マルチエンジンな戦車のお話:枢軸(もとい、ポルシェ)編
ドイツのマルチエンジンと言えばとりあえず一番に出てくるのがポルシェ博士の電動シリーズでしょうかしら VK3001P、VK4501P、およびフェルジナント/エレファント、そしてVK10001 マウス 計画案で終わったVK4502PやVII号戦車レーヴェのプランにも電動が含まれました
2013-04-06 23:21:55しかして、実際のところポルシェシリーズの電動駆動用エンジンはサラッと流したいのです というのはVK3001Pで搭載されたポルシェ100式空冷V10エンジンが性能と信頼性に乏しく、直後空冷V10ディーゼルの200式(計画)、VK4501Pの頃にはもう目も当てられない勢いで試作してて
2013-04-06 23:27:45VK4501Pのエンジンは101/1型があり、Vバンクの谷へ点火マグネットを移した101/2型があり、101/3A型なるエンジンの図面が何の説明もなく載っていたり、空冷はやっぱりダメだとボアアップし水冷になった130型(電動用)および131型(油圧!用)があったりと、もう、もう…
2013-04-06 23:32:273001P用の空冷ディーゼルが200型なら、4501P用の空冷ディーゼルが190型と計画されたV10エンジンで、史実では単気筒の実験用エンジン191型が試作されてテストされたに留まっています この頃にはX型16気筒水冷ディーゼル(Sla-16?)が高い評価を受けた為だとか
2013-04-06 23:36:34さっきチラッと131型エンジンが油圧用といいましたが、殆ど知られていないこととして4501Pおよび4502Pでは電動駆動と共に油圧駆動タイプも計画されていたということがあります 4501Pの油圧駆動タイプの名前が「VK4501(P)HA」であるとシュピールベルガー氏が書いています
2013-04-06 23:42:57この油圧タイプがポルシェ102式、搭載されたエンジンは101式と同じで101/1型 これにフォイト社製「NITA」流体変速機を組み込んだものがポルシェ103式と呼ばれたんだとか 102式は下部車体のみ1両だけ試作されたそうですが、ウワサも聞きませんねえ…
2013-04-06 23:52:11この4501Pの時期に試された単気筒実験エンジンだけでも117型、119型、158型、159型、191型、192型、193型、213型があって全部空冷、117と119と193だけがガソリン 192を18気筒にしたものが203型だとかもう頭が 頭が!
2013-04-07 00:00:11203型の18気筒の計画を16気筒に改めX型に配置したものが当時ポルシェとエンジン開発で提携していたジンマーリンク・クラーツ・パウカーのSla-16エンジン ターボチャージャーを備え700馬力とも、750馬力とも言われます HL230を搭載する戦車へ換装できるようになっていました
2013-04-07 00:04:27「白背表紙」ティーガー号巻末のエンジンの項にもこのエンジンは出てきますが、そこでは1500馬力と紹介されていますけども、同様にパンター号の巻末にあるエンジン一覧と食い違っています 事実単気筒実験エンジンでの出力が47馬力ですから、16倍しても750馬力と見るのが正解みたいで
2013-04-07 00:06:241500馬力なのはドイッツが航空用に試作した水平対抗16気筒2ストローク液冷ディーゼルであるDz710エンジンなので、そっちとゴッチャになったんでしょうね というか、そんなものも戦車に積む気があったのかしらん… ガスタービン積んじゃったドイツですからありえない話じゃないでしょうが
2013-04-07 00:09:54さらに、実験エンジン213型の16気筒バージョンも試作されており、これも1500馬力を叩きだせる計算だったんだとか 搭載予定はポルシェ205式、つまりマウスですよ奥さん!戦争末期に機関室を大幅に拡張した王虎1両へ搭載されたことは確からしいけども、終戦で研究はおじゃんに…
2013-04-07 00:14:544502Pにおいても電動駆動と共に油圧駆動タイプが計画され、それぞれポルシェ180式/181式と呼ばれていました 機関はどちらも101/3型、180式第二案では101/4型が計画されたとありますが、「その違いはごくわずかだった」んだそうな… 181式ははじめから101/4型の予定
2013-04-07 00:20:04181式第二案では16気筒のディーゼルエンジンを2基積もうとしていたとか ボアストロークが110x130mmなんて相当に小さいけど、どんな形式の気筒配置にする気だったのか… 181式第三案では先ほどのSla-16を積む予定だった、と これは流石に1基でしょうけどね
2013-04-07 00:25:474502Pで気をつけたいのが砲塔の配置の前後と180式/181式の違いは関係ないということ 180式と181式それぞれに砲塔が前の設計案と後ろの設計案があったらしいのです
2013-04-07 00:27:56さてさて、やっとフェルジナントに到達した… フェルジナントといえば機関が4号戦車で使われたV12気筒液冷ガソリンのHL120TRMへと換装されていることが一番の差異ですが、実は4501Pも試験の途中あまりの101/1型の故障の多さにHL120TRMへ換装してしまっていたという話が
2013-04-07 00:36:23「白背表紙」ではこの話に関する言質は取れませんでした あくまで「フェルジナント向けに開発が進められていた空冷エンジンが間に合わなかった為」と説明されており、フェルジナントへなるときに換装されたような言い方です 4501PからHL120だったと書いてあるのはグランパ別冊「突撃戦車」
2013-04-07 00:38:26ここまでくると流石のポルシェもエンジンの更なる換装は考えなかったようで、換装の計画すら作られず終戦までHL120TRMで戦い通してしまいました とはいえ非力であったことも実際間違いなく、数々の報告書でエンジンの耐久性と交換部品不足が訴えられています
2013-04-07 00:42:44幸いだったのは随伴していたブルムベアや4号戦車と機関が同じなので、計画通りポルシェの新型エンジンなんかを搭載させられていた場合よりは遥かに整備も部品の入手も楽だったんじゃないか、という点でしょうか 壊れる勢いの方が整備や部品入手より早くてそのメリットも焼け石に水だったようですが…
2013-04-07 00:45:08最後になりましたがちょっと補足、VK4501Pの油圧駆動タイプがポルシェ102式、でNITA変速機を積んだものをポルシェ103式のように書きましたが、実際102式にもNITAは積まれており、103式は変速機専用の冷却ファンとダクトを備えたりと小改修を施したものだったようです
2013-04-07 00:48:15ポルシェは自社の計画戦車に対して「Typ 101」のようなタイプナンバーやVK3001(P)「レオパルト」などと社内名称をつけていたのは有名だけど、もう一つ、計画順にVK3001はI号特殊車両、4501はII号、4502はIII号とまたこんがらがりそうな名前を与えていたりする。
2012-08-06 20:19:00といっても大した内容は自分も分からないんですけども、42年5月11日に重量90トン、備砲15cm L/40でポルシェ式電動駆動のレーヴェ案が提出されていたってだけです このときには他にも複数の設計案が出ていて、砲塔が後ろだったりする車両も…って、これがポルシェ案じゃないの(呆れ
2013-04-07 01:16:14