- hiragi30000
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大切にします。いっぱい愛します。世話もします。無茶を言われても従います。あなたのことを一番に考えます。だから、プロイセンを俺に下さい。俺を愛してください。
2010-09-01 08:20:42兄さんが欲しいんです。どうしたら手に入りますか、欲しくてたまらないんです。おかしくなってしまいそうです。兄さんをください。「弟」のままではあなたが手に入らないというなら、弟をやめたって構いません。兄さんが欲しいんです。兄さんをください。
2010-09-01 08:29:15目玉をくりぬかれ、髪をすべて引き抜かれたうえで、二十代の男性が殺されるという事件が多発した。被害者はすべて銀髪、もしくは赤い目。街には噂が広がった。兄を探す亡霊の仕業だと。
2010-09-01 08:41:45亡霊の噂は聞いていた。非科学的でばかげた噂だと思っていたが、なんとなく気になっていた。なぜなら、自分は「亡霊」に襲われる条件の銀髪も赤い目も、両方持っていたからだ。
2010-09-01 09:09:41そうして、彼は現れた。来るとは思っていなかったし、まさか本当に人間ではないとも思っていなかった。「にいさん」、彼は自分をそう読んだ。
2010-09-01 09:12:36兄のふりをしたのは、ただの気まぐれだった。彼は、噂に聞くような陰鬱な空気はなく、ただただ兄を求めていた。なんとなく、「おかえり」と言ってやると、彼は泣き出してしまった。口からは、にいさん、にいさん、という言葉だけが流れていた。少し胸が痛んだ。
2010-09-01 09:15:08よかった、会えた、うれしい、ずっと探していたんだ、みんな兄さんじゃなかった、こわかった、さみしかった、会いたかった、うれしい、兄さん、にいさん、俺の兄さん、ギルベルト、会いたかった、うれしい、よかった、もう会えないかと思った、うれしい、うれしい、兄さん。彼はずっと泣いていた。
2010-09-01 09:17:23「ずっと?」「ああずっとだ。あなたがいなくなってからずっと」「いつ、いなくなったんだっけ」「さあ、覚えていない。あの時計台が完成したら見に行こうと言っていたのに、あなたはいなくなってしまった」 彼の言う時計台とは、大通りにある古い時計台だ。老朽化が激しく、近々取り壊されるものだ。
2010-09-01 09:22:04「…ずっと、探してたんだな」「ああ、ずっと探していた。もう会えないと思っていた。みんな兄さんじゃなかったから、兄さんに似て紛らわしい色が憎くなった」「…それで、殺したのか」「ああ。兄さんに会いたかったのに、兄さんではないくせに同じ色をしているのが許せなかったんだ」
2010-09-01 09:25:46自分が「兄さん」ではないと知られたら、他のやつらと同じように殺されるのだろうな、と思った。だから、兄のふりを続けることにした。自分には結婚を控えた恋人がいるし、まだ死にたくなかった。だから、嘘をつくことにした。
2010-09-01 09:31:33@hiragi30000 じゃあ手が動くままでいいよ。そのまま書いて。あんね、きっとね、「兄さん」のふりしてもばれるよ。あんね、婚約者が死ぬよ。そんでね、だんだん「兄さん」になるよ。だって兄さんだもん。「ああ、ごめんな俺、ずっと忘れてた――…」「兄さん…」時計の下で抱き合えばいい
2010-09-01 09:41:14その夜、「弟」に襲われた。男同士だろ、兄弟なんだろ、と逃げようとしたが、「弟」に兄さんは俺を愛していないのか、とものすごい剣幕で怒鳴られては黙ることしかできなかった。殺されるかもしれないと恐怖を抱いた。殺されるくらいなら犯されたほうがましだ、と抵抗をやめると、「弟」が乗ってきた。
2010-09-01 09:47:30亡霊さんはさ、時計塔と一緒にさ?きっと消えてしまうんだ。たぶんね、そのひとが「兄さん」じゃないってちゃんとわかってるんだよ、だからね、でもね、 自分を弟だと、何人目かの「彼」に堪らなくなってしまってさ、縋ってしまってさ、
2010-09-01 09:48:10俺が、ぜんぶする、から。先程の怒鳴り声とはうってかわって、熱に溶かされたようなうっとりした声だった。ぺニスをくわえこみ、自分の上で腰を振る「弟」が哀れだった。
2010-09-01 09:49:41「自分を弟だと、呼んでくれた」な、自分(´;ω;`) ――で、縋ってしまってさ、甘えちゃうんだよ、会いたかった会いたかった愛してる、愛してる、一人ぼっちでその姿を探していた間ずっとずっと、一人で抱えていた「兄さん」に向かって伝えられるはずだったことば想い、そして返ってくるはず
2010-09-01 09:50:38だったその返事。愛情と許容と抱擁と、 「その」兄さんから返ってくるのがかつて自分を満たしうるおしていたものと違うと、わかってもそれで構わないと思うほど、ずっと一人で「そのひと」を探していたから。 さいごはね、時計塔が崩れておしまい。きっとね、その亡霊さんの未練で残っていたもの
2010-09-01 09:52:38だから、満たされたら(その未練が薄れたら)崩壊しちゃう。あのね、だからね、 ありがとう。「――さよなら、」崩れるその建物から「兄さん」だけログアウトさせられるよ。愛してる愛してる、ありがとう、愛してる、
2010-09-01 09:54:04「兄さん」の目の前で崩れてしまえばいい。「弟」の想いそのものだった時計台。亡霊らしからぬ熱とやわらかさ、愛らしさ憎たらしさその感触を手に腕に残したまま消えればいい。そりゃあ、恐ろしかったけれども自分はそれを得た代わりにほかのもの失ったけれど、だんだん、だんだん感化された心が
2010-09-01 09:56:46弟の死を悼めばいいよ、そして「取り残された」って思えばいいよ、今度は自分が。なんだよ、兄貴だって、言うなら連れてけよ、ずっと、一緒なんだろ、って泣けばいいよ。
2010-09-01 09:57:41人様の横から奪うようにPOSTしましたが、うん、なんかね、うん、こういうのが私の亡霊のはなし。 ひと夏。うだるような暑さのなか、「俺」に憑りついた亡霊の話。
2010-09-01 09:59:18