早見裕司氏「感性で書くタイプの人へ、どうすれば『感性』と思われているものを豊かにできるか」

タイトルの通りです。
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早見慎司 @laosuu

榊さんのツイートをじゃまする気はないんですが、1時間ほど暇なので、感性で書くタイプの人へ、どうすれば「感性」と思われているものを豊かにできるか。私がたぶん、そのタイプらしいので。

2010-08-30 20:40:50
早見慎司 @laosuu

簡単に言えば、感性と言われるものは、データベースです。必要に応じて、連想の種になるものが、どれだけ出てくるか。

2010-08-30 20:43:58
早見慎司 @laosuu

例えば、音楽。あるいは映画。ドラマでも、生きている上で経験したことを思い出せるか。ただし、それはとっかかりに過ぎませんので、コピーするのは、単なるパクりです。

2010-08-30 20:48:38
早見慎司 @laosuu

私は、音楽のフレーズからアイディアを思いつくことが多いのですが、iTunesに入っている曲が、2万曲ぐらい。別に持ってる自慢じゃありません。中にはカラオケバージョンもあるので、聴いている曲は、まあ5000曲ぐらいでしょうね。なんでも入ってます。演歌からクラシック、ヒップホップ。

2010-08-30 20:57:31
早見慎司 @laosuu

それを適当にシャッフルして聴いているとき、頭の中のもやもやと、妙に引っかかる曲が出てくる。まあ、五千ぐらいあると、何かしらは引っかかってくるわけです。その印象が、私の場合は、作品の輪郭になります。

2010-08-30 21:02:39
早見慎司 @laosuu

もちろん、歌詞をそのまま使うということはしません。それは著作権法違反です。タイトルには著作権がないのですが(JASRACのサイトで「ふられ節」という曲がいくらあるか、調べてみましょう)、かなり困ったときしか私は使いません。使った例は、次に書きます。

2010-08-30 21:07:23
早見慎司 @laosuu

「夏の悲歌」という本では、「ごっこ遊びをいたしましょ」という台詞を書いてしまいましたが、これは濱田理恵という人の曲のタイトルです。この本、300枚で完成した原稿を事情により短期間で500枚にふくらまさないといけないというあり得ない状況で書いたので、禁じ手を出さざるを得なかった。

2010-08-30 21:11:48
早見慎司 @laosuu

こういうことはしないほうがいい。だったら、どうやって小説に活かすか。音楽から光景を想像する、ということを、私はデビュー前からやっています。それは遊びとしてだったんだけれど、歌詞とは関係なく、音楽の印象を光景にしてしまう。歌詞は使っちゃだめです。光景のヒントにはなるけど。

2010-08-30 21:14:28
早見慎司 @laosuu

その光景は、実際のものでも、映画か何かにあったものでもいいんですが、五感が働くもののほうがいいですね。気温はどうなのか、どんな音が聴こえるか。音が聴こえるところで、すでに元になった音楽は、消えているはずです。こうして、イメージをふくらませていく。

2010-08-30 21:17:22
早見慎司 @laosuu

そういうイメージを、いくつか持って、後はそれを文章に変換していくわけですが、これは理屈では言えません。「考えるな、感じろ」というしかないです(笑)。理詰めで考えていくのは、推敲の段階でやることで、そこでは辻褄を合わせないといけないんですが、それはまた別の話。

2010-08-30 21:20:10
早見慎司 @laosuu

あるいは映像ですね、直接に。いまの傾向から考えると、ライトノベルは映像的であったほうが、有利だと思います。ただ、これは映像そのものというより映像の作り方に学ぶことが多いですね。私は、アクションシーンでコンテを描いてみたことがあります。コンテのノウハウを知っていると、これも有利。

2010-08-30 21:23:16
早見慎司 @laosuu

長くなるので、また今度、気が向いたらにして欲しいんですが、コンテが(絵にしろ字にしろ)書ける=箱書きができる、ということなんですね。このシーンがだいたいどれくらいの構成要素でどの程度の長さになるか。映像そのままではなく、文章量が、概ね計算できるようになること。逆もあります。

2010-08-30 21:26:56
早見慎司 @laosuu

つまり、50枚の短篇があったら、それはいくつのシーンになるか、計算できるようになると、これは強いです。アウトラインプロセッサなどを使うのも、私はありだと思っています。いくつの、シーンというかモジュールというか、そういう単位で書けばいいか分かると、まず、気分が楽になります。

2010-08-30 21:29:29
早見慎司 @laosuu

で、50枚の短篇、と考えると、当然ながら、意味のないエピローグや冗長な会話はできませんね。50枚だとまだ余裕があるか。じゃあ、30枚とか。10枚程度になると、また書き方が変わってくるので、ここでは触れません。

2010-08-30 21:32:08
早見慎司 @laosuu

榊さんのツイートも、要所要所読んでますが、私がデビュー作のあらすじに、「センチメンタル・サイキック・ホラー」と書いたのは、自分でやりました(笑)。なぜそんな恥ずかしいフレーズを、と言われたら、「若さ故の過ち」としか言いようがありませんね(爆)。

2010-08-30 21:35:10
早見慎司 @laosuu

話を戻して、映像から学べることは、たくさんあります。情報量が多いですから。例えば、色調の統一。映像は、赤、青、緑のどれかに統一してやると、雰囲気が出ます。もちろん面積や場合に応じて、他の色を入れることはありますが、あくまで全体の話ですね。

2010-08-30 21:38:51
早見慎司 @laosuu

映画で色調や光の雰囲気がどれだけ大事かは、「マスターズ・オブ・ライト」という本に書いてありますが、あんまり色がごちゃごちゃするとどうなるかは、私の次の本でやってみてます(笑)。どうなるかなあ……。

2010-08-30 21:40:45
Shin @FlowRond_

@laosuu 音楽の印象から導かれるイメージは強いと思います。メロディーにはアーティストの一番伝えたい思いが生に近い状態で含まれているように感じるからです。自分の中身がそれらにどれだけ反応できるか、は変な話、「鍛える」しかないでしょうが……。

2010-08-30 21:45:04
早見慎司 @laosuu

ちょっと家事ができたので、離脱しますが、色のコントロールというのは、「真っ赤な鮮血がほとばしる」というのと、「どす黒い血が流れ出た」というのでは、全然違いますね。そういうところをまず、おろそかにしないことです。では、またいずれ。

2010-08-30 21:45:19
早見慎司 @laosuu

.@FlowRond_ そうですね。音楽は、小説より生理的なものだと思います。小説のイメージをふくらますには、五感で感じたほうがいい所と、ここは文字でしか表現できない所、両方ありますね。

2010-08-30 21:55:55
早見慎司 @laosuu

反応のしかたは、実際、「鍛える」ことしかないでしょうね。あと、好き嫌いをできるだけなくすこと。あくまで「できるだけ」ですが、苦手なものや酷評するものが多いほど、その人の脳は、貧しくなっていきます。

2010-08-30 21:58:36