クトゥルフ神話TRPGリプレイ小説"Random Jumper"Day3

三日目
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マメ科の @abnorman_bean

クトゥルフ神話TRPGリプレイ小説"Random Jumper"Day 3-1

2013-02-19 23:00:30
マメ科の @abnorman_bean

「わけ分からんわー」未だに取れない頭痛を抑えながら登校すると、待っていたのは友子のそんな素っ頓狂な悲鳴だった。

2013-02-19 23:02:57
マメ科の @abnorman_bean

歴史上、伝承上、黒衣を纏った少年が率いた百鬼夜行などというものは存在しないという事らしい。確かに、車「が」轢かれた、透明人間が出た、と聞けた証言は曖昧な物ばかり。妖怪・百鬼夜行の一端でも見たという人は居なかった。

2013-02-19 23:06:35
マメ科の @abnorman_bean

後で証言をくれた人たちに、も一度確認してみようか。 「わけわからめなのは、それだけではない!」 ドンッ、と机を叩いて友子が立ち上がった。やめようよ、みんな今ので振り向いたよ... 「貴様の昨日の目撃談もである」「だがそちらはまだ救いようがある!」

2013-02-19 23:10:10
マメ科の @abnorman_bean

「だがそれを調べ切るには、明日の朝...(ビクッ)...いや早くとも今日の夜までは掛かってしまうな!」「よって、本日の調査も貴様にお任せである!」 はいはい、さいですか。ああ、今ビクッてなったのはスイちゃん出てた?

2013-02-19 23:13:04
マメ科の @abnorman_bean

さて、何から調べよう?ちりちりする頭をもたげつつ、思い起こされるのはおばあちゃんの事だ。

2013-02-19 23:17:19
マメ科の @abnorman_bean

本当に?おそらく何も無いと思うがなあ。俺たちのバーチャンはただのバーチャンだ。呪文を使えたっぽいのも偶々だ。先祖代々の陰陽師の家系でもなしに、そんな使い手が人の世に居ていいはずが無いしな。だがまあ、友子に睨みを利かせて少し調査を早めてやった事だし、暫く寝ていようか。

2013-02-19 23:23:19
マメ科の @abnorman_bean

「え、おばあちゃん?昔どんな人だったかって?どんなっていっても特に...普通の人だったけど?」お母さんによる、模範解答のような返事が返って来た。じゃあなんで呪文とか知ってたのさ?「んー、私は知らないわよ?ミドリはほら、おばあちゃん子だったじゃないの」何それ。

2013-02-19 23:27:15
マメ科の @abnorman_bean

「きっと大切な事、ミドリにだけ教えてくれたのよ」そんなんで、とんでもない事に巻き込まれたこちらの身にもなって欲しいものだ。 「でもそういえば...」ふと、お母さんは何か思い出したようだ。

2013-02-19 23:31:54
マメ科の @abnorman_bean

「おじいちゃんが居なくなってから、おばあちゃん暫くふさいでいたけれど、ある時期から、また元気に戻ったわね」おじいちゃんって、何をしてた人だっけ?「南極探検隊」「第何次だかの調査隊で、そのまま行方知れずよ」「ああ、そっか。おばあちゃん、おじいちゃんに会えたのかもな...」

2013-02-19 23:35:21
マメ科の @abnorman_bean

母さんの感想としてはそんなもんだろう。見直したのが、バーチャン、幹線道路沿いの廃ビルに住んでたという、キテる人だったらしいぜ?その廃ビルというのが、一昨日の事件の発生ポイント、昨日の事件の発生ポイントの延長線上にあるというから、運命めいた何かを感じるだろ、ミドリ?

2013-02-19 23:38:56
マメ科の @abnorman_bean

だからさ、俺はあの少年を疑ってたし、さっさととっちめるべきだと思ってるぜ?今夜当たり、さっさとやっちまうべきなんだよ。

2013-02-19 23:41:01
マメ科の @abnorman_bean

その後、廃ビルでは、若かりし日のおばあちゃんとおじいちゃんが映った写真と、おじいちゃんへの思いの詰まったおばあちゃんの日記を発見した。二人は確かに、まっとうで、純粋で、しごく平凡な、そんな人たちだったようだ

2013-02-19 23:45:08
マメ科の @abnorman_bean

「...やっと会えた...。時三郎さんは、やっぱり強い方でした。」日記の最後はそう締めくくられていた。

2013-02-20 00:11:47
マメ科の @abnorman_bean

クトゥルフ神話TRPGリプレイ小説"Random Jumper"Day 3-1終了

2013-02-20 00:13:12
マメ科の @abnorman_bean

クトゥルフ神話TRPGリプレイ小説"Random Jumper"Day 3-2

2013-02-23 23:26:50
マメ科の @abnorman_bean

夕暮れ時、友子から連絡が入った。「見つけたわよ。体中に描き巡らされた呪言と不可視の肉体。それ、小泉八雲の「耳無し芳一」よ!」

2013-02-23 23:47:38
マメ科の @abnorman_bean

でもそれは「怪談」。昔の人には申し訳ないけれど、作り話のはずだ。「ミドリ、実際目にしたのはアンタだから、信じるのか信じないのかはあんたに任せるわよ?」

2013-02-23 23:49:13
マメ科の @abnorman_bean

「んー、それから。関係があるかどうかは分からないけれど、C・A・スミスっちゅー、アメリカの怪奇小説作家が小泉八雲を読んでいた可能性があるって分かったわ」

2013-02-23 23:55:44
マメ科の @abnorman_bean

小泉八雲。ラフカディオ・ハーン。国語の授業にも出て来たような気がする。明治の怪奇小説作家だ。確かに私は見た。あの少年の手足に刻まれた呪言と、実際に目の前で体が消えるのを。でもだからといって、それがこの現代に、そしてこの春日部に、何故?

2013-02-23 23:59:14
マメ科の @abnorman_bean

その謎も、今夜解けるだろうか?予測通りいけば、今夜、お婆ちゃんのかつて住んでいたビル付近に、彼は現れるはずだ。でもそのためには....「ミドリ、私は絶賛、その少年に話を聞く必要性を感じるわ」そういって、友子は電話を切った。

2013-02-24 00:01:18
マメ科の @abnorman_bean

「カタシバヤ...」私は三たび唱える。おばあちゃんの秘伝の呪文を。そして思う。お婆ちゃんは、これを唱えておじいちゃんに「会えた」のだろうか?だったらお婆ちゃんにとって、これは呪文というか、奇跡を叶えた魔法だったのかもしれない。だから私にも教えてくれたのだろうか。

2013-02-24 00:09:33
マメ科の @abnorman_bean

廃墟ビル前で詠唱する事、5時間。遂に、「コツリ」という短い足音を耳にする。音のした方向ーービルの屋上には、あの少年が立っていた。

2013-02-24 00:11:13
マメ科の @abnorman_bean

慌ててビルを駆け上る。ーでも、もしかしたら。疑念が心に湧く。あの少年こそが、春日部に災悪をもたらした張本人なのだとしたら?百鬼夜行そのものなのだとしたら?会って話をするなんて、無駄な事なんじゃないのか?おばあちゃんも、呪文を唱えて、黙ってやり過ごすべきだって警告してたじゃないか。

2013-02-24 00:14:41
マメ科の @abnorman_bean

心がまた裏返る。ーでも、笑っていた。2日前、彼は私を見て、にっこりと、笑っていた。そこにどんな意味があるのだろう?そして昨日はまた様子が違っていた。そして友子の言っていた小泉八雲。一体何が、あの少年に、どんな謎が?湧き出る衝動を抑えられないー。遂に、屋上の扉の前まで来た。

2013-02-24 00:15:54