即興小説『忍殺風「走れメロス」』(完結)

◆「メロス・ランナウェイ・フォー・ユウジョウ」◆執筆者はニュービーにつき至らぬ点が多々ある◆お楽しみいただければ幸い◆Wasshoi!
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浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

著作権の切れた古典名作短編を忍殺語でリライトする合同 というのはどうでしょうか

2013-02-13 18:01:25
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「メロス・ランナウェイ・フォー・ユウジョウ」 #1

2013-02-14 21:28:35
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

メロスは激怒した。慈悲はない、邪知暴虐の王殺すべしと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスはイナカ・ソサイエティの羊飼いである。イナカで笛を吹き、羊と遊んで生きてきた。しかし邪悪なるものに対しては、実際敏感であった。 1

2013-02-13 18:28:03
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

今日未明、メロスはイナカを出発し、羊飼いの恐るべき脚力をもって、約40キロメートル離れたこのシラクス・シティにやって来たのだ。 2

2013-02-13 18:34:09
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

メロスの両親は既に亡い。妻もいない。16歳になる内気な妹と2人暮らしだ。この妹は近々イナカの別の羊飼いと結婚する予定である。オメデタ! メロスは妹のため、ハナヨメ・イショーやご馳走を買いに、シラクス・シティまでやって来たのである。 3

2013-02-13 18:39:07
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

買い物を終え、メロスはシティのメイン・ストリートをぶらぶらと歩いた。メロスにはタケウマ・フレンドがあった。セリヌンティウスという石工の男だ。これからその友のもとを訪ねようとしている。セリヌンティウスと逢うのはオヒサシブリなので、メロスの胸は浮き立っていた。 4

2013-02-13 18:41:33
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

歩くうちにメロスは街の様子がおかしいと察した。街は相応しからぬ静寂に包まれている。既に陽は落ちている。暗いのは当たり前だ。だが、この静けさは夜のためばかりではない。ノンキなメロスも実際不安になってきた。 5

2013-02-13 18:46:26
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

メロスは街の若者を捕まえて訊ねた。「ドーモ、メロスです。街はどうした。2年前はもっと賑やかだったはずだ」若者は首を振るばかりで答えず、そそくさと去っていた。メロスは次に老人を捕まえて強く訊ねた。老人はあたりをはばかりながら小さく答えた。 6

2013-02-13 18:50:24
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「アッハイ。王様は人を殺します」「なぜ殺すのだ」「悪心アトモスフィアを抱いている、インガオホー! というのですが、誰もそんな悪心アトモスフィアを抱いてはいません」「何人殺した?」「妹君のダンナ=サン、ご自身のムスコ=サン、イモウト=サン、そして妹君のムスコ=サン……」 7

2013-02-13 22:41:49
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「ワッザ!? 王は乱心か」「乱心ではありませぬ。人を信じられぬと……。最近ではカチグミ・シンカにも人質を差し出させています。拒めばサラシ・クビです。今日は6人殺されました」聞いてメロスは激怒した。「呆れた王だ。慈悲はない、王殺すべし」 8

2013-02-13 22:44:38
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

メロスは単純な男であった。買い物を背負ったままで、メロスは王城へ歩いていく。その行く手にクローン警吏が立ちふさがった。「ダッテメッコラー!」「スッゾコラー!」メロスは懐中からスリケンを投擲!「イヤーッ!」「グワーッ!」メロスのスリケンはたちまちクローン警吏を絶命させる! 9

2013-02-13 22:50:10
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

しかしあまりに多くのクローン警吏の前に、たちまちメロスのスリケンは尽きた。「シャッコラー!」「シャッコラー!」「シャッコラー!」「シャッコラー!」「シャッコラー!」「シャッコラー!」「シャッコラー!」「シャッコラー!」ナムサン! メロスはたちまち捕らえられてしまった! 10

2013-02-13 22:52:57
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

メロスは王の前に引き出された。「ドーモ、はじめましてメロス=サン。ディオニスです」「ドーモ、ディオニス=サン。メロスです」暴君ディオニスは静かに、けれど威厳をもってメロスにアイサツした。「このスリケンで何をするつもりであったか、言え!」その顔は蒼白で、眉間の皺は深かった。 11

2013-02-13 22:58:05
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「困っている人を助けないのは腰抜け」メロスは悪びれずに答えた。「ミヤモト・マサシのコトワザか」王は憫笑した。「お前には儂の孤独がわからぬ」メロスはいきり立って反駁した。「人にジュ・ジツを使えば己の墓穴が増える! 民の忠誠さえ疑うのが王か」 12

2013-02-13 23:04:44
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「ムハハハハ! 疑わねば生きてはいけぬ。そう教えたのは貴様らだ。人間は私欲の塊よ。信じてはならぬ。儂だって平和を望んでいるのだ」王の落ち着いた言葉に、メロスは嘲笑した。「何のための平和だ。自分のためか。罪なき人にセプクを迫って、何が平和だ」 14

2013-02-13 23:12:29
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「黙れ、マケグミ・イナカモンが」王は一喝した。「口の先端3フィートというコトワザがある。儂には人の腹の底が見えてならぬのだ。貴様だってセプクを迫られてから泣いて失禁したって聞かぬぞ」 14

2013-02-13 23:15:29
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「俺はセプクの覚悟を決めている! 命乞いなどない! だが――」メロスは叫び、視線を落として続けた。「セプクまでに三日の期限がほしい。たったひとりの妹が結婚するのだ。三日のうちにイナカで結婚式を挙げさせ、ここに戻ってこよう。戻ったら潔くセプクしようではないか」 15

2013-02-13 23:20:25
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「馬鹿な。逃げたお前が帰ってくるというのか」「そうだ。俺は帰ってくる。信じられぬというなら、この街にセリヌンティウス=サンという石工がいる。俺のタケウマ・フレンドだ。彼を人質としてここに置いていこう。三日目の日没までに俺が戻らなかったら、彼をセプクさせてくれ」 16

2013-02-13 23:23:49
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

それを聞いてディオニスはそっとほくそ笑んだ。このメロスも所詮は同じ穴のラクーン、どうせ帰ってこないに決まっている。それなら騙されたふりをして、三日目に悲しみにくれながらこいつの友とやらをセプクさせてやろう。王の顔に浮かんだ笑みは邪悪であった。コワイ! 17

2013-02-13 23:29:47
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「ムハハハハ! わかった。身代わりを連れて来るがいい。三日目の日没に遅れたら、身代わりを殺す代わりに貴様は永遠に許してやろう」「なんだと」「ムハハハハ! 命が惜しければ遅れて来るんだな! 貴様の心はわかっているぞ!」メロスは悔しさにジダンダのマイを舞った。 18

2013-02-13 23:32:20
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

メロスのタケウマ・フレンド、セリヌンティウスは深夜、王城に連行された。暴君の前でタケウマ・フレンズは2年振りに再会した。「ドーモ、メロス=サン。セリヌンティウスです」「ドーモ、セリヌンティウス=サン。メロスです。巻き込んでしまってすまない」 19

2013-02-13 23:34:47
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

メロスは一切の事情を語り、セリヌンティウスは無言で頷いた。「ユウジョウ!」「ユウジョウ!」友と友の間はそれで充分であった。セリヌンティウスは縛られ、メロスはすぐに王城を出発した。満天の星であるが、それを見上げる時間はない。今はただ走れ、メロス! 20

2013-02-13 23:36:57
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「メロス・ランナウェイ・フォー・ユウジョウ」 #1終わり #2へ続く

2013-02-14 21:28:50
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

ニュービー・ニンジャヘッズの忍殺語トレーニングの一環としてしばらく不定期に続けるかなこれ

2013-02-13 23:38:50
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「メロス・ランナウェイ・フォー・ユウジョウ」 #2

2013-02-14 21:36:11
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