シマウマ(f_zebra)さんが紹介する『米国が原子力発電所の立地候補地に課している規制要件－10CFR50,Appendix Sおよび10CFR100.23』

Flying Zebra @f_zebra

活断層について事業者に事実上の「悪魔の証明」を求めるなど、規制委員会の有識者会合は相変わらず「科学」に背を向けて突っ走っていますが、参考までに米国が原子力発電所の立地候補地に課している規制要件を見てみましょう。

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1997年以降、それまでの10CFR100,AppendixAに代わって10CFR50,Appendix Sおよび10CFR100.23が適用されるようになっています。前者は地震動と応答スペクトルに対する工学的な基準、後者は地質学・地震学による立地基準です。

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技術的なバックグラウンドとしては、内務省の下部組織であるUSGS（米国地質調査所）が過去の地震のデータベースからまとめた地震ハザードマップ、断層マップ、Vs30マップに拠っています。（Vs30：波長30m以上のせん断派速度Vsの平均値）

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実際の規制に係るNRCの規制指針（Regulatory Guide）としてはRG1.60 Rev.1、RG1.61、RG1.132、RG1.138が現在有効です。

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活断層（capable fault）については10CFR100,Appendix Aで定義されています。具体的には、以下の1～3のうち1つ以上の特徴を持つ断層とされています。

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【10CFR100,Appendix Aによる活断層の定義】(1) 地表面または地表近くにおいて過去35,000年以内に1度、または過去500,000年以内に繰り返し動いている断層

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【10CFR100,Appendix Aによる活断層の定義】(2) 大規模な地震活動の記録と十分な精度で関連が示された断層

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【10CFR100,Appendix Aによる活断層の定義】(3) 上記1または2で決定された活断層と構造的な関連性があり、活断層の動きに連動して動くと合理的に予想できる断層

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【10CFR100,Appendix Aによる活断層の定義】ただし、上記1、2及び3を満たしていても、合衆国東部に見られるような地質学的に古い（第四紀より前）地層と構造的な関連がある断層については、矛盾する証拠がない限り、ここで定義する活断層ではない。

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RG1.165でも同様の記載がありますが、ここでは更に地震動を起こす地震源（Seismic Source）と、地表面変形を起こすCapable Tectonic Source（活動的地殻変動源？）を明確に区別しています。

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気力が萎えてきたのでこれ以上の深入りは避けますが、重要なことはちゃんと合理的に根拠が示され、言葉の定義一つにしても丁寧に説明が為されているということです。もちろん恣意的な解釈の余地はありますが、その場合も誰がどう考えてそう決めたのかはちゃんと説明されます。

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我が国の規制委員会は、議論をオープンにする努力は並々ならぬものがあるものの、肝心の中身については判断の論理的なプロセスが議事録を読んでも見えてきません。自分たちが何を「安全」と考えているのかを合理的に示すこともできず、どうやって安全を審査するのでしょうか。