校正技能検定の沿革

日本エディタースクール@EditorSchoolが主催している校正技能検定の沿革をまとめました。 2001年に100回を数えて以降も回数を重ね、2013年現在、第135回まで行われています。 校正技能検定の試験概要・受験方法などにつきましては、こちらをご覧ください。 http://www.editor.co.jp/exam/
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日本エディタースクール @EditorSchool

校正技能検定の沿革について、第100回を記念して2001年に発行した冊子『校正技能検定試験100回の歩み』から、少々まとめて紹介しておきましょう(当時の日本エディタースクール代表(現会長)・吉田公彦の「謝辞」より適宜抜粋。〔 〕内は注記・略など)

2013-02-18 16:01:35
日本エディタースクール @EditorSchool

「日本エディタースクールが主催する校正技能検定試験は、本年〔※2001年〕3月に実施されました3級試験をもって通算100回を迎えました。1966年11月に第1回試験が実施されましてからじつに35年目のことであります。」

2013-02-18 16:02:01
日本エディタースクール @EditorSchool

「校正技能検定試験の実施をわたしたちが思い立ったのは、1964年4月に、日本エディタースクールが発足してから3年目にさしかかったころでした。しかし出版界には参考となるべき先例がありません。そこでまず〔…〕岩波書店編集部副部長の藤森善貢氏に相談いたしました」

2013-02-18 16:02:10
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「〔藤森氏には〕製本組合の技能検定〔当時全国製本組合連合会が主催していた三級製本士資格取得試験〕の技能試験を参考にしたらどうか、また実際の中身については迎田英男氏〔当時、スクールの夜間部校正教室講師〕に協力を仰ぐのがいいだろうという助言をいただきました」

2013-02-18 16:02:19
日本エディタースクール @EditorSchool

「迎田さんは当時岩波書店事典部副部長でした。〔…〕実務に長けた校正の大ベテランでしたので、校正検定試験の構想をお話したとき直ちに反応されて、個々人の校正能力を客観的に評価するにはどうしたらよいか、数々のアイデアを出されて、審査要項、応募要項ができあがっていきました。」

2013-02-18 16:21:12
日本エディタースクール @EditorSchool

「その過程で迎田さんはご自分が得意とされる縦組の試験だけでは十分でないとして、同じく校正教室で横組を担当していただいていた岩波書店事典部の美坂哲男氏をパートナーとして、二人でタテ・ヨコをワン・セットにした検定方式の原案を作られたのですが、これは〔...〕画期的なものでした。」

2013-02-18 16:22:29
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「審査委員会については、まずエディタースクールの校正担当講師を核にして、それに出版界の有識者、出版界・新聞界の業界団体からの代表を交えて編成することにしました。」

2013-02-18 16:32:19
日本エディタースクール @EditorSchool

「その結果、上記の迎田、美坂氏のほかに岩波書店の初代校正課長で俳人の西島九州男氏、前中央公論社校閲部長で倫理学者の長谷川鑛平氏、筑摩書房校閲部第一課長・鈴木兼吉氏、中央公論社校閲部次長・鈴木崇生氏、精興社整版指導部長・宮野節夫氏の7名の校正教室担当講師に、」

2013-02-18 16:32:34
日本エディタースクール @EditorSchool

「日本書籍出版協会相談役・布川角左衛門氏、新評論社社長美作太郎氏、日本新聞協会・三樹精吉氏の3氏を加えて10名の方にお願いし、最長老の西島さんを初代審査委員長として第一期校正技能検定審査委員会は出発することができました。」

2013-02-18 16:32:44
日本エディタースクール @EditorSchool

「試験方式も現在の方式とはちがって、タテ組、ヨコ組の両コースからの選択方式でした。ただし原稿引合せ3問のうち1問は共通で、同じ題材をタテ、ヨコに単純に組み分けたものでした。この方式は第7回試験まで続けられました。」

2013-02-18 16:58:56
日本エディタースクール @EditorSchool

「第7回までは級付けはありませんでした。〔…〕技能検定の目的には一般的に言って、現場で通用する技能レベルを判定する面と、それをめざす本人の技能向上心を育てるという教育面の両面があると思うのですが、はじめのころの校正技能試験はどちらかといえば、やや前者に傾いていたように思えます。」

2013-02-18 16:59:06
日本エディタースクール @EditorSchool

「級付けをしなかったということもそうした考えの反映だったのかも知れません。しかし校正の学習者が多い割には合格者の数が限られており、やがて審査委員会も事務局側も、後者についても対応する必要を感じされられるようになってきました。」

2013-02-18 16:59:15
日本エディタースクール @EditorSchool

「そこで級付けのなかったこれまでのレベルを3級とすることにして〔現在は上級〕、その下に4級〔同中級〕を設け、その合格者に3級受験資格を与えることになりました。〔…〕実施されたのは1972年のことです。」

2013-02-18 16:59:22
日本エディタースクール @EditorSchool

「100回までの総受験者は4級試験8062名(合格者2426名)、3級試験1729名(436名)を数えるに至りましたが、これをみても4級を設けたことの教育的効果は大きかったし、また3級合格者も2界の試験でチェックされることから、検定方法の信頼度もさらに高まったといえます。」

2013-02-18 17:30:20
日本エディタースクール @EditorSchool

「年月の流れとともに、第1回試験の合格者を始め、その後の合格者の方も現場でキャリアを積まれ〔校正技能審査〕委員として参加していただくようになってまりました。校正技能検定試験の成果が今度は審査委員会自体に新しい力を注ぎ込み、維持するまでに及んできたのです。」

2013-02-18 17:30:28
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「〔当時事務局が受講生向けに出していた冊子『EDITOR』〕を見ますと、第1回試験実施の予告とあわせて、試験後に合格者を中心に「日本校正者クラブ」を発足させる予定であるとして、「運営要領」まで掲げてあります。」

2013-02-18 17:30:36
日本エディタースクール @EditorSchool

「〔日本校正者クラブは、〕合格者発表後の12月内に会員21名で結成され、青柳晶彦氏が初代代表幹事に選出されました。現在三百数十名の会員を擁する、その後のクラブの成長・発展ぶりについては、現在のクラブの方からご報告をうかがえると思います。」

2013-02-18 17:30:42
日本エディタースクール @EditorSchool

「検定試験の初期のころを主にしてそのおよその経緯を述べてまいりましたが、長い歴史をもつ活字組版から写植組版を経てコンピュータ組版へと急速に移行してゆく時代に遭遇して、その道のりはけっして平坦ではありませんでした。」

2013-02-18 18:05:19
日本エディタースクール @EditorSchool

「しかしそういう激動の時代であればこそ、良質の出版物を安定して維持するために、この事業に課せられた役割と責任を果たすことがいっそう要求されてきたといえます。幸いにも、合格者の方がたが今や出版界の内外で、ベテラン、中堅、若手として至る所で活躍されております。」

2013-02-18 18:05:25
日本エディタースクール @EditorSchool

「試験実施側と受験者側の情熱が一体となって、可能な限りこの要請に応えてきたのだと思います。この校正技能検定試験に文部省の認定といった「お墨付き」がないことに物足りなさを感じる声も外側から聞こえてこなかったわけではありません。」

2013-02-18 18:05:33
日本エディタースクール @EditorSchool

「業界団体というわけでもなく単なる民間の一教育機関の主催というのは余りにも制度的権威を無視したものとしてその成否が危惧されたのでしょう。しかし、この一見「非常識」ともみえる挑戦は歳月をかけ、実績をつむことにより、それが単なる危惧でしかなかったことを見事に立証したのであります。」

2013-02-18 18:05:42
日本エディタースクール @EditorSchool

「わたしは校正者の存在を聖書にいう「地の塩」にたとえています。出版物の「腐敗」を防ぐには「地の塩」ともいうべき校正者がなくてはなりません。その存在を、世代にわたって維持するために、これまた匿名者の作業を黙々と100回、35年にわたり遂行していただきました」

2013-02-18 18:28:15
日本エディタースクール @EditorSchool

「審査委員をはじめとする関係者の方がたにたいし、あらためて、限りない尊敬の念と感謝の意をささげるものです。」以上、超長話失礼いたしましたm(__)m 校正技能検定はこのような背景と歴史を持つ試験ということを、今から目指す方も、またこれまでに取得された方にも知っていただきたく。

2013-02-18 18:28:39
日本エディタースクール @EditorSchool

「校正者=地の塩」についてもう少し説明しますと、「地の塩」とはキリストが山上の垂訓で群衆や弟子を前に、「あなたたちは地の塩であって、世の中の腐敗をふせぐのが役目だ」といったことをさします。以下吉田の言葉からですが、

2013-02-18 18:28:49
日本エディタースクール @EditorSchool

「職能を大事にすることも、何かそれに通じるところがあるように思う」「有名か無名か、そんなものは問題じゃない。いちばん典型的なのが校正者。」「よい校正者がいないと本が腐ってしまいます。」「校正者こそ「地の塩」のプライドにふさわしいな、と日ごろ私は思っている。」

2013-02-18 18:28:58