創作が史実と誤認されることについて

こないだの話(http://togetter.com/li/447545)が受けたので気を良くして、また別の話を。今度は「歴史系の創作において、創作部分はどの程度史実と認識されてしまうのか」ということに絡めてあれこれと。結論についてはお約束ということで。
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神無月久音 @k_hisane

歴史系の創作について、創作作品を丸ごと史実と思い込む人は少数としても、どの程度までなら史実と合ってるか、という認識においては、創作者が考えているより、ずっと読み手は創作された部分を「これも史実だろう」と認識しがちである。

2013-02-05 18:01:15
神無月久音 @k_hisane

それが歴史上の人物への「印象」という曖昧模糊としたものであれば尚更である。今、生きている人間に対してすら、その人物を「正しく」把握することなど困難なのだから、既に死んだ人間が実際にどういう人物だったかなど、物語付きで語られたキャラクターの印象に押し潰されてしまっても無理はない。

2013-02-05 18:08:36
神無月久音 @k_hisane

そういう場面では、「そんなこと言ったって現実にはこうで、創作なのは明らかなのだから、創作にこだわるのはおかしい」とか言って、証拠を挙げて説明しても、感情的な反発を煽るだけで意味がなかったりしますし喃。

2013-02-05 18:27:56
神無月久音 @k_hisane

例えば、ある歴史上の人物が、物語上、悪役なり敵役なりとして出てきて、その物語の人物観を気に入っている人間に対し、「実際は違うのだから、物語の印象で人物評価するのはおかしい」と言っても、反発を招くだけで、肝心の悪印象を拭えなかったりするわけですよ。それじゃあ意味ないだろと。

2013-02-05 18:33:06
神無月久音 @k_hisane

その意味では、ある人物の印象を変えようとするなら、「説得」よりも、もっと面白い物語で印象の上書きをしてしまうか、別の面白いものを提示して、複数の印象を持たせるかの方が、方法としてはベターだと思いま砂。

2013-02-05 18:41:29
神無月久音 @k_hisane

創作で仕入れた知識を史実と勘違いされるのも難儀ですが、だからといっていちいち創作であることを指摘するのも窮屈な話ですし、都度都度対応にならざるを得ない感じで砂。@sinatonokaze @azumainari

2013-02-05 17:48:41
神無月久音 @k_hisane

知識が増えれば、そういう楽しみ方ができますしね。更に深まると「ああ、この作者は多分こういう意図でやったのだろう。じゃあ次はこれ持ってくるんじゃないか?…よーしよし、こいつはわかってるな!」とか行ったり@baritsu 嫌味な読者(私とか)だと、これは嘘、これも嘘、こっちも怪しいw

2013-02-05 18:15:38
神無月久音 @k_hisane

物語で満足しちゃう人が殆どですしね。特にその創作が優れていると、そこで受けた感動を守るため「史実はそうだとしても、私がどう思うかは私の勝手である」となる事もありますし@sinatonokaze 創作から史実に興味を持ってもらうのがベストだけど。難しいですね。@azumainari

2013-02-05 18:25:16
神無月久音 @k_hisane

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」とは漱石先生の言葉ですけど、創作についても言える話で砂。作り手側だけでなく、受け手側にも。

2013-02-05 21:07:19

例えばどんなものがあるのか>世間に定着した創作

神無月久音 @k_hisane

十兵衛に至っては、そもそも隻眼説自体がまず創作ですし喃。「嘘も百回言えば真実になる」なんて言いますけど、あながち冗談でもないのが困りもので砂。 @arashi_bo8 例:伊達政宗、柳生十兵衛の眼帯

2013-02-05 21:50:58
神無月久音 @k_hisane

ちなみに十兵衛隻眼説にお墨付きを与える形になってしまったのが「正傳新陰流」記載の厳長先生のコメントな訳で、ああいうのを見ると、「言葉というものは、一度出てしまうと勝手に歩き回る」というのは、なるほど真理だなと思うところ。発言者にそれなりの権威があれば尚更で砂。

2013-02-05 21:57:31
神無月久音 @k_hisane

その辺を突き詰めると、「綸言汗の如し」に行き着くわけで砂。

2013-02-05 21:59:31
神無月久音 @k_hisane

百年くらい経ったら物凄いことになってるかもしれませんな。しかし、洒落になってない半面、どうなってしまうのか興味があります喃。@arashi_bo8 BASARAのレッツパーリーさんが一般的な政宗像になりそうで、割と本気で心配です

2013-02-05 22:05:25
神無月久音 @k_hisane

こういう歴史上の人物の「どうしてこうなった」現象は、露骨な創作を除けば、伝言ゲーム的な変換によって起こり得るものだったのでしょうけど、今はその伝言ゲームが、ネットによって洒落にならん規模と速度で行われるわけですし喃。

2013-02-05 22:10:51
神無月久音 @k_hisane

そりゃ十兵衛の画像検索結果がピンク色になる筈である。【柳生十兵衛-画像検索】https://t.co/zdtB3F03  http://t.co/ebJYGycU

2013-02-05 22:12:24
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神無月久音 @k_hisane

これが陥落したら色々洒落にならんので死守してほしいところ。@yasu42 先頭が千葉十兵衛でちょっと安心しました

2013-02-05 22:20:35

ちなみに十兵衛隻眼説についての細かい話はこちらで。 【やる夫で学ぶ柳生一族(その20)】http://tagenmatome.blogspot.jp/2009/09/20.html

神無月久音 @k_hisane

あれも面倒くさい反射を経てますし喃。@SagamiNoriaki 武蔵が仕官しようとして果たせず、失意に…とかも@arashi_bo8

2013-02-05 22:13:26

補足あれこれ

神無月久音 @k_hisane

昨日の話の続きですが、ある歴史系の創作に対し、それが史実と違っていることを指摘した際、「そうは言っても、こういう話が書かれているということは、それなりに根拠があるのだろう」という反論が出ることが結構ありま砂。

2013-02-06 13:23:51
神無月久音 @k_hisane

それが作品として出来がいい程、創作部分まで史実として誤認され、一般に定着してしまう、というのは創作の罪作りなところですが、それが「話の都合」で作られた箇所だったりすると厄介でアリマス。なんせ反証となる史料がないことが殆どなので「可能性はゼロではない」とか言われたりする訳ですし。

2013-02-06 13:24:55
神無月久音 @k_hisane

作者個人の創作ですから出典などある筈もなく、あっても連想ゲームか語呂合わせ程度のものだったりする上に、それに「これは自分の創作である」といちいち断りが入ることも少ないので、その印象を打ち消すのは相当困難で砂。むしろ「史料にはないが自分はこう思う」とか書く人の方が多いくらいですし。

2013-02-06 13:27:59
神無月久音 @k_hisane

ましてや、それが世間に広まり、一度定着してしまうと、作者自ら「あれは自分の創作で、まったく史実ではない」と明言しても無理でアリマス。

2013-02-06 13:28:32
神無月久音 @k_hisane

クラークの名言を言い換えて言うならば、「一度世間に定着した創作は、史実と区別されない」というところでしょうか。

2013-02-06 13:29:08