内田先生の「公教育」について

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内田樹 @levinassien

『潮』の取材だん。お題は「学校教育」。公教育は国民国家の次世代の成員の成熟を支援するためのシステムですので、「国民国家内部的」な制度です。だから、脱国民国家をめざすグローバル資本主義とは食い合わせがよくありません。

2013-03-08 15:46:38
内田樹 @levinassien

グローバリストは「教育の受益者は本人である」という立場をとります。自己の学習努力の成果は本人が排他的に占有できるという考え方です。知識も技術も免状も資格もみな本人のものです。でも、そう考えると当然「じゃあ、受益者負担で・・・」という話になる。

2013-03-08 15:48:02
内田樹 @levinassien

自己努力の成果を独占したいなら、自己責任で教育を受けてくれ。なんで自己利益を増大させる事業にわしらが税金を投入しなくちゃいけないの?という話になります。19世紀に公教育導入に反対したアメリカの納税者の言い分です。教育の受益者が本人なら、教育コストも自己負担しろ、と。

2013-03-08 15:49:59
内田樹 @levinassien

これを覆すロジックは「公教育の受益者は本人ではなく、社会全体である」というものでした。でも、このロジックは学校が国民国家内部的な制度であり、公教育を受けた子どもは公教育を受けていない子どもより高い公民意識をもち、公共の福利を配慮するという前提に立たないと成立しません。

2013-03-08 15:56:02
内田樹 @levinassien

国民国家が崩壊し、グローバル化するということは、全員が公共の福利を配慮する義務から解除されるということです。そのとき「じゃあ、公教育なんか要らないじゃない」という話になります。必ずなる。もうなっているかも。

2013-03-08 15:57:47
内田樹 @levinassien

つまり僕たちが今目にしているのは、18世紀フランスで着想され、19世紀のアメリカで制度化された「公教育」というシステムの「末期」だということです。

2013-03-08 16:00:26