ウェイティング・ヘッズ・アウト・オブ・ワールド

とある方のツイートを読んでビビっときて速攻で描き上げた謎の物語。ニンジャスレイヤーのようでニンジャスレイヤーでない何か。※現在作成途中
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劉度 @arther456

◆ネタは新鮮なうちに握れ◆

2013-03-16 20:20:52
劉度 @arther456

(これから投稿するのはニンジャスレイヤーの二次創作的な何かだ。的な何かっていうのは、これ二次創作じゃないからだ。昨日のとあるツイートをヒントに一気書きしてみた謎の物語だ。ただニンジャの更新がきたらすぐに中断する)

2013-03-16 20:23:28
劉度 @arther456

西暦2167年。かつての暦が使われるのなら、今はこの年だろう。21世紀初頭に崩れた世界のパワーバランスは、ほんの5年で全人類の7割と文化の大半を滅ぼしてしまった。核や新兵器が原因ではない。それらが飛び交ったのは最初の一年だけだ。1

2013-03-16 20:25:38
劉度 @arther456

戦争により途切れた物流。食料が手に入らない先進国。医療品の手に入らない途上国。大国の治安維持が無くなった紛争地帯。紛争から大国が得る金の消滅。細切れに寸断された世界の中で、人類たちが経験したのはかつてない飢え、渇き、欠乏、死、そして孤独。2

2013-03-16 20:29:04
劉度 @arther456

コミュニティ内のヒトが減っていき、希望を見出す外部からの情報も入ってこない。人類はゆるやかに、しかし確実に滅びつつある。だがその中で、異様な希望を持ちつつ人の枠を超えて生き続ける者達がいた。3

2013-03-16 20:32:01
劉度 @arther456

「あぐあ、あぐ、ぐああーっ!」乾いたコンクリートと廃墟の世界に悲鳴が響き渡る。かつて世界有数の大都市と呼ばれた街の司令塔。その建物の前にある『東京都庁舎』と刻まれたモニュメントの上には、赤いペンキで『ネオサイタマ市庁舎』と上書きされていた。4

2013-03-16 20:35:06
劉度 @arther456

「ザッケンナコラー!」奇妙な発音のスラングが響き渡る。それに続いてドゴッ、と鈍い音が都庁舎(あるいは市庁舎)の一階ロビーに響く。蹴られたのは派手なパンク・ファッションをさせられた男。蹴ったのはシャツで覆うように顔を隠し、忍者装束を身に纏った男。5

2013-03-16 20:37:53
劉度 @arther456

どちらもこの滅びの世界には似つかわしくない異様な風体だ。この世界の大抵の人間は吹き荒ぶ粉塵のせいで薄汚れた上着と、擦り切れボロボロになったズボンを着ている。ロビーの隅にうず高く積み上げられた物言わぬ死体達のように。6

2013-03-16 20:41:18
劉度 @arther456

「断末魔の叫びは『アバーッ!』に決まってんだろッコラー!」忍者装束の男は更にパンクの腹を蹴る。ボキリ、と鈍い音がした。「うぐえ……げほっ」パンクは一際奇妙な痙攣をした後、ぐったりと動かなくなった。三度蹴りつけるが反応はない。既にパンクは息絶えていた。7

2013-03-16 20:43:53
劉度 @arther456

「ちっ、オタッシャか」忍者装束の男はパンクを片手で軽々と持ち上げると、部屋の隅のモルグへ投げ飛ばした。決して軽くはないパンクの体はゴミのように宙を飛び、後ろにいた花魁のような着物の女の側を掠め、モルグのてっぺんに落ちた。8

2013-03-16 20:47:48
劉度 @arther456

「アイエッ」死体が側を掠める恐怖に女が悲鳴を上げる。だがその声はどこか奇妙なイントネーションだった。忍者装束の男はそこで初めて女がいたことを思い出し、語りかける。「電力は十分か」「じゅ、充電時間は十分で……十分ドスエ」「そうか。今日は特別な日だからな」上機嫌な男は続ける。9

2013-03-16 20:52:01
劉度 @arther456

「今日こそ悲願が!いや、全人類の希望が成就するのだ!お前も見ただろう!今朝、西の空にSAKIBUREが飛んでいたのを!」「は……アッハイ」「SAKIBUREは◆○◆だった!すなわち更新があるのだ!私がこの日まで生き続けた意味が!それを非ヘッズ共に邪魔されるわけにはいかん!」10

2013-03-16 20:56:48
劉度 @arther456

男の足元には太陽電池に繋がれたノートパソコンがあった。僅かにだが真新しい血が付いている。侵入者がこのパソコンに触れようとしたところを、彼が背後からのアンブッシュで即死させたのだ。戦前の遺物はこの世界では珍しい。壊れてたら秋葉原で買ってくる、などということはできないのだ。11

2013-03-16 21:00:10
劉度 @arther456

そして激怒する彼が守ったパソコンの画面には、百年以上前から更新されないtwitterの画面があった。12

2013-03-16 21:02:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆2100〜2200再開に向いた休憩を時間◆

2013-03-15 19:21:20
劉度 @arther456

「覚悟はしていた。西暦2200年まで更新はないのではと、何度も思い続けてきた。だがその疑念は晴れた!SAKIBUREは飛ぶ!ほんやくチームは生きている!ニンジャスレイヤーの更新は再び始まるのだ!」ギラついた目をシャツから覗かせながら、高らかに叫ぶ。彼は狂っていた。14

2013-03-16 21:03:45
劉度 @arther456

ニンジャスレイヤー。世界がこうなる前は、アメリカと日本を中心にカルト的な人気を誇っていた、ただの小説だった。このパソコンの画面に映る最後のツイートと同時に、世界を滅びへと方向転換させる戦争が始まったため、読者たちのほとんどは(当たり前の話だが)更新を諦めていた。15

2013-03-16 21:07:40
劉度 @arther456

しかし一部の人間は滅びていく中でも更新を待ち続けていた。作中のセリフを日常生活で使用し、登場人物のコスプレを行い、本編の更新を待ち続けた。そのうち彼らの体に不思議なことが起きた。老いないのだ。死なないのだ。理由はわからない。だが彼らは作中の超人たち、ニンジャとなっていた。16

2013-03-16 21:13:49
劉度 @arther456

滅び行く世界の中に突如現れた超人。そして歪んだ希望を持ち続ける狂人。彼ら同士では自分たちのことを○○=サン、シゲアツ、○○・クランなどと呼び合っていたが、外部の人間からの呼び名はほぼ統一されていた。17

2013-03-16 21:17:02
劉度 @arther456

――『ニンジャヘッズ』と。18

2013-03-16 21:17:18
劉度 @arther456

忍者、いや、ニンジャのコスプレをしたこの男、火口哲野も当然ニンジャヘッズだった。今はヒグチ・テツノと名乗り、『布教』を続けている。ヘッズは通常世の中から隠れて更新を待っているのだが、彼の場合は東京に住んでいたことが『布教』をする原因となった。19

2013-03-16 21:22:43
劉度 @arther456

ニンジャスレイヤーの舞台、ネオサイタマ市は東京湾の埋立地にできたメガロポリスという設定である。なぜ現在の東京に当たる場所がネオサイタマという地名になってしまったのか、それは分からない。だがテツノはこの聖地でニンジャヘッズとなったことに運命めいたものを感じた。20

2013-03-16 21:27:06
劉度 @arther456

彼は東京の各地を回り、頭の中のニンジャスレイヤーの設定と照らし合わせてその地を次々と改名した。トコロザワ・ピラー、ニチョーム、ヨコチョ・ストリート。分かるところは全て直した。この世界にニンジャスレイヤーを再現する。それが自分の使命だとヒグチは思い込んでいた。21

2013-03-16 21:31:01
劉度 @arther456

だが、いくら地名を書いても彼は満足できなかった。土地はあっても人がいないのだ。仕事に失敗してセプクするサラリマンが、スラム街にたむろするヨタモノが、その辺で死んでるペケロッパが、街に妖しさを持たせるオイランが。22

2013-03-16 21:34:23