(あらすじ:知るかもう!ピンクが本格的になんかやりだしたらマジに止めるけど何やってんだかわかんないうちは続ける!もう知らん!)
2013-03-25 19:35:12"コンベンションでの当日版権:コンベンションでのニンジャスレイヤーをテーマとした二次創作・ファンジンの販売は、原則として禁止します。出版物の要約及び出版物を元に制作した小説などを掲載すること、キャラクターの自作画(イラスト・パロディなど)を掲載することも同様に禁止します。"1
2013-03-25 19:36:45暗黒時代の到来だ。これ以上”ニンジャスレイヤー”を拡散させないための方便であることはわかる。だが、それは同時に俺達ニンジャヘッズの敗北でもあった。奴ら…翻訳チームはあくまで孤独に戦うつもりだ。俺達は無力だ。何もできねえ。ただ見ていることしか、そして諦めることしか…。2
2013-03-25 19:42:34どこをどう逃げたもんだか忘れたが、俺とボンド甥は薄汚いチェーン居酒屋の隅で腐っていた。ボロ負けだ。普通に腕っ節で負けた以上、巻き返すのは簡単な話じゃあない。かと言って一市民に過ぎない俺達に何かニンジャに立ち向かう上手い策があるわけでもなし、結局こうやってクダを巻くだけだ。3
2013-03-25 19:50:11時刻はそろそろ一七時。日が沈むにつれ、ネオサイタマはいかにもネオサイタマといった風情を見せつつある。つまりネオン看板で、得体の知れないサイバネ連中で、土砂降りの重金属酸性雨だ。マズいことに、眺めているとだんだん目が慣れてくる。これもまあ日本か…という気分になってくる。4
2013-03-25 19:56:17「どだいムリなんじゃねえのか」俺はアイフォーンをいじりながら言った。ボコボコに打ちのめされた今の偽らざる本心だ。例のミレニアムから十余年、本来ならばこの景色があるべき姿だったのかもしれない。なら別にいいじゃねえか。世界がどう変わろうと俺はここに居る。今までが幸運すぎたんだ。5
2013-03-25 20:01:53後になって思えばただ落ち込んでいただけなんだが、その時は本気でそう感じていた。この圧倒的なディストピア、世界そのものに、たった二人で立ち向かう?一発ぶん殴られただけでぶっ倒れて、その上に婆ちゃんまで犠牲にして、それでも逃げるのが精一杯の俺達が?できるわけねえだろ。6
2013-03-25 20:07:51タイムライン上にはアイキャッチが飛んでいた。もっとも以前のようなワクワクはどこにも無い。実況タグは湧いていたが、そのほとんどが定型めいた無機質な投稿だ。ツッコミ無し、考察無し。ただ盛り上がって終わり。いや、本当はこれが一番正しい読み方なのかもしれねえな。やがて本編が流れてきた。7
2013-03-25 20:12:54読む気は起きなかった。俺はタイムラインを表示したまま、アイフォーンを甥に放った。だが甥はジョッキを掴んだままアイフォーンも俺も見ようともしない。ムカついた俺は言ってやった。「ホラ、楽しいニンジャスレイヤーの始まりだぜ。ヘッズ…読者もそこそこ盛り上がってる。いいじゃねえか、もう」8
2013-03-25 20:18:54甥はこちらも見ず、ジョッキの中身を俺の顔面にぶちまけた。「グワーッ!?てめえ、グワーッ!?」「本気で言ってるのか。君は、本気で言ってるのか?」「グワーッ!?だってよ、仕方ねえだろ!どうしろってんだ!あとオシボリよこせ!」「君は忍殺を読みたくないのか。ニンジャスレイヤーを!」9
2013-03-25 20:25:02叩き付けられた臭えオシボリで俺は目を拭いた。甥の顔は真っ赤だった。ビール抜きにしてもな。「…思い出話をしてやるよ。もちろん同情を引くためだ。恥とは思わないぞ。ニンジャスレイヤーを取り戻すためならそんなものはどうだっていいんだ。いいか、よく聞け。僕はアメリカ人だ」「…アッハイ」10
2013-03-25 20:30:13「日本に来たのはローティーンの頃だった。両親の仕事でだ。もともと日本には憧れてたから、悪い話だとは思わなかった。実際来るまでは。現実を見た僕は失望した。街は臭いし、食い物の味は薄い。言葉も通じない。友達も居ない。やることが無いんだ。一〇代の、大事な時期にだぞ。想像できるか?」11
2013-03-25 20:35:16「そして伯父さんから手紙が来た。何でもいいから日本の資料を送ってくれ、とだけ書いてあった。僕はこの国のあらゆるモノが気に食わなかった。だから送ってやったんだ。薄汚れた町並みや妙な格好をした日本人の写真、ヘンタイコミック、新聞スクラップ…伯父さんが日本を嫌いになるようなモノを」12
2013-03-25 20:41:00「クソみたいな数ヶ月が経った。伯父さんからまた手紙が届いた。ホチキス留めの紙束と一緒にだ。表紙にはおかしな目つきをした覆面の男の絵、伯父さんと知らない人のサインがあった。僕は何の気なしにそれを開いて、読んだ。読み終わった時、あれだけ嫌いだった日本が、ひどく魅力的に見え始めた」13
2013-03-25 20:46:07「ガイドブックに書いてあるような、奥ゆかしい日本はウソだった。理想と現実の違いに僕は悩んでいた。そこにニンジャスレイヤーだ、リアルな、生の日本だ。僕は自分がどれだけ面白い国に居たのか気付いてなかったんだ。クソだった景色の裏でニンジャが蠢き始めた。最高の気分だった」14
2013-03-25 20:51:14「僕はニンジャスレイヤーが好きだ。ニンジャスレイヤーを生み出した日本も、同じくらい好きだ。それを勝手な理屈で歪められて、黙っていられるほどお人好しじゃない。君はいつからニンジャヘッズだ?どれだけ早くから読んでいようと僕には勝てやしない。僕は実際世界最初のニンジャヘッズなんだ」15
2013-03-25 20:57:03…俺はやる気を取り戻していた。ア?違うよ、こんな説教で発奮するほど安くはねえ。面白かったからだ…甥の頭上でビカビカ光る「先輩」の二文字が。多分チェインボルトがもうちょっとまともなニンジャに差し替わったんだな。神妙生真面目なツラと鼻息荒い語りにそのホログラフィは面白すぎた。16
2013-03-25 20:59:47俺は甥野郎を指差して笑った。だがな、笑ったは笑ったがな、言いたいことは分かる。現実はクソだ。ニンジャでも居なけりゃやってられねえが、だからって実在されても困る。「悪ぃ悪ぃ、いやマジに…。俺がどうかしてた。ところでそのホログラフィ仕舞えないの?エ?無理なの?マジ?超カワイソウ」17
2013-03-25 21:10:04せっかくこっちが気を持ち直してやったってのに、甥野郎はまだ憮然としてやがる。機嫌悪そうに俺のアイフォーンを手に取っていじり、「アバーッ!?」そして画面を睨むやイスごと卒倒した。俺はまた爆笑しながら、放り上げられたアイフォーンをキャッチした。「アボーッ!?」そして卒倒した。18
2013-03-25 21:15:04”「イヤーッ!」新たに鍛え直されたニーズヘグの蛇腹剣、それはオリジナルから射程を三倍にまで伸ばしていた。縦横無尽に襲い来る切っ先を忍010ニンジャスレイヤーは逐一視認し距離を詰める。やがて間合いは徒手の射程圏内、二人のニン1011忍10110ジャ01ジャ10者010”19
2013-03-25 21:19:28