@A14henry なるほど!条文が大切というのはそういう理由があったわけですね。すみませんほんと勉強不足で。。。 これからは条文をただ読んで確認するだけでなく条文が規定する要件効果を意識して勉強します。ご丁寧にありがとうございました

2013-02-03 00:12:28