創作が史実と誤認されることについて

こないだの話(http://togetter.com/li/447545)が受けたので気を良くして、また別の話を。今度は「歴史系の創作において、創作部分はどの程度史実と認識されてしまうのか」ということに絡めてあれこれと。結論についてはお約束ということで。
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神無月久音 @k_hisane
歴史系の創作について、創作作品を丸ごと史実と思い込む人は少数としても、どの程度までなら史実と合ってるか、という認識においては、創作者が考えているより、ずっと読み手は創作された部分を「これも史実だろう」と認識しがちである。
神無月久音 @k_hisane
それが歴史上の人物への「印象」という曖昧模糊としたものであれば尚更である。今、生きている人間に対してすら、その人物を「正しく」把握することなど困難なのだから、既に死んだ人間が実際にどういう人物だったかなど、物語付きで語られたキャラクターの印象に押し潰されてしまっても無理はない。
神無月久音 @k_hisane
そういう場面では、「そんなこと言ったって現実にはこうで、創作なのは明らかなのだから、創作にこだわるのはおかしい」とか言って、証拠を挙げて説明しても、感情的な反発を煽るだけで意味がなかったりしますし喃。
神無月久音 @k_hisane
例えば、ある歴史上の人物が、物語上、悪役なり敵役なりとして出てきて、その物語の人物観を気に入っている人間に対し、「実際は違うのだから、物語の印象で人物評価するのはおかしい」と言っても、反発を招くだけで、肝心の悪印象を拭えなかったりするわけですよ。それじゃあ意味ないだろと。
神無月久音 @k_hisane
その意味では、ある人物の印象を変えようとするなら、「説得」よりも、もっと面白い物語で印象の上書きをしてしまうか、別の面白いものを提示して、複数の印象を持たせるかの方が、方法としてはベターだと思いま砂。
神無月久音 @k_hisane
創作で仕入れた知識を史実と勘違いされるのも難儀ですが、だからといっていちいち創作であることを指摘するのも窮屈な話ですし、都度都度対応にならざるを得ない感じで砂。@sinatonokaze @azumainari
神無月久音 @k_hisane
知識が増えれば、そういう楽しみ方ができますしね。更に深まると「ああ、この作者は多分こういう意図でやったのだろう。じゃあ次はこれ持ってくるんじゃないか?…よーしよし、こいつはわかってるな!」とか行ったり@baritsu 嫌味な読者(私とか)だと、これは嘘、これも嘘、こっちも怪しいw
神無月久音 @k_hisane
物語で満足しちゃう人が殆どですしね。特にその創作が優れていると、そこで受けた感動を守るため「史実はそうだとしても、私がどう思うかは私の勝手である」となる事もありますし@sinatonokaze 創作から史実に興味を持ってもらうのがベストだけど。難しいですね。@azumainari
神無月久音 @k_hisane
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」とは漱石先生の言葉ですけど、創作についても言える話で砂。作り手側だけでなく、受け手側にも。
例えばどんなものがあるのか>世間に定着した創作
神無月久音 @k_hisane
十兵衛に至っては、そもそも隻眼説自体がまず創作ですし喃。「嘘も百回言えば真実になる」なんて言いますけど、あながち冗談でもないのが困りもので砂。 @arashi_bo8 例:伊達政宗、柳生十兵衛の眼帯
神無月久音 @k_hisane
ちなみに十兵衛隻眼説にお墨付きを与える形になってしまったのが「正傳新陰流」記載の厳長先生のコメントな訳で、ああいうのを見ると、「言葉というものは、一度出てしまうと勝手に歩き回る」というのは、なるほど真理だなと思うところ。発言者にそれなりの権威があれば尚更で砂。
神無月久音 @k_hisane
その辺を突き詰めると、「綸言汗の如し」に行き着くわけで砂。
神無月久音 @k_hisane
百年くらい経ったら物凄いことになってるかもしれませんな。しかし、洒落になってない半面、どうなってしまうのか興味があります喃。@arashi_bo8 BASARAのレッツパーリーさんが一般的な政宗像になりそうで、割と本気で心配です
神無月久音 @k_hisane
こういう歴史上の人物の「どうしてこうなった」現象は、露骨な創作を除けば、伝言ゲーム的な変換によって起こり得るものだったのでしょうけど、今はその伝言ゲームが、ネットによって洒落にならん規模と速度で行われるわけですし喃。
神無月久音 @k_hisane
そりゃ十兵衛の画像検索結果がピンク色になる筈である。【柳生十兵衛-画像検索】https://t.co/zdtB3F03  http://t.co/ebJYGycU
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神無月久音 @k_hisane
これが陥落したら色々洒落にならんので死守してほしいところ。@yasu42 先頭が千葉十兵衛でちょっと安心しました

ちなみに十兵衛隻眼説についての細かい話はこちらで。 【やる夫で学ぶ柳生一族(その20)】http://tagenmatome.blogspot.jp/2009/09/20.html

神無月久音 @k_hisane
あれも面倒くさい反射を経てますし喃。@SagamiNoriaki 武蔵が仕官しようとして果たせず、失意に…とかも@arashi_bo8
補足あれこれ
神無月久音 @k_hisane
昨日の話の続きですが、ある歴史系の創作に対し、それが史実と違っていることを指摘した際、「そうは言っても、こういう話が書かれているということは、それなりに根拠があるのだろう」という反論が出ることが結構ありま砂。
神無月久音 @k_hisane
それが作品として出来がいい程、創作部分まで史実として誤認され、一般に定着してしまう、というのは創作の罪作りなところですが、それが「話の都合」で作られた箇所だったりすると厄介でアリマス。なんせ反証となる史料がないことが殆どなので「可能性はゼロではない」とか言われたりする訳ですし。
神無月久音 @k_hisane
作者個人の創作ですから出典などある筈もなく、あっても連想ゲームか語呂合わせ程度のものだったりする上に、それに「これは自分の創作である」といちいち断りが入ることも少ないので、その印象を打ち消すのは相当困難で砂。むしろ「史料にはないが自分はこう思う」とか書く人の方が多いくらいですし。
神無月久音 @k_hisane
ましてや、それが世間に広まり、一度定着してしまうと、作者自ら「あれは自分の創作で、まったく史実ではない」と明言しても無理でアリマス。
神無月久音 @k_hisane
クラークの名言を言い換えて言うならば、「一度世間に定着した創作は、史実と区別されない」というところでしょうか。
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コメント

未知神明(みちがみ・あきら) @ontheroadx 2013年2月6日
司馬遼太郎先生がしでかした嘘史実として最も有名なのは、自身の戦車隊時代の「戦車が通れなかったら人をひき殺していけ」という上官の発言ですかね。そもそもその話、司馬遼太郎以外には誰も聞いた人がいない(出てこない)という…。「創作が史実と誤認されることについて」
nekosencho @Neko_Sencho 2013年2月6日
何がウソ事実なのか確かめようがないってのも多いですしね。特定の誰かしか見聞きしてないという話でも真実は当然あるわけで
A.C.✨NCC1710hh2 @AerospaceCadet 2013年2月6日
歴史小説だけで歴史知った気になってる奴と話した時の「イラッ」とする感じは異常。それはともかくピンクの柳生十兵衛ワロタ。そうか百花繚乱サムライガールズの方が主流かw。
hiroharu.minami @hiroharu_minami 2013年2月6日
史料には残されていない部分を埋めて行くのは作家の想像力で、作家が優れていればその想像は蓋然性も高く、史実と想像が読者の心の中でシームレスに繋がる結果、それら二つが不可分に結びついて「全部史実!」になってしまう事もありそうだなぁ。
まどちん● @madscient 2013年2月7日
水戸黄門の諸国漫遊とか池田屋の階段落ちとか。
ワス @wsplus 2013年2月7日
「三本の矢」の元ネタがイソップ童話ってどのぐらいの人が知ってますかね。
ゆ@普通のおとめ座超銀河団の住民 @U_fort 2013年2月7日
武田信玄の参謀・山本勘助の実在説について・・・
未知神明(みちがみ・あきら) @ontheroadx 2013年2月7日
家康が自分は乞食同然の扱いだった、という昔話を酔っ払って年取ってからポロッとしたことで、「家康はどこかで影武者と入れ替わった!」と話を作るのが作家。隆慶一郎ですね。
Nikita/美奈 @Nikita_J 2013年2月7日
坂本龍馬が維新にものっっっっすごく多大な影響を及ぼした、とか本気で思ってる人の事か…。
聖夜 @say_ya 2013年2月7日
そもそも司馬遼太郎の著作に出てくるのは「坂本竜馬」なのです。もっとひどいのが忠臣蔵で、本来は室町時代の設定で主人公は大星由良之助です。あらゆる創作に雨月物語のような序文が必要だとは思わないのですが。
hiroharu.minami @hiroharu_minami 2013年2月7日
この塩野さんのエッセイ集 http://goo.gl/TAUWf にある「歴史そのままと歴史離れ」辺りが、このまとめと関連していて面白いと思う。「史料が誤りを記しているのが分かっている場合」に作家が、その史料をどう扱うのか? と言う非常に興味深い話もある。
叔嗣(しゅくし) @korekorebox 2013年2月7日
半年前のテレビ番組で心理学の先生が、年間1500回以上言い続けられると嘘でも本当だと思い込んでしまうと言ってた(ノ)・ω・(ヾ)ムニムニ
游鯤 @yusparkersp 2013年2月7日
素晴らしい創作で歴史を学ぶ学生が増えることもあるから創作は大切だ。有名どこでは「ベルばら」とか「日出る処」とかさ。
ウミドリくん @umidori_kun 2013年3月24日
@yusparkersp 創作で歴史を学ばれては困るというのがこのトピックの趣旨でしょう。
ウミドリくん @umidori_kun 2013年3月24日
@yusparkersp 歴史教育にとっての「素晴らしい創作」とは文学的な名作ではなく歴史考証の行き届いた作品のことなので。「面白ければ何でもいい」は歴史ものには通用しない。
紅夜 @aosasa 2013年4月8日
いや別に創作物から興味を持ったり、時に好感を持っても全くの問題はないのでは? ぶっちゃけ、最初に読んだ時点で歴史初心者が「全て真実」だと思い込んでも個人的には問題がないかと思います。問題はその後、それをきちんと直す存在がなきゃならないってことでしょう、それも出来ないのならば小説を罵倒してもただのオナニーですかと
ウミドリくん @umidori_kun 2013年4月13日
aosasa その「きちんと直す存在」に対して小説を罵倒だのオナニーだとの連呼する輩がいるんですよね。あなたみたいに。
ええな@ニャンガブ @WATERMAN1996 2013年4月16日
歴史に関して言うと、「本当」を知るすべが限られているって話があります。個人的に戦国や幕末のお話が嫌いな理由の一つ、「見てきたように嘘を言い」がまかり通っている。
きまぐれ翠 @Kimagure_Suisei 2013年4月16日
ああ、「火のないところに煙は立たぬ」的な。>、「そうは言っても、こういう話が書かれているということは、それなりに根拠があるのだろう」という反論が出ることが結構ありま砂。
kawonasi @kawonasi4989 2013年4月16日
一夢庵風流記が史実だと思ってる人も結構多そうな予感w
ちくわ@だいぶヱロい @tikuwa_ore 2013年4月16日
フィクションを全くの史実と思い込んで考えを改めないおバカさんは論外として、フィクション作品を切っ掛けに「現実の史実はどうなんだろう?」と考えるのは良い事じゃないのかなあ、と。
ぢゃいける@厚真町 @jaikel 2013年4月16日
日本の歴史は権力者におもねった改竄と捏造の山なので、創作か史実かいまさらあまり気にしねえんじゃねえのと無責任に思う。
tamatama @tamatam9801 2013年4月16日
創作が史実と誤認されることより文章中の「喃。」「砂。」にイラっときた
星五76体の地方妖怪 PGERA @PGERA_RX 2013年4月16日
歴史系の酷さは異常。やる夫スレだと太閤立志伝のスレですら「史実では~」とか言い出す阿呆が大量popしたし。
今泉圭介 @suparobomasterK 2013年4月16日
とりあえずで諸所の事情で悪役イメージがついちゃった人は悲惨だと思うのだった、井伊直弼とかマリーアントワネットとか始皇帝とか北条政子とか…
うそこばん @usokoban 2013年4月16日
Kimagure_Suisei 実際には「煙を立てればそこに火があると錯覚する情弱が大発生する」という方が正解に近いですよね。困ったものです。
坂東α @bando_alpha 2013年4月16日
見て来ないように嘘を言っても詰らんしな。よし記紀の創作性を批判しよう!
坂上泉 @calpistime 2013年4月17日
歴史は、歴史学という人文科学と、歴史物語や歴史小説などの文学とでは、そもそも立つ場所が違うのに、それを混同してしまうことが大いにあります。それは、物語性と科学性を共に有する歴史の宿命です
月戌👺㌠ @_moondoggie 2013年4月17日
昔、テレビ時代劇には一定「考証マニア」が粘着してたもんですけど、どっちが良い悪いじゃなくて両方分かって楽しめればそれが一番ですよねー
弓原宗介 @yumishiki 2013年4月20日
(´・ω・`)戦国時代の話は全部江戸時代の小説からきてるって話は内緒な。実際には資料はわずかしかなくて、後北条氏以外のことは全く解っていない
神無月久音 @k_hisane 2013年4月21日
まとめを更新しました。「史実と違うからこの作品は駄作」というレビューの実例があったので追記をば。
ut_ken @ut_ken 2013年4月21日
なんか「歴史は権力者の都合のいいように云々」とありがちな知ったかぶりコメントがありますけど、実際には「皆が見たいと思うように作られる」ですわ
ut_ken @ut_ken 2013年4月21日
江戸時代でさえ義民伝承とか秀吉の庶民派立身出世とか赤穂浪士とか真田幸村とか、権力に都合は悪いが大衆の願望にそったのが山ほど
冷たい熱湯 @Tuny1028 2013年5月29日
どんだけ資料をひっくり返してもわからないところは創作するしかないわけですしね(小説の場合)。で、創作が上手ければうまいほど史実との見分けがつきにくくなる罠
紅夜 @aosasa 2014年3月23日
受け入れて貰えないと引き付けを起こしてギャン泣きするのは「アドバイス」ではなくて「オナニー」ですよね、普通に。どうして俺が正しいのに支配されないんだよって喚かれても…たかが歴史題材なだけのフィクション見て知らん馬鹿に支配されたい人いるわけないだろ馬鹿くさい
よーぐる @Seto_yasu1987 2014年4月25日
完全なる創作であるのに、鍋島家を語る時に当然のように出てくる鍋島化け猫騒動の厄介さよ
創作文芸サークル時の輪@通販受付中 @Kamimura_Maki 2015年8月21日
ut_ken 個人的にはそれらはどこまで「権力に都合が悪い」話だったか疑問でして。徳川家を直接貶めたり「徳川を無き者にしよう」系の創作でなければ、許容されていたようにも思うんですよね。例えば秀吉の話は「庶民でも頑張れば立身出世出来るんだから励め」系の話、赤穂浪士や真田幸村は「主君に何があっても忠義を尽くすべし」系の話に読み替えることは可能ですし、そういう話として許容してきたように思います。
みなとまちこ・騎空士・マスター司書 @showaretoro 2016年5月1日
柳生一族の陰謀のレビュー…想像の斜め上いきすぎてます。ネタにマジレスと言うか狙ってるようにも思えました。
空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2016年5月1日
創作が史実と誤認されている顕著な例は「忠臣蔵」と「赤穂事件」でしょうな。吉良が浅野に散々嫌がらせをしたから浅野がついに腹に据えかねて吉良に切りつけたなんてのはフィクション。だから忠臣蔵のオハナシだけで、吉良を悪党と決めつける輩がいることには憤りを感じる。
こざくらちひろ @C_Kozakura 2016年5月1日
『サウンドオブミュージック』『第3の男』『うたかたの恋』、オーストリアも創作の嘘で塗り固められている。しかも、そのほとんどがオーストリア人による制作でない。このあたりは三国志を日本でアレンジされまくりの中国人の心境に近いものがあるかもしれない。
こざくらちひろ @C_Kozakura 2016年5月1日
おまけにハプスブルク家を題材にしたオーストリア版時代劇がオーストリア人によって制作され、オーストリア国内でも広く放送されていたりもする。史実が結構やばいので、創作でマイルドにするということは日本とオーストリア共通の創作傾向ともいえる。
空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2016年5月1日
三国志は、日本がどうのという前に演義でアレンジしまくりでは。もちろん正史とて史実ばかりではないわけですが。
ВИК @qb_vick 2017年11月24日
司馬遼太郎の書いた坂本龍馬像を事実だと信じ込んでる武田鉄矢みたいなもんか。
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