『クトゥルフカルト・ナウ』購入の感想

黒扇娘娘的信使 @zealotofBW

よし、『クトゥルフカルト・ナウ』の感想ができた。

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まず『カルト・ナウ』を語るには、クトゥルフ神話TRPGにとって、カルトとはどういう存在であるかに注目しなければならない。『ヨグ＝ソトースの影』では銀の黄昏、『ユゴスからの侵略』では野獣の結社など、クトゥルフのキャンペーンシナリオを支えてきたのが、邪神を信奉するカルティスト(続く)

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そしてカルティスト達が作り上げた邪教団体であった。その一つの到達点が、探索者達がニャルラトテップのカルトと世界中で激突する『ニャルラトテップの仮面』であると言える。個々のシナリオを支えるのが魅力的な神話生物だとすれば、探索者の宿敵となりえる存在がカルトなのである。(続く)

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『カルト・ナウ』の登場によって、クトゥルフ神話TRPGの遊び方の幅が2倍かそれ以上に広がったと考えてよい。 『カルト・ナウ』は、これからのクトゥルフ神話TRPG展開において、クリーチャーデータ集である『マレウス・モンストロルム』に匹敵する意味合いを持つと言えるだろう。(続く)

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さて、『カルト・ナウ』の前半はカルトという存在の説明と、キーパーがそれをどう生かすかについて書かれている。 組織をタイプ別に分け、カルトをどのようにシナリオで生かせば良いか書かれており、シナリオ製作者が自分でカルトを制作する大きな手助けとなるだろう。(続く)

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また、この情報はホラー系に限らず、他のTRPGでも利用することが可能であろう。 ウォーハンマーRPGの混沌本なども良い資料である。併せて読むとさらに想像力が広がるだろう。(続く)

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『カルト・ナウ』後半は、カルト教団の具体的な例となる。 銀の黄昏や星の知恵などの、ホビージャパン版からのクトゥルフ神話TRPGゲーマーにもなじみ深い団体は、きちんとその暗躍の歴史が説明されており、ユーザー間の知識格差を解消する役目を果たしている。(続く)

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その一方で、各教団には、まさに「ナウ」の名前にふさわしく、時に学園、時にアイドル、先端科学に日本的因習、ネットカルチャーなど、多岐に渡る要素が詰め込まれている。 これらは読者に様々なタイプのシナリオアイデアを刺激させると共に、現代という時間を切り取る意味を持つ。(続く)

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このようなポップカルチャーを取り入れたことを「重厚な雰囲気を持つクトゥルフにこのような軽薄な要素を持ち込むとは嘆かわしい」などと、クァチル・ウタウスに触られたようなことをのたまう意見も耳に入ったが、これほど頓珍漢な意見もない。(続く)

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『Secrets of Japan』で設定された日本では、「仏陀の涙」教団は、敷地内に工場を建て、漫画やカードゲームの製造を行い、クリーチャーではGazziraが放射能炎を吐き、シナリオフックには「ハロー・キティルフ」やビデオゲーム「クスルーのリベンジ」が並んでいるのだ。(続く)

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ケイオシアム社は既にこれほど日本のポップカルチャーに興味関心を抱いて、それをCoCに取り入れようとしているのであり、日本版の展開も決して的外れなものではない。(続く)

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付属しているシナリオ4本も、カルトの設定を活かしながら、国内外のシナリオから幅広く小ネタを挟みつつ、怪奇的なもの、探索冒険ものなど、様々な種類に対応したシナリオとなっている。個々のシナリオに触れるのはやめておくが、いずれも質の高い遊びやすいシナリオである。(続く)

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巻末にはクトゥルフ神話カルトに関する海外サプリの翻訳も付属している。血塗られた舌教団など、掲載されていないカルトも少なくないが、絶版・未翻訳のシナリオの内容を含んでおり、知識差を埋める役割と共に、どのようなカルトが探索者の敵として立ちはだかってきたのかを学ぶことができる。(続く)

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以前『マレウス・モンストロルム』があれば、クトゥルフ神話TRPGで10年遊ぶことができると発言したことがあるが、この『カルト・ナウ』を導入するこ とで、15年、いや20年遊ぶことができるようになるだろう。シナリオ製作者はぜひ購入して一読することをお勧めする。