クトゥルフ神話TRPGリプレイ小説"Random Jumper"Day6(後半)

タイタス・クロウ風CoCシナリオのリプレイ小説。六日目後半。
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マメ科の @abnorman_bean

クトゥルフ神話TRPGリプレイ小説"Random Jumper"Day 6-2

2013-03-08 22:43:46
マメ科の @abnorman_bean

「そういえば、おじいちゃんの南極探検隊、南極の地底から巨大な回廊が世界の何処かに通じているんじゃないかって調べに行ってたって後で聞いたなあ。とんでもないトンデモよね。ん?「ぐはあん」って何?知らないけど」夜。夕食の席で母からそれだけ聞くと、おれは再び駆け出していた。

2013-03-08 22:53:01
マメ科の @abnorman_bean

疑う余地は、もうないんじゃないかと思う。友子のノートには思わせぶりに「アレ」としか書いていないし、ふとした思いつき、南極探検隊に彼が居たのかどうかは、確かな事は分からないけれど。

2013-03-08 22:58:50
マメ科の @abnorman_bean

今夜は昨日の続き。別れた橋の上で。もしこれが目的の人物を引き寄せる呪文でなかったとしても、他に術は無い。突き上げる頭痛を飲み込みながら詠唱する事数時間.........。「コツリ」と。

2013-03-08 23:11:11
マメ科の @abnorman_bean

彼は六度目、私の目の前に現れた。

2013-03-08 23:11:56
マメ科の @abnorman_bean

その瞳は、昨日にも増して驚きを湛えている。そしてその奥底に輝く火が...。今なら分かる、わたしたちがはじめて言葉を交わした日、その瞳に宿っていたのは、深い諦念と絶望、だったのだ。それが今、わずかな灯火ながら再び灯ろうとしている。

2013-03-08 23:16:09
マメ科の @abnorman_bean

そしてその口は、昨日と同様の呪詛を投げかける。「まさか...5日連続なんて...絶対にあり得ない」それを聞いて、オレの番。秘密のベールを順に解き剥がすべく、語り始める。

2013-03-08 23:19:23
マメ科の @abnorman_bean

まず、そのペンダントを捨てろ。それが全ての元凶だ。覚えていないかもしれないけれど、お前は南極探検隊に居たんじゃないかな?そして南極の地底からグハーンとやらに行き、そこで石を拾った。

2013-03-08 23:21:08
マメ科の @abnorman_bean

でも、それは、おそらく「生きている」。昨日お前が握りしめた時、それは助けを求めて叫び声を上げた。そしてそれに呼応するように、おとといまで何かがお前の事を追いかけていた。「カエセカエセ」と言って追いかけていた。

2013-03-08 23:23:09
マメ科の @abnorman_bean

その叫び声達は、何故だか呪文、オレのバーチャンが教えてくれた呪文を唱えていると聞こえてくるようになっている。だから、お前には今まで一切聞こえなくて、今まで気付かなかったしても仕方が無い事だ。だけれども、捨てろ。それは護石じゃない。それは...そう、「卵」だ。捨てろ。

2013-03-08 23:25:13
マメ科の @abnorman_bean

それから、お前は「時間旅行者」だな?一体どうやったら同じ人間が、明治の日本でラフカディオ・ハーンに教えを受け、禁酒法時代のアメリカで肖像画を描かれ、奇術王と親睦を深め、かつまた戦後の日本で南極探検隊に参加する事が出来る?

2013-03-08 23:29:18
マメ科の @abnorman_bean

それにお前の名前、現代の日本にお前の名前はあり得ない。でも今、春日部に、ようやく一人。そう、未来にはあり得るかもしれない。そんな名前をお前は名乗っている。

2013-03-08 23:30:52
マメ科の @abnorman_bean

だからお前は過去にも未来にも行ける「時間旅行者」だな?あぁ。こんな小っ恥ずかしいこと、言いたくなかったけど、それしかあり得ないからな。

2013-03-08 23:31:44
マメ科の @abnorman_bean

私たちがまくしたてるのを、彼は目を閉ざし黙って聞いていた。話し終わると、しばし沈黙ー。そして深い、とても深いため息の後、彼はゆっくり目を開け、こう言った。「「時間旅行者」だったらどんなによかった事だろう」

2013-03-08 23:33:46
マメ科の @abnorman_bean

「時間を自由に旅する旅行者だったなら、どんなにか幸せな事だっただろう。こんな、不連続で、ランダムな時間に飛び出てくる跳躍者ではなくて」彼の表情を伺う。心無しか青ざめているが、心の底からわき上がるものに、戸惑っているようにも見える。「ああ!そうだ!僕は逃げた。逃げ続けていたんだ」

2013-03-08 23:39:31
マメ科の @abnorman_bean

「あの名状し難い恐怖の存在達から。はじめはそれで良いと思っていた。僕がそれらを引きつけ、逃げる事によって、助けられた仲間もいた。ひとたび僕が身を翻せば、あれらの存在が傷つけることはできない。でもその結果がこんなことだったなんて」

2013-03-08 23:43:32
マメ科の @abnorman_bean

「最初はささいな事だった。跳躍すると異常な距離をジャンプしている、ただそれだけの認識だった。だが跳躍すると日の陰りが変わり、空気の冷たさまで変わるようになっては気付かない訳がない。そう、明らかに僕は「時間跳躍」をしていた

2013-03-08 23:49:03
マメ科の @abnorman_bean

「最初のうちはたいした距離でも時間でもなかった。でも日に日に、跳躍が起きる頻度は高くなったし、その距離も時間も長く、そして、てんでばらばらになっていった。突然、いつの時代か分からない、どこなのかも分からない夕暮れ時へ、放り出さる気持ちが分かるかい?」

2013-03-08 23:53:12
マメ科の @abnorman_bean

「そして日の出を目にする事は決してなく、次の時間跳躍が始まって、気付いたらもう次の夕暮れだ。いったいここはどこなんだ?いまはいつなんだ?そんな事を調べ、わかりはじめた頃にはもう日の出、また次の時間跳躍の始まりだ」とめどなく、堰を切った記憶の奔流が流れ出る。

2013-03-08 23:56:51
マメ科の @abnorman_bean

「これは何回目の時間跳躍なのか?最初の時間跳躍から、どれくらいの時間がたったのか?でもその時間というのは、誰の時間だ?一体僕の時間は、僕以外と同じように流れているのか?そうでないなら時間とは一体なんなのだ?そうでないなら僕はどこからきて、どこにいくのか?」

2013-03-09 00:04:11
マメ科の @abnorman_bean

「今回みたいに「5日間」連続した日に出現したのは初めてだ。そんなことは確率的に奇跡みたいなことだ。そんな事は今までなかったし、これからもないだろう。もう二度と」それは今までの超然とした様からうって変わったほとばしりだった。言い切ると、小さな時間跳躍者は、紅潮した顔を伏せた。

2013-03-09 00:09:00
マメ科の @abnorman_bean

その肩は小さく戦慄いていて、奇怪なる永劫呪っていた。ーそれでも。わたしたちは告げなければならない。かつて西洋の日本研究家が、無名の画家が、奇術王が授けたのとは違うものを。彼に宿ったわずかな灯火を消さないように。

2013-03-09 00:15:14
マメ科の @abnorman_bean

昨日と一昨日の事を思い出すんだ。そんな最近の事も忘れそうならこっちから教えてやる。一昨日は、何故下水に入ったとたんに襲われなくなったのか?昨日は何故、橋に差し掛かったときアイツはー友子、はー一瞬ひるんだ様子だったか。

2013-03-09 00:18:02
マメ科の @abnorman_bean

いい事教えてやる。明日の天気予報は大雨、らしいぜ。観測史上最大のー そして私たちは、わたしたちの「とっておき」を告げる。

2013-03-09 00:21:04
マメ科の @abnorman_bean

「うん、その方法なら、もしかしたら...。」総始朗の瞳の奥底が、今は赤々と燃えているのが分かる。だが、ふと、また元に戻ってしまう。 「もし、君の「明日」と僕の「明日」が同じものだったら、だけれど」 ーそうだった。

2013-03-09 00:25:06