f_zebraさんの原子力規制委員会に関する連ツイ

冷静で合理的な判断をするための機関として、きちんと機能してくれることを願うばかりです。
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Flying Zebra @f_zebra

原子力規制委員会については色々言いたい事はあるものの、これまで散々言ってきたことの繰り返しにしかならない。新安全基準はある程度リスクを下げる効果はあるだろうが、この程度の内容のものが今頃ようやく決まりつつある、というのが嘆かわしい。

2013-03-29 19:33:14
Flying Zebra @f_zebra

大規模な改修工事を要するような対策であればどのみち猶予期間は必要なのだから、事故から半年程度で新基準の骨子を決める事くらいは出来たはずだ。長期的なエネルギー戦略はすぐに変更なんて出来るわけないのに、それを待ってから、などというのは愚の骨頂。今の規制委のせいではないけど。

2013-03-29 19:34:55
Flying Zebra @f_zebra

新しい基準が施行されるまでは従来の基準が有効というのが当たり前の話で、災害の影響を受けていない既存の原子力発電所まで止めて電力不足を招いてしまっては冷静な議論もままならない。パニック的に脱原子力を決めたドイツやスイスでさえ、今でも原子炉を運転している。

2013-03-29 19:35:45
Flying Zebra @f_zebra

常識的な対応をしていれば、事故から2年を経た今頃は既存の原子炉のほとんどが大幅に安全性を高めた状態で運転していて、時間の掛かる対応策についても着工して見通しが立っていただろう。節電要請で生産活動の足を引っ張る事もなく、貿易赤字になることもなかっただろう。

2013-03-29 19:36:14
Flying Zebra @f_zebra

将来的に脱原子力を目指す場合でも、新技術の開発や送配電網の増強により多くのリソースを回すことができ、化石燃料の調達でも有利な価格交渉ができることから、より早期の実現が見込めたはずだ。今だから言える事などではなく、一昨年から分かりきっていたことである。

2013-03-29 19:36:45
Flying Zebra @f_zebra

諸外国と比べても極めて異質な施策を2年間も継続する事で日本は多くの犠牲を払い、これからも払い続けていくが、その見返りに我々は一体何を得たのだろう。「安全」や「安心」、あるいは何か別のものが得られただろうか。

2013-03-29 19:37:43
Flying Zebra @f_zebra

私自身を含め個人レベルでは異論もあるにせよ、正当な選挙で選ばれた政府が実行し、国民が支持(少なくとも有効な反対運動はない)しているのだから、現在の日本の方針は誰から強制されたわけでもなく、日本人が自ら選んだ道である。

2013-03-29 19:38:15
Flying Zebra @f_zebra

その道がいかに非合理的で、緩やかな衰退に向かう道だとしても、その帰着の責任は自ら選んだ我々にある。申し訳ないのは、ツケの大部分を払うのは現在の子供たちを含めた、将来の世代であるという事だ。これも繰り返しになるが、不甲斐ない大人で申し訳ない。

2013-03-29 19:38:39
Flying Zebra @f_zebra

自然災害の威力や、原子力リスクが顕在化した際の影響を目の当たりにしてから2年、新たな知見は増えたけど、我々は何を学び、どれだけ賢くなれただろうか。発生頻度は小さくても発生時の影響が大きなリスクという、直感では正確な理解・判断が難しい事項について、どんな教訓を得たのだろう。

2013-03-29 19:40:03
Flying Zebra @f_zebra

リスクを定量的に評価・比較する事なく、今意識している恐怖の対象だけを全力で避けることしか出来ないのであれば、残念だが何も進歩していないということだ。別の対象が顕在化すれば、現在の対象は簡単に忘れ去られるだろう。

2013-03-29 19:40:35
Flying Zebra @f_zebra

毒吐きついでに新規制の内容についても言及しておこう。火災防護の強化や電源の強化など、従来の規制で不十分だったところはかなり改善されている。ただ、リスク低減に有効な対策のほとんどは事故以降事業者の自主的な対応で実施あるいは計画済で、特に目新しさはない。

2013-03-29 19:42:23
Flying Zebra @f_zebra

残念なのは、従来の確定論的な考えから抜け出せず、確率論的リスク評価に基づいた規制となっていないことだ。例えばPWRの格納容器にフィルター付きベントの設置を義務付けるというのは、リスク評価に基づけば必ずしも合理的ではない。

2013-03-29 19:42:59
Flying Zebra @f_zebra

福島第一の事故のように、まずは減圧しなければ原子炉に注水できず、炉心損傷を防げるか否かが減圧手段に左右されるような状況ではフィルタードベントは有効だろう。しかし、特に減圧が必要でない状況では、逆にリスクを増やしてしまう場合もある。

2013-03-29 19:43:27
Flying Zebra @f_zebra

設計で想定している冷却水喪失事故(LOCA)では、原子炉容器から格納容器に炉水が噴出し、格納容器内に放射性物質を含む蒸気が充満する。PWRの格納容器は大きな容積と高い耐圧性能でこれを閉じ込めるが、追加されたベントラインはその弱点となる。

2013-03-29 19:43:55
Flying Zebra @f_zebra

もちろんベント装置は意図しない放出を防ぐ設計になるし、仮に放出されてもフィルターが機能すれば放射性物質の環境放出はかなり低減できる。しかしどんな装置もある確率で故障するので、リークパスが存在する限り漏えいの可能性は残ってしまう。

2013-03-29 19:45:00
Flying Zebra @f_zebra

そうしたジレンマに対し、リスク情報に基づく対策ではそれぞれのシナリオの発生頻度と影響からリスクを計算し、よりリスクの小さい方を選ぶ。PWRのフィルタードベントについては評価の分かれるところで、欧州の一部では設置されているが米国では設置されていない。

2013-03-29 19:45:43
Flying Zebra @f_zebra

今回の規制案の策定に当たってそうしたリスク評価に基づく検討が行われた形跡はなく、福島第一の事例だけから決めているようだ。公衆の感情に「配慮」したつもりかも知れないが、全く科学的な態度ではない。

2013-03-29 19:46:35
Flying Zebra @f_zebra

先にも書いたが、発生頻度が小さく影響の大きなリスクの評価結果は多くの場合感覚とは相容れない。我々の感覚は、そうしたリスクを扱う事には慣れていないからだ。そうした問題を正しく扱うには、専門家が適切なツールを用いて評価し、それを信頼して採用しなければならない。

2013-03-29 19:47:48
Flying Zebra @f_zebra

専門性へのリスペクトが失われ、本来専門性が要求されるところにまで「消費者目線」のような素人判断が幅を利かせるようになれば、その末路は衆愚政治に他ならない。「配慮」は結構だが、規制委には自らの拠り所である専門性と科学的見解を貶めないよう求めたい。(毒吐きおわり)

2013-03-29 19:48:26