茂木さんの朝の連続ツイート2010年9月

2010年9月1日「蝶」から 「新聞八策」「脱抑制」「角栄」「本気」「脱藩八策」「専門」「プラグマティズム」「坊」「判断」「典型的な日本人」「めちゃイケ」「福澤諭吉」「軽蔑」「自己変容」「無記」「核」「寄席」「占い」「迷信」「受容」「走」「月」「愚かさ」「離(detachment)」「大乗」「人質」『特殊」「ダブリン」「書く」
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茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(1)小学校に上がる前から、志賀昆虫店の用具をそろえて、蝶を追いかけることに夢中になってきた。夏が終わろうとしている今、蝶の魅力を振り返ってみたいと思う。

2010-09-01 08:01:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(2)森の中で蝶を待ち構えている。どこから飛んでくるかわからない。周辺視野にひっかかるもの。背後から飛んでくるもの。いつどこから到来してもだいじょうぶなように、気持ちをやわらかく開いておく。その時間が好きだ。

2010-09-01 08:02:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(3)目当ての蝶が飛んできたら、瞬時に反応しなければならない。長い待ち構えと、一瞬の呼応と。その呼吸が、実は宮本武蔵の「五輪の書」に似ていると思ったのは、ずっと後のことだった。

2010-09-01 08:03:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(4)大人になって、採集することをやめて、ただ眺めるだけになってからは、ますます蝶の魅力が見えるようになった。ひらひらと遊んでいるように見えて、実はオスがメスを求めたり、花の蜜を吸ったり。その短い生の中で、蝶たちは命をかけて、真剣に遊んでいる。

2010-09-01 08:04:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(5)蝶の中には、「蝶道」といって、決まった道を通る種類もある。クロアゲハやカラスアゲハが一般的である。羽化して、初めてみるこの世界。一番最初に飛び始めて、やがて、どのようにして蝶道が定まっていくのか。そのプロセスを思い描いてみると、心愉しい。

2010-09-01 08:05:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(6)アサギマダラは、幼虫が食べる食草にアルカロイドが含まれていて、毒がある。そのことを知っているから、ゆったりと優雅に飛ぶ。ところが、危険が近づくと、急に飛び方が変わって一気に十メートルくらい上昇する。

2010-09-01 08:06:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(7)少年のある日、陣馬山でアサギマダラを生まれて初めて見つけた。夢中になって網を振ると、それまでふわふわと天女のように優雅に飛んでいたのが、ぎゅんと急上昇して、あっという間に見上げる高さになり、そのまま見えなくなった。あの午後のことは忘れられない。

2010-09-01 08:25:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(8)少年にとって、蝶の中で最も価値の高いものの一つは「迷い蝶」である。ふだんその地域に棲息していない蝶が、台風に吹かれたりして飛ばされてくる。

2010-09-01 08:27:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(9)一度だけ、家の近くの神社の森でモンキアゲハを見たことがある。当時は温暖化も進んでいなかったので、モンキアゲハは迷い蝶だった。黄色い斑紋が踊るように消えていってしまったのを、諦めきれずに見送った記憶がある。

2010-09-01 08:27:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(10)また、同じ神社の森で、一度だけアオバセセリを見たことがある。その時は島村くん、木村くんと一緒で、三人で一瞬息を飲んで、それから功をあせって三つのネットが交錯した。わずかの差で逃した。虚空に消えた緑いろの稲妻を、悔しくていつまでも想っていたのを覚えている。

2010-09-01 08:29:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(11)蝶を追いかけた少年の日の思い出は、さまざまな「一回性」の出来事、一期一会の昂奮に満ちていて、その後の人生において感じ、考え、選ぶ時の一つのひな型になっている。

2010-09-01 08:30:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(12)もっとも、それは、私がたまたま蝶に夢中になったからということで、釣り、将棋、書道、バスケ、サッカー、野球、柔道などなど、それぞれ夢中になったものから探り、たぐり寄せたものがそれぞれの人生の礎となるのだろう。

2010-09-01 08:31:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

蝶(13)個別でつかんだものが、普遍へと至る。だから、何でもいいから、夢中になってやった方がいい。無為で過ごすよりは、時の流れを忘れてしまうような、そんな没入の対象があった方が良い。少年の私にとっては、それは蝶だった。

2010-09-01 08:32:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、蝶に関する連続ツイートでした。

2010-09-01 08:32:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(1)すべての記事を署名とし、社員のスタッフ・ライターと、社外のフリーランスのライターを平等に起用し、競わせる。新聞紙面に載る無署名記事は社員の執筆によるものであるという前提を突き崩す。

2010-09-02 06:48:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(2)原則、すべての記事をウェブ上で公開するものとする。青空文庫を見ればわかるように、ウェブ上に電子データがあることは、必ずしも紙媒体の売り上げを下げるとは限らない。検索、インデックスを充実させて、新聞が議論のハブになれるように図る。

2010-09-02 06:50:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(3)本格的な英字紙部門を発展させる。日本の記者が書いたものを英語に翻訳するのではなく、最初から英語で独自の記事を書くライター(スタッフ、フリーランスを問わず)を持つ。その上で、日本語の紙面と相互交流し、競争、強化を図る。

2010-09-02 06:52:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(4)記者クラブは即時廃止。単なる事実の報道は通信社にまかせて、じっくりと事実を分析した、読み応えのある分析、評論記事を掲載する。世界の主要紙を意識し、記事が国際レベルで見て質の高いものであることを目指す。

2010-09-02 07:05:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(5)ウェブと連動するなどして、記事の字数を飛躍的に増やす。限られた字数の中で当たり障りのないことを書くという「芸」を廃し、議論を喚起し長く記憶に残るような「刺さる」記事を掲載することを目指す。

2010-09-02 06:56:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(6)字数を同じにした升目のような書評欄の悪平等を廃す。それぞれの書き手が、一つの作品として自由な長さで書評を書けるようにする。各月に発表された作品に触れることが政治性を帯びる文芸時評、論壇時評の愚を廃し、書き手がフリーハンドで文芸、論壇の潮流を論じられるようにする。

2010-09-02 06:59:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(7)投書欄を活性化させる。すべて同じ長さという悪平等を撤廃。一行だけの投書や、長文の投書があって良い。また、内容について、小学校の学級会の正義感のような「ストライクゾーン」を措定しないようにする。

2010-09-02 07:00:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(8)最初から何百万読者向けの薄い内容を措定するのではなく、むしろ、ある熱いコミュニティ向けの記事があって良い。流行というものは、常に少数が多数を引っ張っていくものである。問題は、どのコミュニティにチューニングするか。

2010-09-02 07:02:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、心ある人たちから見放されつつある日本の新聞を再生するための、「新聞八策」の試案でした。

2010-09-02 07:03:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

脱抑制(1)理想の生き方は、集中しているけれどもリラックスしている「フロー状態」だが、そのためには、脳を「脱抑制」する必要がある。

2010-09-03 06:45:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

脱抑制(2)そもそも、脳は、強制できない。表面上強制しているように見える時でも、実は、神経回路の自発性が基礎にあり、それを脱抑制しているだけである。つまり、ある目的のために脳を「使っている」ように見える時も、脳の自発性の波の上に乗っているだけなのだ。

2010-09-03 06:46:56
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