一カ月に2回くらいのヤンデル先生のまじめな連ツイ【科学の妥当性】

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病理医ヤンデル @Dr_yandel

スキンケアの話をするとしばしば「私は○○でこんなによくなった。一方△△ではこうなってしまった。だからあなたはだめ!」的なコメントをもらうが、「一例報告」を語られてもなーって気になる  肌管理は、住環境、生活リズム、さらには常在菌巣の構成割合などによって相当な個人差が出る(続く)

2013-04-02 09:35:15
病理医ヤンデル @Dr_yandel

(続き)スキンケアに限らずどんなことにも言えるのだが、「私はこれを使ったらこんなにいいことがあったよ!」というのはあくまで「プライベートトーク」の域にとどめておくべき。もちろん本人の幸せな経験を他人に話して共有するのはいいことだが、「アドバイス」にするには根拠が薄弱。(続く)

2013-04-02 09:36:44
病理医ヤンデル @Dr_yandel

(続き)通販番組などでも「※個人の感想です」と明記してあるのをよく見る ところがあれがまた「実によく効くように見える」のが悩ましい。人間は時に、エビデンス豊富な学術情報よりも、にこやかに語られる個人経験の方を受け入れたくなる瞬間がある これを逆手にとった商売は総じてカスである

2013-04-02 09:38:31
病理医ヤンデル @Dr_yandel

脱線するが、たとえば「郷土のうまい食べ物」は、その土地で食されている他の食べ物との相性によって(味噌汁の味付けであるとかつけものの種類であるとか)最高の味を示す場合がある。この場合、ぽっと観光で来て「名物」だけを食べても魅力は伝わらない。商品にはその使用背景との相性があるのだ。

2013-04-02 09:51:41
病理医ヤンデル @Dr_yandel

これと同じ理由で、「○○村で長年使われ、土地の人々も愛用し評判も上々である自然派化粧水」を大量生産して全国に配っても、その効力が発揮されるとは限らないのである。その土地の湿度とか紫外線量、普段食べているものの種類などによって効果もまた変わるのは当然。

2013-04-02 09:52:56
病理医ヤンデル @Dr_yandel

だから、「何かを使った経験を楽しそうに語る」まではいいし、「私には効かなかったわー」だってもちろん語っていい。しかし、人にものを勧めたりする時には要注意。ましてやこのような理屈を知らないわけはないメーカーの戦略で「個人の感想です」が出てきた場合には十分注意しなければいけない。

2013-04-02 09:55:01
病理医ヤンデル @Dr_yandel

審議中 RT @kao_hito @Dr_yandel 外来の人が食べることで病気になったり。これが本当のフード病。

2013-04-02 09:55:13
病理医ヤンデル @Dr_yandel

「説得力」と「学術的に正確な情報」が比例しない場というのがけっこうあるんですよね。学術を提供する側の「使命」が垣間見えるようです。 RT @kahvikiitos それを如実に表してるのが10代の子たち。なぜ親や先生より怪しい雑誌や友達の噂程度の話や都市伝説を信用するのか

2013-04-02 09:57:38
病理医ヤンデル @Dr_yandel

あ、これもありますよね。 RT @kitayamatakeshi @Dr_yandel 地元で食べると、そこまで行く旅の思い出込みでウマいですね。

2013-04-02 09:58:05
病理医ヤンデル @Dr_yandel

香川県民め…… RT @_Sahasrabhuja_ @Dr_yandel 水不足で食べるうどんはうまい

2013-04-02 09:59:22
病理医ヤンデル @Dr_yandel

【科学の妥当性(1)】 「妥当性の高い学術的情報」は基本的に2つの柱によって支えられる 1つは「疫学的・統計学的処理」であり、もう一つは「根拠がきちんと筋道立っていること」。世の中のうさんくさいものはたいていこのどちらかの柱しか満たしていない(あるいはどちらも満たせていない)

2013-04-02 10:09:50
病理医ヤンデル @Dr_yandel

【科学の妥当性(2)】 統計処理はかなり妥当性を担保するが、「根拠の裏打ち」が薄弱だとどんなに例数を集めてもおかしな結果が出ることがある。有名なのは「ワインで長生き研究」。かつでフランスでものすごい数の症例数を集めて、ワインを飲んでいる方が長生きだというデータを出したのだが……

2013-04-02 10:11:04
病理医ヤンデル @Dr_yandel

【科学の妥当性(3)】 「数字上、どう考えてもワインはカラダにいいだろ!」的な甘い論拠で研究を進めていたため、非常に基礎的なバイアスを見逃していた。それは、「ワインを日常的に飲む人は基本的に裕福で、日常的に健康に気を配っているし、衛生環境のよいところで生活している」ということ。

2013-04-02 10:12:04
病理医ヤンデル @Dr_yandel

【科学の妥当性(4)】 つまり、対照群の「年収」というデータを無視して2000例以上の症例を「いちおう無作為に、ワインを飲む群と飲まない群にわけて」しまった。当初、ワインはカラダにいいんだということだけが広まり、その原因としてポリフェノールが考え出されたが、これこそ根拠薄弱だった

2013-04-02 10:13:10
病理医ヤンデル @Dr_yandel

【科学の妥当性(5)】 ポリフェノールに抗酸化作用があるのは事実なのだが、ワインとして摂取した場合にそれほど効果があるかどうかは「実はまだ、ちゃんとした統計上は結果が出せていない」というところ。

2013-04-02 10:14:07
病理医ヤンデル @Dr_yandel

【科学の妥当性(6)】 何が言いたいかというと、「多数の症例を集めた!2000人以上だ!だからこの結果はただしい!」という、「統計だけで物事をはかる考え方」は危険だと言うこと。その結果がなぜ導かれるのかを筋道だって説明できる理論の柱がないと、多数のバイアスを見逃してしまう。

2013-04-02 10:15:03
病理医ヤンデル @Dr_yandel

【科学の妥当性(7)】 逆もまた真なりで、「論拠が完璧だから真実に違いない」というのも本当はあまりよろしくない。机上の空論という言葉もあり、脳内ではいくらでも仮説を立てることはできるが、その仮説が妥当かどうかは「多数の症例を解析して統計処理」しないと判断できないのである。

2013-04-02 10:16:01
病理医ヤンデル @Dr_yandel

まだいくつかあるけど今日はここまでにします。まじめ連ツイは1ヶ月に2個くらいですのでご了承ください。

2013-04-02 10:16:41
こまちこ(遺伝子組み替えでない) @comachico55

@Dr_yandel 統計に誘導の…(あぁぁ言葉が出ない)…えーと、故意であろうがなかろうが統計の仕方で誘導もできてしまうのは分かるけど、専門誌通して発表された時点で信用に足りると思ってしまう程度が普通と思いますです。ここ否定されたら何を信じればいのか…。判断できるのは一握りすよ

2013-04-02 10:55:53
病理医ヤンデル @Dr_yandel

ですから、「学術的情報を提供する側の覚悟」が必要なのです。例えば「専門誌」といってもピンキリ。信用に足る情報である、と説得力をもって発信できる人が、学術を為す側にいないといけません。そして、ユーザーは「信頼できるソース」を必死で探すのです。 @comachico55

2013-04-02 10:59:08
病理医ヤンデル @Dr_yandel

※さっきの「科学的妥当性の話」を聞きかじった大学2,3年生くらいの男子とかに多いんだけど、実家に入ったときに母親などから「あんた最近味噌汁飲んでるの?カラダにいいんだからうちで飲んでいきなさい」と言われてすかさず「何の根拠があるんだよだいたい塩分過剰だろ」とか言っちゃう奴(続く)

2013-04-02 10:51:22
病理医ヤンデル @Dr_yandel

(続き)「実家」という長年育った(常在菌にとっても住み心地のよい)環境で、「愛情」という(学術的にも精神的負荷をとりのぞく可能性がある)スパイスを上乗せするとほんとうにカラダにいいかもしれないだろ 妥当性を判定する根拠をもうちょっと学んで、そういう大2病はさっさと卒業するように

2013-04-02 10:52:56