読者が「混乱」する「視点の揺れ」とは何か?@榊一郎

榊一郎先生の創作講座。今回のテーマは「視点の揺れ」について。 地の文が誰の視点を代表しているのかが入れ替わると、読む側が混乱して状況を把握しにくくなるよ……というお話。 酔っ払ったコーティカルテとフォロンを例に、視点の置き方による文章の変化について解説します。 後半はリアリティについて。 続きを読む
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榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

某編集部の担当さんに「次は人称の話をやれ」とか言われた。や・・・やるの? つか、人称の話はプロでも実は難しくてきっついんだけどなあ、と言ったら「だからやるべき」とか言われたり。

2010-09-02 22:36:00
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あ、ごめん、人称じゃなくて視点。視点揺れとかその辺の話。

2010-09-02 22:36:26
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知っている人は知っているけど、知らない人はまったく知らない、視点揺れの話。まあ人称とも無関係ではないが。

2010-09-02 22:37:12
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毎度のごとく、以下の話は「榊の個人的な意見と解釈」なので、おかしいと思ったらスルーの方向で。

2010-09-02 22:38:00
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視点揺れ、という言い方が在る。要するに小説を読む上で、仮想的に想定される「視点人物」が、コロコロ変わってしまう為に、読者が混乱して読みにくいタイプの文章を指す訳ですが。これ、意外に知らない人も多いのな。

2010-09-02 22:39:05
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以前、渡瀬さんが視点の話はしておられたし、実際にあれがかなりまとまっていて分かり易いので、細かい部分はそっち見て貰った方が良い、とか勝手に責任転嫁するとしてw

2010-09-02 22:39:48
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実は私もいまいち「コレ」という明確なラインを持たずにやっているので、これを機にちょっと根本的なレベルで考えてみる。

2010-09-02 22:40:30
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基本的に、小説というものは以前にも示した通り、「言葉を連ねて語る」以上、誰かの視点に寄りかかっている。それが主人公なのか、主人公を含めた全ての登場人物を俯瞰する神の視点なのかは様々だけど、とにかくその「視点」という概念が、小説には在る。

2010-09-02 22:41:48
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まあこれは、以前チョット書いた、「起承転結」の部分にも絡みますが、読者としては、「誰の視点で、どうその世界を見るか」をその文章の早い段階で理解出来なければ、非常にその小説を読みにくいのですな。

2010-09-02 22:42:56
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例えば主人公の内面が地の文に書かれていれば、それは大概が主人公の視点でその場面を語っている事になる。逆に主人公の何かの行動を「Aはこう思って笑ったのだろう、多分」みたいな書かれ方をしていると、主人公の内面を想像で補って書いている以上、主人公以外の誰かの視点になる。

2010-09-02 22:44:39
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では視点は常に誰か登場人物に据えれば良いか、というとそうでもなくて、神様視点というか、誰の心の中でも覗いて書いちゃう視点も存在する。この場合は、なんせ神様(=作者)なもんだから、その物語世界の事象は全て把握している訳で、

2010-09-02 22:46:00
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それが心の中だろうが、遙か離れた場所の話であろうが、自由自在に書いてもいい。

2010-09-02 22:46:49
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じゃあ――とここで大抵の人が引っかかる。「視点揺れってなんだよ?」と。

2010-09-02 22:47:07
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あるいは「なんで視点揺れはイケナイ事として言われるんだ?」と。

2010-09-02 22:47:34
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でまあ、大抵の人が、これを純然たる技術とか文法とかで理解しようとするからややこしい事になる訳で。特に書き慣れていない(自分のスタイルが確立していない)人は、この視点がそりゃもう、揺れる揺れる。

2010-09-02 22:48:32
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自慢じゃないが私の文章だってデビュー直前のも思いっきり揺れてた。

2010-09-02 22:48:53
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でもって、視点揺れの話をすると「えーと。俺自信無いんだよね」というプロのラノベ作家もちょこちょこ居たりする。

2010-09-02 22:49:45
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そもそも小説とは読者に読んで貰う為のものであって、極論するとそれ以上でもそれ以下でもないんですな。しばしば、「小説を書く上で、奥義みたいなのはありますか?」と問われると、私が「自分の文章の向こうに読者をきちんと見る事」と答えるのは、そのせい。

2010-09-02 22:51:13
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読んで貰えない小説はただの妄想であり、存在していけない訳ではないけど、存在する価値は、作者本人の満足以外には無い事になってしまう。

2010-09-02 22:52:00
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つまり。ありとあらゆる文章技法は結局のところ、「読んで貰う」為にある訳で、今まで私がごちゃごちゃ垂れ流してきたのも究極的には同じ。

2010-09-02 22:52:36
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そう考えると、視点という考え方も、そこから読み解けないだろうか、と。

2010-09-02 22:53:18
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つまりですね。視点が揺れたらなんでいけないのか? どんな風に揺れたら、視点揺れとして問題になるのか? そういう処からむしろ考えれば、「視点が揺れたら読みにくいから問題になる」だけの話ですわいな?

2010-09-02 22:54:17
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当たり前っちゃ当たり前なんですが。逆に言えば、「読みやすい場合は、それは視点揺れ、ではなく視点移動に過ぎない」訳で。

2010-09-02 22:55:58
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神様が適宜、読みやすくする為に――つまりは読者により作品世界を理解して、入り込んで貰い易いようにと考えて敢えてやっている場合は(そしてその効果がある場合は)、問題が無い。

2010-09-02 22:56:04
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