【竹の子書房】 140字の街角

街の風景やら人などを140字で書いていく。
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つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

昔、バンドマンをやってた頃。ホステスさんとよく馬鹿話をした。ふと思い出した話を140字にまとめてみる。

2010-09-01 05:57:05
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

明美は挨拶もそこそこに託児所へ急いだ。時刻は既に一時。「すいません」「佳奈ちゃん、ママよ」眠い目を擦りながら娘が抱きついてくる。「かぁしゃんこれ」花嫁の絵のようだ。「佳奈ちゃんは誰と結婚するの?」娘は笑って答えた。「かぁしゃんと!だいすきだから」抱きしめるとミルクの香りがした。

2010-09-01 05:57:32
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

街の風景や人を140字に切り取っていこう。ただしこれは怪談課の仕事ではなく、自らの修行(笑

2010-09-01 06:00:56
加藤AZUKI @azukiglg

@t_ranzo じゃあ、別レーベルの単著で。はい、決めた。

2010-09-01 06:56:11
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

おじゃましますぅ。140字の街角『電話ボックス』を投下。#tknk

2010-09-01 14:04:28
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

下田君の仕事は電線工事だ。主な担当は電話ボックスの撤去。回線を外し、ボックスを積み込み、痕跡すら残さず更地にする。その日向かった場所に見覚えがあった。学生の頃、遠距離恋愛していた彼女と夢を語り合った電話だ。丁度、目の高さに彼女の名前が刻まれていた。下田君はその名前をそっと撫でた。

2010-09-01 14:04:37
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

引き出しの奥から出てきた口紅は、由香里を束の間過去に戻した。東京行きの電車の窓を鏡にして、唇を彩ったのは五年前。ひからびた紅が今の自分と同じだ。ひっそりと笑い、衣装に着替える。「由香里さん、出番っすー」スポットライトと男達の拍手の中、由香里は着たばかりの衣装を脱いでいった。

2010-09-01 15:50:43
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

さてと、またもや140字の街角を投下。『花屋』#tknk

2010-09-01 18:34:29
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

花屋の店先で、幼い女の子が愚図っている。困った顔の父親が宥めるが、一向に止めようとしない。「白に決まってるんだよ。なんでそんなわがまま言うの」女の子は懸命に訴えた。「だっておかあさんは赤いのが好きだったから」父親は一瞬言葉を失い、女の子を優しく撫でると赤いカーネーションを買った。

2010-09-01 18:34:56
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

おばんです。140字の街角、こっそりと投下。サングラス。#tknk

2010-09-01 23:26:05
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

向かいの席に黒いサングラスの男が座った。薄い胸と安い威圧感を武器に、辺りを睥睨する。胸ポケットで携帯が鳴った。当たり前のように出た。「なんや。あぁ…ちょ待てや。マジか?!こないだ会うたばっかりやで」男は携帯を閉じ、俯いた。サングラスの縁から涙がこぼれて落ちるのが見えた。

2010-09-01 23:26:13
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

さてさて、今朝も140字の街角を投下しましょうかね。『ミュール』#tknk 100話到達は遥か彼方。orz

2010-09-02 09:01:43
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

やっと決まったバイトに向かう晃を女が呼び止めた。「ね、今暇?遊ぼっ」晃は立ち止まり、相手をまじまじと見つめた。高校の同級生だ。派手な外見に戸惑ったが、特徴のある声に覚えがある。卒業後の夢も声優の筈だ。「沙紀ちゃん?」「え…。違います」急ぎ足で立ち去る女のミュールが色褪せていた。

2010-09-02 09:05:33
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

二人は並んで歩いていた。「大人って勝手だ」哲郎は鼻を啜り上げて前を睨み、何十回となく繰り返している台詞を吐く。純二は軽く頷く。何を言おうと友が転校する事実は変えられない。「着いた」斜面を掘ると大きな水晶が出てきた。二つに分ける。離れても続く友情の証、そう言って純二は胸を張った。

2010-09-02 16:20:14
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

@nekoyadou その一環として(笑 本日も140字の街角を投下。『お結び』#tknk

2010-09-03 07:31:11
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

多恵子さんは朝からお結びを作っている。一つ一つ丁寧に結び、並べる。全部で二十。一人暮らしの多恵子さんには食べきれる量ではない。何処かに出掛けるわけでもない。多恵子さんはお結びを仏壇に供え、深く長く頭を下げた。二十歳の誕生日に出征し、そのまま帰らなかった息子はお結びが大好きだった。

2010-09-03 07:31:32
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

おはようございます。140字の街角投下。『カレーライス』。怪談書けよ俺(笑 #tknk

2010-09-04 05:47:38
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

買い物の帰り道、由衣は建設中のマンションで夫を目撃した。勤務先は設備関連だから不思議ではない。何か苦情だろう、しきりに謝っている。ようやく話し終え、車に乗り込んだ夫は、ぼんやりと前を見ている。由衣はメールを送った。『今夜はカレーだよ♪』夫は眩しそうに携帯を見ると小さく微笑んだ。

2010-09-04 13:18:21
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

定雄は痛む足を引きずり、窓際に向かった。そろそろ帰ってくる頃だ。結局、死に目には会えんかった。全部この足のせいじゃ。定雄は何度も何度も己の足を叩いた。車が到着した。久しぶりに出会う妻の顔は、思いの外、安らいでいた。定雄は、すっかり白くなった妻の髪を撫で、四十年ぶりにキスをした。

2010-09-04 21:48:18
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

@senbei_neko この企画を考えた時に頭に浮かんだのは、とある映画です。『ベルリン・天使の詩』この作品の冒頭に強く影響されてます。一瞬を切り取るには映像が最適ですが、それを文章でやってみたいのです。これが出来たら、きっと怪談にも役立つはず。

2010-09-04 22:19:41
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

おはようござい。朝一発投下しとこ。140字の街角 初めての背中 #tknk

2010-09-05 07:14:38
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