広告屋e-booth ‏さんによる 中島貴子著「科学的知見の不確実性と専門家の倫理」抜粋&解説

広告屋e-booth(‏@tigercatver2)さんによる 中島貴子著「科学的知見の不確実性と専門家の倫理―戦後日本の食品事件を例として―」抜粋&解説 [森永ヒ素ミルク中毒事件&カネミ油症事件の事例研究] 尾内先生による「森永砒素ミルク中毒事件 資料館」に関するツイートを追加しました
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@tigercatver2

(中島貴子さんの科学的知見の「不確実性と専門家の倫理」。2006年に学術会議は科学者の行動規範声明を出しているんだね。ところで、その時に謳った、科学者への倫理教育と不正対応機関の設置はどうなったwww?)

2013-02-27 21:49:11

http://repo.lib.nitech.ac.jp/handle/123456789/3675
名古屋工業大学学術機関リポジトリ
科学的知見の不確実性と専門家の倫理―戦後日本の食品事件を例として―
中島, 貴子

http://repo.lib.nitech.ac.jp/bitstream/123456789/3675/1/grknit2007_51.pdf
科学的知見の不確実性と専門家の倫理―戦後日本の食品
事件を例として―
Author(s) 中島, 貴子

@tigercatver2

リスク評価と管理の二分論はず~っとここでも言われていたのだけど、評価根拠の神聖視となる「よもやその客観性に疑念あるものが意図的・結果的に入り込む余地は無いと言う暗黙の前提があり、評価に内包されている科学的不確実性と倫理課題を捨象」には同意。

2013-02-27 21:56:36
@tigercatver2

その二分論なんだけど、内閣官房に評価機関をぶら下げ、該当事項の主務官庁が管理(監理)だから、欧米と同じ的な文意でさらっと流しているのがちょい疑問。大学同窓とか出向組とかで評価機関の構成員を固めちゃうケースで、ずっと乗り切ってる訳でしょ。もちろん反対派的人材を少しだけ混ぜる手法で。

2013-02-27 22:01:29
@tigercatver2

(↓これは大島堅一さんが嘆いたツイがあったような気がする)

2013-02-27 22:03:52
@tigercatver2

中島貴子さん続き。「科学者コミュニティにとって社会の意思決定の場は研究現場に比して間接的・周辺的な場と考えられているからかもしれない。一般市民にとって,社会の意思決定の場で科学的知見の不確実性の取り扱い方が肝心となる事象は,身近で重要な事柄である」。

2013-02-28 01:16:03
@tigercatver2

「そのような不確実性が発生する背景を,専門家の倫理課題と関連づけて分析す ることは,科学者コミュニティが必ずしも自覚的に取り上げていない新たな倫理課題の発見に繋がる可能性がある」。自覚的ではなく想定すらしていないと仮定すると、早川のおっさんの振舞いは得心出来る。

2013-02-28 01:20:04
@tigercatver2

科学者コミュニティにとって社会の意思決定とは、実は輪形中心部に居る自身と利害関係群だけであり、中島が言うところの(研究現場に比して)周辺的とは輪形陣外でそこに市民がいると想定しないと、後段で詳述される、森永砒素事件における医者も含めた科学者達の行為を説明しきれないのではないか。

2013-02-28 01:30:02
@tigercatver2

周辺的という修辞に拘泥しないが、同事件の西沢委員会が診断基準を特異的3要件全該当でなければ認定せず、その一方で治癒基準を3要件の内1つでも寛解すれば治癒とみなすという点を「患者区分は公的権力の患者切捨て(中島)」とまで言及している訳で、これを周辺的と言うには少々宥和的な感はある。

2013-02-28 01:42:25
@tigercatver2

見解が甘いんではという点は以上。事例は酷い。特に西沢委員会の恣意的基準と並び、補償措置を任となす五人委員会では、小児科医が後遺症の存在を頑なに否定し、あくまで現在の治療行為は原病の継続であると表明した事を受け、後遺症の補償を採択しなかったと。これが後の翻弄と分断の分岐になったね

2013-02-28 02:02:19
@tigercatver2

5人委員会のこの決定が分岐点になったというのは、「親たちは激怒し,森永に全国一斉検診の実施と後遺症究明の研究助成機関の設置を認めさせた(中島)」という行為が、公的権力に巧妙に利用されてしまい、風化の端緒となってしまったこと。

2013-02-28 18:28:05
@tigercatver2

一斉検査は厚生省が各都道府県に実施を命じたが「希望者だけを対象に,親の不安をなくすことを目的に実施さた」とされ「事件の公的終止符の根拠と化した.」と。事実、同省は「全員異常なし.症状を有する者はいずれも中毒罹患以前の原病の継続」と驚くべき結果を公表し幕引きに奔走する。

2013-02-28 18:30:05
@tigercatver2

また森永側も被害者側が要求した後遺症究明研究機関を約したがあろうことか「乳幼児の栄養研究(粉ミルク開発)の助成機関となり,後遺症に関する公的研究調査は一切なされないまま月日が流れた」上に「施設設置を約束させる交換条件として,全国的な被災者組織の解散と慰謝料要求の放棄を受け入れた」

2013-02-28 18:31:30
@tigercatver2

検査を求める親達の行動と、その後に展開された公権力の非常に老獪な施策の数々が、今の状況を考える上で非常に示唆に富む。親和的に要求に応じると見せかけて、全く形式的な体裁を展開し、切実な希求すらも半ば反故にし、政治的に利用して事態の収束を図るという展開。正に未来を暗示していないか?

2013-02-28 18:36:37
@tigercatver2

親達は後遺症は無いから補償は考えないとする加害側に「検査」と再発防止の「研究機関設立」を求めると言う、すこぶる真っ当な要求をしたにもかかわらず、検査で「後遺症は無い」と結論され、研究所は商品開発の牙城になり、その条件として被害者の会は解散させられ、慰謝料要求も放棄させられるという

2013-02-28 18:45:58
@tigercatver2

ちなみに、その検査は後年「民事訴訟の原告側証人となった国立小児科病院長の日比逸郎をして「この精密検査の粗雑ぶりは語り草として永遠に語り伝えられるべきものである」と批判している」(同)であることを、今般の福島発災では教訓として留意すべきと思われる。

2013-02-28 18:51:15
@tigercatver2

この全国一斉検査の恣意的な結論によって131人が死亡し、過小評価の西沢基準でさえ認定12000人余となった事件は表向き収束。社会から忘れられた。その後、非アカデミズムの養護教師と保健婦らによって発掘されるまでの14年間、被害者たちは文字通り、声なき声として沈黙せざる得なかった。

2013-02-28 19:28:31
@tigercatver2

意図された収束を打ち破ったのは、保健婦と養護教員がガリ版で刷った「14年目の訪問」という冊子と、阪大学医学部公衆衛生学教授・丸山博らの学会報告だった。それがスクープとして報道され、起爆剤となり、1974年に被害・加害側による、救済機関ひかり会の設立に繋がった。

2013-02-28 20:43:35
@tigercatver2

しかし、スクープからひかり会設立までの5年間には、やはり鎮静化を図る動きが活発化している。報道後すぐに森永が被害者への再検診を要請するとともに「青天の霹靂」という談話を発表したが、実は後遺症の存在を隠蔽した事が発覚したその事態を霹靂と言ったと言う研究がある。

2013-02-28 20:47:15
@tigercatver2

また、森永側は14年間に渡る隠蔽が露呈した時を想定して、予め「小火のうちにこれを消し止める予防安全機構が日ごろから準備されていたことを伺わせる」との指摘すらあり、事実、再検査の中心となり、最後まで後遺症無しと抵抗した、岡山県粉乳批素中毒調査委員会は、森永の資金援助だった事が露呈。

2013-02-28 20:51:37
@tigercatver2

そしてこの委員会の行う「官製検査」と、市井の医師達(岡山大附等)が応召され行った「自主検査」の対立が顕在化し、小児科学会はじめ関係学会が、重い腰を上げて、後遺症の存在を認める最後の最後まで、抵抗した事も付記しく。

2013-02-28 20:57:02
@tigercatver2

中島さんの論文を中心に私見。アカデミズムが当初から権力勾配によるバイアスに加担するプロセスと、何かの契機で日和見的に救済をすることもあるという事象が参考になった。最後にこの人のセリフで〆よう。「学者・行政・住民・メディアが同じゴールを目指すのは幻想である」(早川由紀夫さん)w

2013-02-28 21:05:16
@tigercatver2

↓綺麗にまとまってるねww 森永ヒ素事件では最後に小児科学会が転んだのだけど、それでも全国一斉検査の恣意的結論で強引に収束されて14年目。最終解決かはともかく恒久救済機関がそれから5年。やはり20年。もうね、海外の医師団体とかにプロトコルの是非やエビデンスを聞いた方が良いかもね。

2013-02-28 21:22:06

追記資料