冬将軍と春軍２０度

鷹見一幸 @takamikazuyuki

ごうごうと音を立てて、戸を揺らし、電線に悲鳴を上げさせながら、北風が吹き抜けていく。庭の隅に積んだ枯れ枝や物置のバケツをひっくり返し、物陰に潜み隠れている南風が運んできた春の空気をひとかけらも残さず引きずり出し、追いたて駆逐するつもりらしい、冬の軍隊が戻って来た。

鷹見一幸 @takamikazuyuki

山の向こうに、冬将軍の機甲部隊が迫っている模様。峠を越えると、一気に攻め下ってくるのは間違いない。首都圏にわずかに残るオレンジ色の春軍が、スターリングラードの第六軍みたいに見える。http://t.co/9wEnPkOBPP

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「冬将軍の圧倒的優性の前に、我が気温二十度部隊は、この房総半島南端を残すのみとなった！　しかし、諦めるな！　我々は戦う。野で、山で、河で、湖水で。凍てついた木々を甦らせ、湖面の氷を割るために必ず戻ってくる！」 http://t.co/UTdkgiFoL7

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「東京都は気温ヒトケタわずかに奥多摩で小規模なゲリラ戦を展開しているだけ。関東平野は完全に冬将軍の支配下に置かれました。総崩れも時間の問題です」「しかし、房総半島には十五度部隊が残っている！」「たった１部隊で何をしろと！」 http://t.co/ajJPEOaSvT

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「冬将軍閣下、見て下さいこの勢力図を！関東平野は、わが真冬軍が完全制圧いたしました！」「うむ…しかし、シベリア本国からの補給が途絶え気味なのだ、寒気が無くては戦えん」「まさか、これが一時的勝利だとおっしゃるのですか？」 http://t.co/MPV2OOCt4c

鷹見一幸 @takamikazuyuki

天候と気温を戦記ものみたいに解説するのは面白いですね。でも、今日みたいな日だから面白いのだと思います【笑 RT @xmaddoc: @takamikazuyuki これ、いいですねえ。シリーズ化してくれませんか？ｗｗｗ

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「右も左も冬将軍の冷気兵ばかりです！俺たちはどうすれば」「静岡だ！静岡へ行くしかない、あそこには、まだ、気温１０℃で頑張っている仲間がいる……冷気兵の明け方の総攻撃に耐えられるとは思えんが、こんなところでおめおめと死んでたまるか！」 http://t.co/qbBGoI2IDu

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「冬将軍出現！　反応あり！　パターン青！　間違いありません！　北海道北部、中川です！」「マイナス１５℃以下か……本物だな」 http://t.co/vnwcW09LvH

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「春部隊！応答せよ！春部隊！誰かいないのか？繰り返す……」「無駄だ、この勢力図を見ろ、もはや本州のどこにも、気温十度以上の場所は無い。冬将軍の春季攻勢は完璧だった……我々が反撃に移る日に向けて部隊再編を急ごう」 http://t.co/Ks3xUZSH99

鷹見一幸 @takamikazuyuki

アメダスの画面にすら、ドラマを作ってしまうのは、物語作りの「業」である。そういう意味で、「山手線と京浜東北線はどっちが受けでどっちが攻めか」を議論する方々と、根っこは一緒なのかもしれない【笑

鷹見一幸 @takamikazuyuki

こういう軍事的緊張時に「隕石が平壌郊外に落下」みたいなことが最悪のタイミングで起こる可能性はゼロではない。と考えると、世の中のバランスは、結構タイトロープの上を歩いているんだなあと思う。

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「冬将軍の冷気兵を北部山岳地帯に封じ込めることに成功し、気温十五度部隊は福島県まで進みました！」「うむ、だが、この優勢も太陽の航空支援あってのものだ。太陽の制空権を失えば、冬将軍は戻ってくるだろう。戦場とはそういう場所だ」 http://t.co/LsZDz5ueQD