怪集 -昇降機-

神沼三平太🐈‍⬛🐈 @3peta

Yさんはエレベータの入り口にほど近いところに立つ癖がある。その日もドアがすぐ背後で閉まるのを確認した。エレベータが上昇を始めた。体にGがかかる。え？　肩にGではない重みが掛かり、ついに両膝をついてしまった。振り返ると、エレベータのドアから生えた腕が、肩をぎゅっと押していたという。

くら @neurosnowblind

酔っていた。人身事故があって電車が止まっている。やれやれ。駅のエレベーターに乗って下に行こうと思ったが、中に載っていたおばあちゃんは上に行くらしい。やれやれ。……と、気が付いた。上を見る。駅と下の階以外、上に行くはずはない。上にあるのは夜空だけ。

くら @neurosnowblind

エレベーターに乗ると先にいる男性が自分の行く先のボタンを押していたのでそのままでいた。五階。着いた。男性が降りないので私が先に降りた。扉が閉まる。私は急いで階段で一階降りて自分の部屋に入る。一階上であの男が歩き回り、戸を叩き回る音が今日も聞こえている。

神沼三平太🐈‍⬛🐈 @3peta

エレベータに老婆がいた。だらりと力が抜けた姿勢で、視線も定まっていない。気持ち悪いなと思いながら、そちらを見ると、だんだんと肉が下に垂れ落ちて行っている気がする。どろっと腕の贅肉が重力で落ちて行く所で、自分の降りる階に辿り着いた。翌日、エレベータにはラードのような肉が落ちていた。

（かずぷー） @kaz_poo

押忍！ 僭越ながら、自主トレ名目で　「怪集 -昇降機-」　をつぶやきます。#tknk

（かずぷー） @kaz_poo

エレベーターが突然、凄まじい振動とともに急停止した。天板は大きくUの字に撓み、そこを何者かが這う気配がした。非常通話で管理会社を呼んだが、彼らは来なかった。天井の気配はやがて消えた。結局、翌日になって自衛隊に救出された。「運がよかったですね。このビルの生存者はあなただけです」

加藤AZUKI @azukiglg

@ts_p エレベータが停まって既に十時間。真っ暗。携帯のバッテリは切れた。救助の気配もない。暑い。腹減った。しかしそれ以上にトイレに行きたい。人間の尊厳との闘い。しかし我慢の限界が。暗闇にしゃがみこむ背徳感と至高の生理的安堵感。そのとき誰かが闇の中からそっと紙を手渡してくれた。

加藤AZUKI @azukiglg

@ts_p 昇降機怪談で「救援」

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p あるフランチャイズ本社に研修で訪れた。古いビルでエレベータは一台。四人しか入れない狭さで私は下っ端のため最後に一人で乗った。すると突然箱が止まった。一時間ほどで動き出したがすでに研修は終わり誰もいない。私が閉じ込められている間もエレベータは普通に動いていたという。

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p 「怪集 -昇降機-」でタイトルは「隔離」でした。

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p K市役所のM庁舎は元病院を再利用しているためエレベータが大きい。ベッドごと入る広さだ。仕事関係で私を含め数人で訪れたときのこと。不意に箱の中で誰かが咳をした。それが小さな子の咳に聞こえた。私たちは顔を見合わせたが誰も咳はしていない。コホンと箱の片隅からまた聞こえた。

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p 「怪集 -昇降機-」でタイトル「咳」。実話なのでこの場所は実在します。

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p 改築前のM中学には給食用の小型昇降機があった。しかし使われていない。ある日の夕暮れどき小型昇降機の中からドンドンドンと叩く音を通りかかった数人の生徒が聞いた。人一人なら入れそうな大きさだが、昔男子生徒が首を挟まれて以来、操作パネルは外され扉も鉄板で溶接されている。

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p 「怪集 -昇降機-」で「中から」。母校ですが。

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p 祖父が入院していたころ。病棟の休憩所で自販機のジュースを飲んでいるとエレベータがチンと到着。しかし誰も乗っていないし乗る人もいない。なんとなく見ているとエレベータはＢ１まで降りたらしい。ランプはＢ１のままかなり長いこと止まっていた。地下にあるのはもちろん霊安室のみ。

おぼろちゃん @oboroose

@ts_p 「怪集 -昇降機-」で「Ｂ１行き」。

高田公太 @kotatakada

エレベータ怪談。「エレベーター」じゃなく「エレベータ」で表記統一したほうがいいかな。

高田公太 @kotatakada

エレベータから降りて、もうどれくらいになるか覚えていない。十年か二十年かまったく検討もつかない。何にせよ、俺は長いあいだ、この＜二十八階＞で暮らしている。不思議と眠くもならないし腹も減らない。ここから出たいとも思わないし、そもそも階段も、あったはずのエレベータも見当たらない。

高田公太 @kotatakada

エレベータ怪談「階縛」

深川拓 @tuckfukagawa

@ts_p 昼休み、女子生徒が教室で腰痛を起こした。椅子から起こそうとするだけで絶叫する彼女を４人がかりで抱え上げ、非常時のみ稼働するエレベータに運びこもうとすると、身悶えて拒絶した。痛む腰に顔を歪め廊下を這いずり、階段から落ちた彼女は、涙を流しながら安堵の表情を浮かべた。

深川拓 @tuckfukagawa

@ts_p 「怪集 -昇降機-」向けに、タイトル『痛みを超えて』。学校で腰痛を起こした同級生は実際にいました。こんな展開はしませんでしたけど、壮絶な光景でした……

廻転寿司 @kaitenzushi

@ts_p 「怪集 -昇降機-」こそ表紙で動的な仕掛けができないかなと（機械だけに動くパーツがあるので）ふと思ったところ。自分用にちょっとメモ。

廻転寿司 @kaitenzushi

@ts_p あとは写真+文章という形（見開き片側が写真、片側が文章）が可能か、それで何か一冊作って面白くなりそうかどうか…。これは写真の画質によるかも。

深川拓 @tuckfukagawa

@ts_p 「怪集 -昇降機-」は、各篇にそれぞれ違うエレベータの写真を添える、というのも面白いとふと思いました。

深川拓 @tuckfukagawa

@ts_p ……そしてこの直後から、各地で建物に侵入してエレベータの写真だけ撮って去っていく怪しい人々が繰り返し目撃されるようになるのでした。ちょっと残念怪談ぽい。