ヒッチハイカー

怪奇の種の小泉より、10話目の『AさんとBさんの体験談』で御座います。
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小泉怪奇@怪談を蒐めるヒト @kaikinotane

Aさんの体験談。夜中に大阪市内の国道沿いにて、ヒッチハイクをしている若者を見かけ、乗せてやろうと思い車を路肩に寄せ声を掛けた。「何処まで行きたいの?」とAさんが問うと、若い男は「東へ…。」とだけ答える。「東の何処?」と聞いても「東へ…。」何故か目的地を答えず方角だけを答える。

2013-03-06 16:52:29
小泉怪奇@怪談を蒐めるヒト @kaikinotane

少し気味が悪いと思いながらも「滋賀県までなら乗せてくけど?」とAさんが問い掛けると、ペコリと頭を下げて来たので車に乗せてやった。助手席に座った男に、Aさんは色々世間話やら会話を振ってみたのだが、終始無言で顔もずっと俯いたままで、視点も何処見ているのか解らない感じで気味が悪かった。

2013-03-06 16:53:26
小泉怪奇@怪談を蒐めるヒト @kaikinotane

「なんか不気味な奴だな。悪いけど途中で降ろそう。」と思ったので、「あー、悪いね。京都でちょっと用事有ったんだわ。すまんけど、京都駅までで良いかな? あの辺なら宿も有るし車も通るからさ。」と男に問い掛けるも返事は無い。だが是非に問わず。一刻も早く彼を降ろしてしまいたかった。

2013-03-06 16:56:11
小泉怪奇@怪談を蒐めるヒト @kaikinotane

途中、信号に引っ掛かり、隣の男の顔をあまり見ない様にと運転席側の窓から外を見ていたのだが、どうしても男の様子が気になってしまい、助手席の方へと視線を向けた。そこには男の姿は無く、ドアを開ける音も何の気配も立てずに、初めから誰も乗って居なかった様に影も形も無く、消えてしまったのだ。

2013-03-06 16:57:13
小泉怪奇@怪談を蒐めるヒト @kaikinotane

Bさんの体験談。滋賀県の得意先から勤め先の名古屋へと帰る為、国道を走っていた。その途上ヒッチハイクをしている男が立っているのが目に入った。「ヒッチハイクとかしてる奴っているんだなー。」と思い、信号待ち中に何気なく視線を送ってみると、その男の様子が何かおかしいと思った。

2013-03-06 16:58:28
小泉怪奇@怪談を蒐めるヒト @kaikinotane

穿いてるジーパンやジャンパーはボロボロで、所々に赤茶色の染みが付いてる。それどころか、服の破けた部分から覗いている肌自体がボロボロで、車を停めようと上げている右手や、反対の左手も関節が変な方向へと曲がっていた。

2013-03-06 17:00:24
小泉怪奇@怪談を蒐めるヒト @kaikinotane

事故でも遭ったのかと思う様な外見の男が、平然とした顔でヒッチハイクをしている様子に恐怖を感じ、とっさに顔を逸らした。直後、信号が青になりチラッとミラーを覗き確認をしてしまった。そこには、遂さっきまで立っていた男の姿は無く何処にも居なかったのだそうだ。

2013-03-06 17:01:37