永久機関さんの話題から考える,「わかりづらいエネルギー」について。
- KAMON_Yammani
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永久機関さんを指さして笑えないなあ…と思うのは,物理に詳しくない人にはわかりづらいエネルギーがあるから。永久機関を「発明」しちゃう人は,だいたいこの「わかりづらいエネルギー」を使っている。
2013-02-20 17:23:48物理畑でない人に「エネルギーって何エネルギーがある?」って訊くと,たいてい熱や光などの答えが返ってくる。逆に言うと,熱かったり光ったりしないものは,エネルギーだと分かってもらえないのだ。そういうエネルギーの例を2つ挙げよう。
2013-02-20 17:25:39一つは,「重力ポテンシャルエネルギー」。中学校で「位置エネルギー」として習うものだ。高いところにある物体は,それだけでエネルギーを持つ。
2013-02-20 17:29:23もう一つは「運動エネルギー」…というと物理屋さんはびっくりするかもしれないが,運動エネルギー自体は理解できても,それが「使ったらなくなってしまうエネルギー」であるということがわかんない人がいる。件の永久機関氏もそれ。
2013-02-20 17:30:28例えば,水力発電や風力発電。これが何エネルギーで動いているか問えば,多くの人は「水エネルギー」だの「風エネルギー」だのとRPGの属性魔法のように捉えていることがわかるだろう。
2013-02-20 17:34:17水力も風力も「燃料費がタダ」の発電方法だが,これを「何も消耗せずに発電できる」と思っている人は結構多い。発電したって,水も風も消えるわけではないから。
2013-02-20 17:38:41水力発電では,水はたしかに一滴も減らない。しかし,「高いところにある水(が持っている位置エネルギー)」はガンガン減っていく。発電所より下に落ちた水は,エネルギーを加えない限り発電所の上に上がっていくことはない。
2013-02-20 17:46:31下に落ちた水はどうやってダムの上に戻るのだろうか。皆さん御存知の通り,蒸発して水蒸気になり,雲となり雨となって降り注ぐことで戻るのである。では,この時に何のエネルギーを使っているのだろう?
2013-02-20 17:48:50ここまで来ればお分かりだろうが,風力発電も同じだ。風とは空気の対流のことであり,その対流は太陽が空気を温めることで生まれる(偏西風などはちょっと違うが省略)。やはり元を正せば太陽の熱エネルギーである。
2013-02-20 17:53:50これに太陽光発電を加えると,いわゆる「再生可能エネルギー」の多くは,実は太陽の熱エネルギーを別の形で利用していることが分かる。太陽は,人類がちょっとエネルギーを拝借したぐらいではなくならない。人類にとってはほぼ無尽蔵のエネルギーなのだ。
2013-02-20 17:55:50ちょっと特殊なのは地熱発電と波力(潮力)発電。地熱は地球が持つ熱エネルギーであり,波力は地球の自転と月の公転の運動エネルギーを使っている。
2013-02-20 17:58:05…なんてこと,物理を本格的にやっていない人が知っているわけがない。だから,再生可能エネルギーはタダで使える無限のエネルギー,みたいに考えてしまうんだ。
2013-02-20 18:01:33太陽の熱エネルギー,地球の熱エネルギー,地球と月の運動エネルギー。現状ならミミズが土を食うレベルだが,今後科学が発展してこれらから大量にエネルギーを取り入れたらどうなるだろうか。
2013-02-20 18:03:38当然,太陽や地球は冷えて使い物にならなくなる。地球の自転が遅くなって1日が長くなり,月の公転も遅くなってやがては地球に衝突する。
2013-02-20 18:05:58つまり,再生可能エネルギーだからといってガッツリ使っていいわけじゃないよということです。繰り返しますが,今の技術では杞憂です。でも,今後エネルギー消費は爆発的に増えていくとおもわれるので,いつかはこれらエネルギーの枯渇を心配をする時が来るかもしれません。
2013-02-20 18:08:06スイングバイをやりすぎて,木星や土星が太陽に衝突する危機を迎えた近未来…なんてSF小説が作れるかもしれません。もっとも,そこまで到達するのに地球いくつ分の質量がいるんだよという話ですが。
2013-02-20 18:10:05例えば、こんな永久機関を考えます(パパンの水車というそうな)。動くわけないのはお分かりでせうが、物理を知らない人になぜだか説明できますか? http://t.co/nMUL5yCr
2013-02-20 18:16:02