こてばに、うさとら、両片思いバディのバニーサイド

一年目 こてばに 二年目 うさとら 復帰後 両片思い の別次元バディがなんかの拍子でそろっちゃったよ。 て感じの会話劇です。 続きを読む
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三人のバーナビーと三人の答え

 はっ、と気が付くと僕がいた。僕と僕と僕。少しずつ違う僕たち。
 そして、虎徹さんと虎徹さんと虎徹さん。
「またなんかのNEXTか?」
 そういう虎徹さんは、きっと僕の虎徹さんだ。バディの虎徹さん。なんとなくわかる。距離が違う。
 どういうことだ、と情報を交換してみたら、それぞれ時期が違うということが分かった。
 デビューしたての頃の僕たち。
 二年目を迎えた僕たち。
 そして、復帰後の僕たち。それは僕たちだ。
 何も知らない僕たちは、でも、何があるのかを聞こうとはしなかった。それは未来を歪めるからと、聞きたがりの互いの虎徹さんを押さえつけている。
 でもでも、と一年目の虎徹さんが言う。
「二人一緒ってことは、俺たちの仲はずっと続いてるってことなんだなあ」
 どこか照れくさそうな顔をして、自分のバーナビーを見る。
「ほら、みろ。俺たちはずっと一緒だ」
 真っ赤になった僕に、残りの僕たちが目を丸くする。
 なにかが違う。
「ちょっとまってください」
 と言ったのは二年目の僕。
「一緒って? バディだってことですよね?」
 え、と丸くなった一年目の虎徹さん。
「えーと。恋人同士、てことだけど?」
 驚いた声が四人分。それに驚く二人分。
「もしかして別れたのっ?」
「そもそも付き合ってません」
 言って、もう一人の僕に同意を求めようとすると、何やら難しい顔をしていた。
「恋人ではないけど」
「けど?」
「関係はあるというか」
 今度こそ僕は悲鳴を上げた。
「とにかく、そのへんだけでも確認するか」
 顎を撫でながら僕の虎徹さんが言う。
「んー、言いにくいこともあるだろうから、自分たち同士がいいよな」
 とは二年目の虎徹さん。
「それじゃあ、俺たちはあっちで」
 一年目の虎徹さんが言って、そして三人は僕たちから離れていった。残された僕たち。
「で、君の場合はどんな関係?」
 言われて、僕は言う。
「ただのバディです」
「ただの?」
「ほんとに?」
 詰め寄られ、僕は絶対口にするまいと思っていたことを吐き出した。
「あの人に、恋をしているけど。でも、言わないって決めたから」
 だって、彼らは僕なのだから。

みつひと @3hitolog

「え! まだ片思いっ?」「え! 本気で好きっ?」両側から詰め寄られては笑うしかない。さっきまでお互いの虎徹さん像であんなにもめてたくせに、こんな時だけ仲がいいなんて。「普段はダメ人間だけど、その、ちゃんとリードしてくれるよ」「こっちは俺の下でよがってるけど」「…」 #TBss

2013-04-04 22:44:36
みつひと @3hitolog

「だって、お互い手軽だし、手加減しなくていいしで。自然にそうなったなぁ」「自然に!」「僕の方は、お互い酔っ払って、おじさんの方が仕掛けてきて…。すごかった」「すごいっ!」「確かに、あの人変なテクばっか知ってるから」二人の口から語られる真実に血圧が上がる。 #TBss

2013-04-04 22:53:41
みつひと @3hitolog

「で、なんでお前は未だにうじうじしてるの? 僕らしくない」「だって、あの人どう見たってヘテロじゃないですか!」「初めの時からノリノリだったけど」「それはあなたの虎徹さんです!」「僕の方もなんだかんだでノリノリだけど」言葉に詰まる僕を見て、二人が口を揃える。「童貞?」 #TBss

2013-04-04 23:16:37
みつひと @3hitolog

「ちゃんと経験あるから! お付き合いしてる人だっているから!」え、と二人から表情がなくなる。「あのさ、僕。おじさんが好きなんだよね?」「好きですけど」「お付き合いって、虎徹さんと?」「女性の方です」今度こそ慌てだす。「だってあの人が結婚はいいぞっ、てうるさいから」 #TBss

2013-04-04 23:37:23
みつひと @3hitolog

「気持ちが叶わないんなら、せめてあの人に祝福されるような結婚をしようって。そうしたら、少しはこの気持ちを忘れられるかなって…。バカみたいだろ。気持ちを告げて、拒絶されて嫌われる、それが怖くて一歩も踏み出せない腰抜けなんだ」二人はただ黙って、僕を抱きしめた。 #TBss

2013-04-04 23:44:47
みつひと @3hitolog

「諦められるの?」僕が聞いてくる。わかってるくせに。「無理でしょう。今の僕はあの人がいたからあるんだ。だったら、未来の僕もそうなんでしょう?」「だけど、今さら…」「自分が執念深いの忘れたの? 絶対死ぬまで抱え続けるんだ。それは、きっと誰にとっても不幸だよ」 #TBss

2013-04-04 23:54:03
みつひと @3hitolog

「やっぱり、あなたも彼が好きなんだ」言えば、二年前の僕が静かに頷く。「人のこと言えないな。肉体関係だけど、彼を手に入れたことで満足してるつもりだった。…君がうらやましいよ」「僕?」「唯一あの人と心が通じ合ってる」「ケンカばかりだけどね」それはこっちもだよ、と笑った。 #TBss

2013-04-05 00:02:00
みつひと @3hitolog

「やっぱり、僕は僕なんだな。意地っ張り具合が全然変わってない。僕も含めてね。あの人は、きっと唯一僕を僕としか見ない人だったんだ。だから、いつも予想が外れる。だから苛立つ。僕は君たちがうらやましいよ」「僕は肉体関係だけだよ?」「でも君は、それ以外は素直だろ」 #TBss

2013-04-05 00:11:50
みつひと @3hitolog

「僕の好きをあの人は受け止めてくれるけど、それはどこまでも庇護欲だ。僕に守られる役割を与えてくれるだけ。僕だってあの人を守りたいのに」「どうやら、僕たちはそれぞれ自分に素直じゃないらしいですね」「どうしましょうか」「告白しましょう,僕たちは虎徹さんが好きなんだから」 #TBss

2013-04-05 00:18:30
みつひと @3hitolog

「おじさん、僕、あなたのことが好きです」「え、えーと」「自分で思ってたよりも好きみたいです」「ありがと。あー、俺も好きだよ」「ほんとうに?」「本当に! そりゃ、最初は酒の勢いだったけど。今はちゃんと好きだから」「…今は?」「あ! 今のナシナシ!」「できるかぁ!」 #TBss

2013-04-05 23:52:53
みつひと @3hitolog

「虎徹さんが好きです」「俺もだよ」「特別の好きです」「…セフレとして?」「恋人になりたい、と思ってます」「ジョーダン」「言ってる顔に見えますか?」「…」「虎徹さん、あなたが好きなんだ」「…どうしよ」「虎徹さん?」「めちゃくちゃうれしい」「…僕も」「好きだよ、バニー」 #TBss

2013-04-05 23:53:12
みつひと @3hitolog

「虎徹さん、僕」「バニー、俺さ。お前が好きだ」「…え?」「なんか、他の俺たちと話しててさ。なんか、ずーっと我慢してたのがバカらしくなった」「あの、」「今さらだよなぁ。お前にはかわいい恋人がいるし。おじさんの告白なんか迷惑以外のなにものでもねーんだろうけど。ごめんなぁ」 #TBss

2013-04-05 23:53:44
みつひと @3hitolog

「あいつら見てたらさ、なんか、俺、少しは望みがあったんじゃねえかって、思っちまって。ごめん。黙ってるべきだってわかってんのに。…忘れてくれ」「忘れられるわけないでしょ!」「だよなぁ」「そうじゃなくて。自己完結するのはあなたの悪いくせだ! 僕だってあなたが好きだ」 #TBss

2013-04-05 23:55:06
みつひと @3hitolog

「ずっと前からあなたが好きです」「まさか、俺に合わせなくても」「合わせる意味がわかりません」「あいつらに感化され」「てませんっ! 僕はあなた以外を好きになろうとした。そうすれば、叶わない恋を諦められると思ったんです」「…ほんとなのか?」「僕が好きなのはあなただ」 #TBss

2013-04-05 23:55:31
みつひと @3hitolog

「お前、彼女はどーすんの?」「正直に言って別れます」「なんて?」「他に好きな人がいるって」「お前、ひっぱたかれんぞ」「いいですよ。当然の報いだ」「きれいな顔に傷がつくぜ」「かまいません。だって、あなたが手に入るんだ」「…マジか」「ねえ、答えを聞かせて」「いいよ、やる」 #TBss

2013-04-05 23:56:15
みつひと @3hitolog

目が覚めると、僕たちは病院のベッドの上にいた。爆発に巻き込まれての緊急搬送。昏睡状態だったと医師が教えられる。目覚めるのも一緒なのね、と笑う看護師さんに、僕たちは顔を見合わせた。きっと彼も同じ夢を見た。言葉を交わす前に僕にはわかった。だって、そう目が言っているから。 #TBss

2013-04-05 23:56:24