黒猫亭さんの思索簿:『夜歩く』と『悪魔の手毬唄』に登場する鬼首村の考察

横溝正史作品に登場する「島」の位置関係についての芦辺拓さんの問いかけをきっかけに、黒猫亭さん(@chronekotei)が「鬼首村」の所在地について思いをめぐらせます。
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芦辺 拓 @ashibetaku

瀬戸内海に浮かぶ獄門島、刑部島、男爵島、竜神島の位置関係についてご存じの方はご教示を……って、さすがにいないか。

2013-03-12 00:16:49
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

島はよくわからないけど、鬼首村って意外と場所がハッキリ書いてあるんだよね。「兵庫県と岡山県の県境」「瀬戸内海の海岸線からわずか七里たらずの距離」「四方を山に囲まれ」た「山間の盆地」だそうだから。

2013-03-12 00:25:12
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

「夜歩く」の鬼首村って「手毬唄」と同じ村なんだろうか。

2013-03-12 00:26:02
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

チラッと年表で調べると、「夜歩く」事件のほうが「手毬唄」事件よりも先なので、まあいろいろとムニャムニャなことになるな(笑)。

2013-03-12 00:28:52
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

「夜歩く」の鬼首村は鉄道の路線で表現していて最寄り駅の名前が仮名だから、割と漠然としているな。「手毬唄」のほうは「県境」と「海岸線から七里たらず」で大分具体的に決まっちゃうけど。

2013-03-12 00:40:35
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

まあ、あの辺は「鬼」と謂う字の附く村が多いそうだから、別の村なんだろう(笑)。

2013-03-12 00:41:12
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

ちなみに、「総社」って如何にも兵庫県にありそうな地名だけど、ググったら岡山側の県境にはなかった。

2013-03-12 00:45:47
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

鬼首村の件については、横溝クラスタ的な見解はどうなっているんだろうか。今ちょっとシャーロッキアン的な方向性でこの謎についてネタが思い浮かんだんだが(笑)。

2013-03-12 01:01:12
木魚庵 @mokugyo_note

.@chronekotei 「夜歩く」と「悪魔の手毬唄」の鬼首村は別の村という意見が多数を占めていますね。というか同じ村という意見はあまり見ません。黒猫亭さんもおっしゃっているように岡山県には「鬼」とつく地名が多いこと、原作の記述を類推すると位置が離れていることなどですね。

2013-03-12 01:04:36
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

@mokugyo_note やはりそうですよね。「夜歩く」と「手毬唄」の記述を信じるなら、どうしても矛盾が出てしまいますから、一番合理的な解釈は別の村だと謂うことでFAだと思います。

2013-03-12 01:48:49
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

オレも現実的に考えれば「夜歩く」の鬼首村と「手毬唄」の鬼首村が同一の村であると考えると矛盾が出るから、おそらく実際に二つの事件が起こった場所は全然別だと考えている。

2013-03-12 02:17:49
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

でも、そこはやっぱりシャーロッキアンとかホームジアンみたいな「Bibleが正しいと前提するなら、相互に矛盾する記述を調停し得るような解釈があり得るか」みたいな考察も欲しいところじゃないか(笑)。

2013-03-12 02:19:40
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

そう謂う前提で考えると、この二作品の間の矛盾はそれなりに合理的に解決し得るんじゃないか、みたいなネタを考えていたわけね。

2013-03-12 02:20:44
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

つまりですね、ちょっと言葉を濁すけど、「夜歩く」事件については、必ずしも本文の記述を信用する必要がないので、何らかの理由で「鬼首村」と謂う仮名が用いられたのだが、それが偶々近くに同じ名前の村が実在したとか、或いは何らかの事情で実在する別の村の名前を使ったと謂う解釈(笑)。

2013-03-12 02:21:06
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

横溝作品には、筆者が「成城の先生=横溝正史」である場合と、たとえば「八つ墓村」や「夜歩く」のように作中人物の手記である場合があるけど、その両者の間では記述のルールが違っていても問題はないのではないか、と。

2013-03-12 02:22:57
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

横溝正史が金田一耕助のボズウェルみたいな立場で発表した作品では、たとえば地名と因縁話が密接に結び附いていて仮名である可能性が考えにくい「八つ墓村」と、別に地名の由来はどうでもいい「手毬唄」の鬼首村では、地名の扱い方は同じだから、「手毬唄」の舞台は鬼首村で間違いはない。

2013-03-12 02:25:19
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

メタ的な観点で見るなら、八つ墓村も鬼首村も現実の小説家である正史の創作した地名であるから、劇中現実のレベルでは実在の地名だと謂うことになる。一方、短編や中編で「本物の実在の地名」が登場する場合は「M高原」のようにイニシャル表現の場合もある。

2013-03-12 02:28:48
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

なので、正史が筆者の場合は「劇中現実レベルで実在の地名は実名、現実レベルで実在の地名の場合(つまり公表を憚るような場合)は仮名の場合もある」くらいのバランスだけど、これは正史のルールだから、寺田辰弥や屋代寅太、八代竜介はまた別のルールで地名を扱っていたかもしれない。

2013-03-12 02:34:21
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

この観点では、寺田辰弥が嘘を吐く動機はないけど、それ以外の語り手はムニャムニャだしとくに屋代寅太はムニャムニャなので、「夜歩く」事件の記述のルールが「手毬唄」の記述のルールと同じだと解釈せねばならない理由はない。むしろ全然違うと考えたほうが自然だろう(劇中現実のレベルで(笑))。

2013-03-12 02:37:29
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

まあ、屋代寅太と八代竜介は名前と職業の近似からして、同じ類型の人物と見做したほうがいいんだろうしね(笑)。

2013-03-12 02:38:35
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

なので、最初に言った仮説は勿論単なる妄想に過ぎないんだが、「夜歩く」事件の語り手の八代寅太が、何らかの語られざる事情の故に実際に事件が起こった地名を隠したい理由があって、その際に近隣の別の村の地名を仮に用いたと謂う解釈は、まあ取り敢えず矛盾なく成立すると謂う話だね。

2013-03-12 02:41:20
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

いやまあ、これって勿論全部その場の思い附きのこじつけですよ(笑)。でも、シャーロッキアン式の考察って要するにそう謂うロジックのものでしょう、と謂うネタでした。

2013-03-12 02:43:43
木魚庵 @mokugyo_note

@chronekotei 興味深く拝読してました。「信頼できない語り手」の立場から仮の地名を名乗ったという説は新鮮でたいへん面白かったです。実は「悪魔の手毬唄」の中で金田一耕助は鬼首村の読み方を聞いています。そのことから「夜歩く」の鬼首村が仮名ではないかという説はあるのです。

2013-03-12 02:47:24
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

@mokugyo_note そうですね、「手毬唄」の記述は正史が語り手である以上、よほどの事情がない限り信頼出来るわけで、前書きで「手毬唄考」に触れている点、磯川警部が紹介状を書いている点、第一章で「鬼首村にはじめて足を踏み入れた」と書いている点など、疑う必要はないと思います。

2013-03-12 03:02:26
黒猫亭(CV:大塚明夫) @chronekotei

@mokugyo_note その点「夜歩く事件」の記述は、すべて八代寅太が「劇中現実のレベルで書き残した手記(しかも刊行を期待していない)」と謂う位置附けになっているので、事件が起こった場所が正史の記述のレベルで「実在の場所」であると信じるべき理由はないと思います。

2013-03-12 03:04:54
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