基礎からはじめる大砲のつくりかた(大口径艦砲編)

ほとんど「海軍製鋼技術物語(堀川一男氏)」の転載です さあぜひ貴方も次の日曜日にやってみましょう!
60
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

火砲クラスタを自称してるのに砲身の作り方に実際詳しくない、非常に残念なアカウントがこちら

2013-03-25 20:41:37
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

ほとんど「海軍製鋼技術物語」から転載になりますけど、旧海軍の言うところの大口径砲、25cm以上の物の中から大和の46cm砲の製造法が記載されております

2013-03-25 20:58:10
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

「砲身鋼は優れた強度、靭性、耐食性を必要とし、非金属介在物、白点、ゴースト(瑕疵)等があってはならず、特に大型鋼塊を必要とするので酸性平炉で溶製した。数十トン以上のものは2炉以上の合わせ湯で製造した」 46cm砲の原料鋼塊ともなると200トンを超えてきます

2013-03-25 21:01:39
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

この合わせ湯の鋼塊製造にも「続・海軍製鋼~」で一章があるぐらいですけど今回は飛ばして鍛造へ 「注型が終わった鋼塊の表面温度が約700度まで冷却すれば内部まで凝固が終わっているから鋼塊を鋳型から抜いて鍛造工場に運びガス焚きの均熱炉に装入して徐々に1250-1300度まで加熱する」

2013-03-25 21:05:25
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

加熱後椀型の金具を挿入して、「これを取っ手として8000トンプレスで鋼塊の底部に近い径を持つような円柱形に荒鍛造する」 この間も800度まで冷めたら中断し均熱炉へ戻し加熱しなおす 「鍛造が終わったら石炭焚きの炉で焼鈍してから機械工場に送り、丸鋸で頭部30%、底部5%を切り捨てる」

2013-03-25 21:10:21
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

さらに「軸心に沿って穿孔して不純物や欠陥の集まる部分を除去する。鍛錬工場に搬入して1250度に加熱し、先ほど穿孔した軸心の孔に水冷心金を挿入してV型金敷の上で底部側から頭部側に向かって砲筒に近い寸法に鍛伸する。これを焼鈍してから機械工場に移して約1inの仕上げ代を残し荒削りする」

2013-03-25 21:16:21
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

ここまででゴースト(瑕疵)の有無を肉眼で確認し、甚だしければその時点で廃却 合格すれば砲身焼き入れ工場へ送られ熱処理が加えられる 「砲身は長いので熱処理作業の際に曲がるので、深さ27mのガス焚きの炉を使用して、砲尾側を下にして立てて850度に加熱する。」

2013-03-25 21:20:26
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

加熱が完了すると「深さ23mの竪型油槽中に砲尾側から急速に突っ込む。油は35度の白絞油であるが火炎を発し、砲口の孔からは油が吹上がる。砲尾は槽の底から3フィート(原文ママ)位上方で、砲口が油面から4フィート位下の位置に吊るして冷却する」

2013-03-25 21:24:24
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

「200度ぐらいになったら直ちに引揚げて焼戻し炉に装入して600-650度に加熱してからまた油中に浸漬して約200度まで冷却し、その後空気中で放冷する」 この時点で頭部、底部から横方向に試験片を採取し、機械的性質、白点、偏析の検査が行われます

2013-03-25 21:27:31
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

「この検査で初回に不合格になっても再熱処理や再検査によって救済する途は拓かれていたものの廃却となるものも少なくなく歩度は悪かった」 こんだけ巨大な鋼材ともなるとちょっとやそっとの熱処理で瑕疵を消すのは難しかろうでしょうしなあ…

2013-03-25 21:29:46
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

さて、これで合格になると製鋼部より砲熕部へ移り、砲身工場で内外面の精密仕上げが始まります 大和の46cm砲は「2A根幹式内筒換装砲」という形式で、層状になった砲身の最も内側の1A砲身が一つ外側の2A砲身と嵌め外しが可能になっており、内面が磨耗しても砲身全体を変える必要がありません

2013-03-25 21:35:38
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

まず積層構造の中央になる3A筒を「砲身焼入工場の深さ30mの内筒叩込み用ピットに砲口側を下にして立てて2A筒をその中に差し込んで50トンの錘で叩き込み、次に横にして1mm位の隙間を持った心金を挿入して両端を閉じ、その隙間に約50kg/mm^2の内圧を加える」

2013-03-25 21:39:38
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

「10mmくらい径が膨張するがこの作業で2A筒と3A筒が密着すると共に2A筒の弾性限が上昇し圧縮応力も残留するので発射時の爆圧にも強くなる」 この工程は加圧操作なので鋼筒の安全試験も兼ねることになるんだとか

2013-03-25 21:42:10
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@Jagdchiha 50kg/mm^2ってえと、つまり5000kg/cm^2で、(私が知る範囲での)あらゆる火砲の腔圧より高いんですな。こりゃすごい

2013-03-25 21:44:34
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

「次は砲身工場でガンワイヤー(6.35x1.5mmの長方形断面の190kg/mm^2のC0.8%の高炭素鋼製高張力線)を24重に巻きつけて鋼線層を形成させる。その後再び砲身焼入工場の深さ17mの竪型焼嵌炉に砲尾を下にして立てて冷却しておき、外側になる4A、5Bなどの鋼筒をはめる」

2013-03-25 21:46:24
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

「4A、5B等の鋼筒を嵌めてリング式バーナを移動させながら約400度に加熱して膨らませて嵌めこみ、直ちに外周から撒水して冷却する。この操作を繰り返して焼嵌工事を終える。最後に先ほどの30mピットに砲口を下にして立てて1A筒を内側に差し込む。」

2013-03-25 21:50:59
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

これで堂々たる鋼筒4層に鋼線1層の(砲尾付近は5A筒が付くので鋼筒5層、砲口は鋼線層がなく3層)砲身が完成、となるわけです 一門あたりの鋼塊重量725トン、鍛錬重量417トン、仕上り重量166トン!

2013-03-25 21:53:59
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

最初のほうで「内側の1A筒は交換が可能だから砲全体を作り直すことがなく経済的」といったけども、1A筒の重量だけで15.9トンありますからー! とはいえ砲身命数がたった200発だそうなので、これは実際必須な措置なのかもしれませんね

2013-03-25 21:56:03
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

こんな感じで大和の46cm砲は作られますが、長門型の40cm砲や超大和型の51cm砲なんかも層の構成は若干変化したり各筒の嵌めこみ手順が変わったりしますが熱処理は全く同一なんだそうです これでみんなも有事の際は大口径艦砲を献納して国家に貢献できますね!(真顔)

2013-03-25 22:00:27
|日0☆TK @kyuumaruTK

@Jagdchiha イイイイー!!アアアアアーー!!フィーヒヒ!!ヨロコンデー!!!

2013-03-25 22:02:20
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

ガルパンにあわせて話を終える火砲クラスタの鏡(なおMX受信不能地域の模様)

2013-03-25 22:01:18
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

彼を火砲の国に連れて行く RT @kyuumaruTK: @Jagdchiha イイイイー!!アアアアアーー!!フィーヒヒ!!ヨロコンデー!!!

2013-03-25 22:07:13