ここがヘンだよカヴェナンター

カヴェナンターとクルセイダーの開発経緯と「なぜあんなことになったのか」のお話 自分も勘違いしてたので重点しました
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JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

うわカヴェナンターの開発経緯がとんでもなく面倒くさいぞ そもそもの始まりは1937年にクリスティ式懸架装置を巡航戦車へ採用しようと作られたA13 Mk.I 巡航戦車Mk.IIIが始まりで、A13 Mk.II 巡航戦車Mk.IVを経てA13 Mk.IIIとしてカヴェナンターが出ると

2013-04-04 19:30:13
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

但しいきなりA13 Mk.IIIが出たわけじゃなく、1938年に陸軍省が要求した重巡航戦車の開発要請に対しナフィールドが提出したA16案が「高価すぎる」というんで、より安価で軽量な重巡航戦車計画の車両案としてA13 Mk.III 巡航戦車Mk.IV カヴェナンターが提出された、と

2013-04-04 19:34:03
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

この「安価で軽量な重巡航戦車」案の要請が1939年2月、A13 Mk.III案が提出され製造メーカーが決められたのが同年4月17日、試作一号車完成が1940年5月21日、一方ナフィールド社の方はどうなっていたかというと、1939年初めに量産計画に参加するよう要請されている

2013-04-04 19:40:40
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

しかしてナフィールド社は量産計画への参加を拒否、理由は「新設計の戦車の量産よりも既存のA13系の改良に務める方が賢明だ」とのことで、このときに同時に提出された代替設計案が(ナフィールド卿の政治力もあって)承認され、A15 巡航戦車Mk.V クルセイダーとなる

2013-04-04 19:43:49
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

つまり、A13 Mk.III カヴェナンターは参謀本部制式A13のナンバーを貰ってはいるものの、車体はそれまでのA13 Mk.IやMk.IIを手がけていたナフィールド社の開発ではなく、生産を行ったLMSR(ロンドン・ミッドランド&スコティッシュ・レールウェイ)社の新規だった訳だ

2013-04-04 19:46:40
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

だからこそナフィールド社、というかナフィールド卿としては自分の工場で作った訳でもないカヴェナンターの製造なんか御免蒙るというところで、それならばずっと手がけてきたA13正統の改良を進めて軽量重巡航戦車にしてやろうと逆提案した、こういう経緯みたいね

2013-04-04 19:48:55
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

やっぱり手馴れた車種の改良だったおかげか、クルセイダーはカヴェナンターより明らかに着手が遅かったのにもかかわらず(先述の通りカヴェナンターの量産支援要請を蹴っての提案だった訳だし)、カヴェナンターよりも6週間も早い1940年4月9日には試験場へ届いている

2013-04-04 19:51:49
下呂子(げろこ) aka でゅらちん @Geroko

@Jagdchiha 英国戦車史でよくわからん経緯を辿った時の「政治的配慮」の産物がここにもあったのですか…<カヴェナンター

2013-04-04 19:53:53
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

ただまあ、カヴェナンターが開発中にあちこちで難航したためにクルセイダーも開発が追いついていたようで、実際両者で可能な限り搭載諸装置を共通化することで合意されていたりする しかして、大きく違うのはエンジン 実は自分もカヴェナンターはナフィールド・リバティV12だと思ってたんですよ

2013-04-04 19:55:23
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

カヴェナンターの要求は「主砲は2pdr、機関銃を最低でも1挺装備、クリスティ式懸架装置、遊星歯車操向装置、標準装甲厚30mm」となっていて、この標準装甲厚ってのが「直立した部位で30mmの装甲を備えること」という意味だから、傾斜させれば板の厚みは30mm以下で済む、ということに

2013-04-04 19:58:28
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

結果的に砲塔から車体から徹底的に傾斜させるデザインが選択されたわけですけど、そうなると車両に高さがあると装甲板の面積が嵩んでせっかく実厚を薄くした意味がなくなる という経緯で、徹底的に車高を低くするように努力が払われた結果、クリスティ懸架装置のコイルバネは斜めに押し込められた

2013-04-04 20:00:53
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

更に機関室とエンジンの高さも押さえるため、メドウス社に新型のエンジン開発が要請され、結果生まれたのが水平対抗12気筒のMaedows D.A.Vエンジン こんなところで水平対抗がでてくるとは思いもしなかったのです 対向ピストンよりはまだ狂気度は低いですけども…

2013-04-04 20:02:53
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

このエンジンは高さこそ低いものの水平対抗で分かるように横方向へ大きく、おかげでラジエタを機関室に配置できなくなり、じゃあってんで車体前部の操縦席の横へ持ってきたのがカヴェナンターのあの独特のスタイルの誕生の経緯だったんだそうな 操向装置はA16用に用意されたウィルソン式操向変速機

2013-04-04 20:07:57
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

開発の最中にも問題点は続発する まず一度は承認された計画案に「正面装甲を40mmとするよう」参謀本部より設計変更の要求が入り、戦車局はこれを受け入れるもののこれに伴う重量増加はサスペンションの耐荷重限界に達すると見込まれた が、サスペンションを強化しようとする動きは一切なかった

2013-04-04 20:11:51
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

39年10月になると試作車を製造していたLMSR社から「試作はともかく量産が開始された場合、この戦車で新規採用された溶接組立が可能な溶接工が不足する恐れがある」として、リベット接合へ変更する提案が持ち上がる 実際尤もな懸念だったので採用され、リベット分で約102kgの重量増加

2013-04-04 20:16:11
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

溶接構造に不慣れな時期だからこれは仕方ないと思うのは当然だけれども、実は溶接の便を向上させるためにカヴェナンターの装甲板は防弾効果は薄いながら溶接の容易い高品質鋼板を内側に、均質圧延装甲板を外側にした積層鋼板を採用しており、リベット止めではこの構造は全くの無意味になっていたりする

2013-04-04 20:19:35
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

さらに、リベット止めのためには溶接構造では不要だった内装フレーム材が必要になってしまい、都合二重で無駄が発生しているというトンチンカンな状況になっていて一体どうしてそのまま進めたんだという気持ちに…

2013-04-04 20:21:16
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

それもこれも1939年には最早戦争突入は避けられないものとして軍当局もかなり焦っており、設計図の段階で量産命令を下してしまっていたという経緯が大きい 発生する問題点の洗い出しも試作車2両を製造しテストすれば充分、不具合は量産計画の途中で逐次解決策を盛り込めばよいと考えられていた

2013-04-04 20:23:57
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

計算違いは更に続く 転輪はアルミ合金の軽量な物を使用する気で居たが、考えてみればアルミ合金は航空機の製造で不可欠な訳で結局転輪もプレス鋼板で作られることになり、重量は更に増加 そしてウィルソン式操向変速機も構造が複雑で供給に難があるとしてA13 Mk.IIなどのメドウス式になる

2013-04-04 20:27:38
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

操向変速機が変更されたこと自体はそこまで問題ではなかったものの、搭載するためには車体へ改設計が必要だった このために原案で大径ファンが装備されていた変速機区画は小径のファンしか装備できなくなり、熱問題に拍車がかかることとなる… なんか全部が全部悪い方向に進んでません?

2013-04-04 20:29:27
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

さて、後になんだかんだとクソミソに言われるカヴェナンターが(なんならよく似たクルセイダーも同時期に出来ていたのに)どうしてあそこまで量産されたのか、これは憶測なんですが量産第一ロットが試験された状況がまずかったと思うんです なにより時期が41年1月2日、雪混じりの寒い中行ったとか

2013-04-04 20:35:42
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

ルルワースの砲術学校へ送るためウール駅へ来たカヴェナンターが、「スタッフォードシャーからドーセットまでの道程を、衆人環視の元カバーの一つもかけられず輸送されてきた」ってのも考えられない 天候を考えたってシートで覆いたいのに、それ以前に「機密指定も真新しい最新鋭戦車」ですよこれ…

2013-04-04 20:39:17
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

とりあえず降ろそうとしてみればバッテリーは上がってしまっていて動かせない、そこに居た関係者が初めて目にした戦車だって言うのに取扱説明書が来ていない、さらに付属してしかるべき諸装備や工具すらなかったんだと 意外とあの、ブリってメチャクチャっすネ…

2013-04-04 20:41:50
ぼろ太 @futaba_AFB

@Jagdchiha だってA57マルチバンクエンジンをご神体のように崇めていたらしいじゃないですか...

2013-04-04 20:43:58
JagdChiha〄次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

@futaba_AFB あれはナフィールド・リバティV12の構造上の欠点からくる信頼性の低さに喘いでいた反動じゃないかって話ですたい 古い設計のエンジンなのでかなり無理をさせていたことと、シリンダが全気筒で別なので、走行中の応力で冷却系が破れてオイルを噴くんだとか

2013-04-04 20:49:51
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