スタンリイ・エリン第一短篇集『特別料理』
スタンリイ・エリンの最終短篇集を読んでいる途中だが、第一短篇集を入手できたので、そちらを優先することにする。やはり処女作から読んで、遺作短篇を読みたいので。
2010-07-27 18:52:02S・エリン『特別料理』の田中融二氏の訳者あとがきで、エリンの作品は「欧米では形式として極めて完成された感のある"短篇小説"(story もしくは short story)のジャンルに属するもの」とある。
2010-07-27 18:59:03スタンリイ・エリン「特別料理」(『特別料理』):処女作から芸術や職人やその鑑賞者を書いていたんだな。終生のテーマ、モチーフなのだろう。真相は予想できたが、オチの処理の仕方に工夫がある。
2010-07-27 21:41:35エリン「お先棒かつぎ」(『特別料理』):男が謎の仕事を与えられる。職人の真面目さの問題。そういえば栗本慎一郎もアウシュビッツの科学者の真面目さを問題にしていたが。
2010-07-27 22:52:00エリン「アプルビー氏の乱れなき世界」(『特別料理』):この作品も趣味に生きる愛好家(ある種のマニア、オタクか)の話。エリンの短篇でこのジャンルは処女作以来初になるが、最高級のユーモア・ミステリ。しかも怖いところもある。
2010-07-28 01:11:20エリン「好敵手」(『特別料理』):『ジキルとハイド』のような話だが、オチは並。この作家にはこの作品のような趣味に生きる旦那と無理解な妻の話が多いが、私生活が心配になるw
2010-07-30 05:38:12エリン「君にそっくり」(『特別料理』):これまた皮肉が効いたオチだなあ。ニューヨークらしい話だ。作家自身、生まれも育ちもニューヨークだし。
2010-07-30 07:48:12エリン「パーティの夜」(『特別料理』):マンネリ化した連続公演(という悪夢)から逃げ出したい俳優の話。オチは読めたが、現在のアニメや映画でも繰り返し語られ続けている物語類型。人生と娯楽自体の隠喩か。
2010-07-30 16:31:30エリン「決断の時」(『特別料理』):この終わり方は「ミステリ」というより「文学」ですなあ。EQMM誌年次コンテスト第一席で、結城氏や仁賀氏もエリンのベストに含めてますが、私にはふーんという感じ。
2010-07-31 15:11:47スタンリイ・エリン『特別料理』読了。予想外のオチを期待していると、ミステリというより文学的な作品が多いか。それでも「アプルビイ氏」「君にそっくり」等のキレ味は良い。二冊目以降はミステリと文学の融合が上手く行ってるような。
2010-07-31 15:20:46