ニンジャスレイヤーオーディオドラマ版とツイッター連載版の比較
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#njslyr7d 忍殺オーディオドラマ化について、原文と比較しながら考察していってツイッターに書いてこうと思ったら長くなりすぎてタグを付けるのが躊躇われるのでタグなしでやろう……しばらく長文垂れ流し&リツイートしますので、迷惑でしたら一時間ほどミュートお願いします。
2013-04-07 05:46:10#njslyr7d 「ニンジャスレイヤーオーディオドラマ版と原文との比較」 四月六日に発表されたニンジャスレイヤー第一部エピソード「ベイン・オブ・サーペント」のオーディオドラマ版と、その原文を比較することにより、両者に共通する忍殺世界を構成する要素、または差異について考察する。
2013-04-07 05:47:59#njslyr7d 考察には対応するツイッター連載、再放送版を用い、付加されているツイート番号を用いる。またニンジャスレイヤー作品自体を指し示すときは忍殺、キャラクターとしてのニンジャスレイヤーは特に理由が無い限りニンジャスレイヤーという単語を用いる。
2013-04-07 05:48:27#njslyr7d なお書籍版については著作権のなんかに考慮し、特殊な一部を除いてここでは考察の範疇に入れない。また忍殺世界の物語の流れ自体についても同様に考慮外とする。これによって原文が音声化される際のコンセプトをダイナミックに感じ取る画期的なシステムだ。
2013-04-07 05:48:49#njslyr7d またこれは一ニンジャスレイヤーファンの私見であり、特定の団体を代表するようなものではないし、あなたのイマジネーションを阻害しようという意図のものでもない。こういう考え方もあるんだねーふーん暇なヤツもいたもんだ、ぐらいに思っていただければ幸いである。
2013-04-07 05:50:10フルタマ・プロジェクト、第一区画。陰鬱な暗黄色の空を背後に、ずさんな塗装のせいであちこちにひび割れを生じた白色の高層住宅群が立ち並ぶ。 1
2012-03-05 23:05:111:暗黄色→黄色。厳密に考えると陰鬱な暗黄色は重言である。ただ小説表現において重言は全て間違いであるとは言えない。しかし暗黄色は文字での意味は通るが、読みは「あんこうしょく」のため、音声だと意味が伝わりづらい。
2013-04-07 05:52:01ハイウェイからプロジェクト区画へのジャンクションには、輝かしいネオンで彩られた巨大な看板に「すべてのネオサイタマ市民に暖かい食事と安全を」と誇らしげな字体で書かれている。もちろん、こんな欺瞞を信じるものなど誰一人として存在しない。2
2012-03-05 23:10:07企業体による酷薄な再開発によって土地を奪われた人々は、「カンオケ」と呼ばれる黒い窓なしのトラックに乗せられ、最低限の衣食住を保障するこのプロジェクトに押し込められる事になる。 3
2012-03-05 23:15:20しかし、それでも虐げられた人々は安堵するしかない。少なくとも彼らにはまだ屋根があるし、臓器もある。まだきっと這い上がる余地はある......そう自らにいい聞かせ、汚染された河川に隔てられたオムラ・インダストリの工場へ向かう往復バスへ、毎朝5時に乗り込むのである。 4
2012-03-05 23:20:082~4①:オーディオドラマ化にあたって一貫して感じられるのは、地の文の、存在の希薄さである。忍殺世界の中にいる地の文=サンから、中立のナレーターへ、とも言える。語り手の存在を主張する文章は、注意深く取り除かれている。13で詳述。
2013-04-07 05:53:242~4②:看板の文字や、窓なしトラックの呼称の省略。忍殺アトモスフィアを語る上では欠かせないものだが、オーディオドラマ化にあたっては、なかなか難しい問題である。看板の文字列を、実際に自分で口に出して読んでみると、この難しさがはっきりとわかる。
2013-04-07 05:55:38しかしてこの日。「カンオケ」の列をすり抜けるようにして、一台のロードキル・デトネイターがジャンクションを通過し、プロジェクトへ降りて行った。ロードキルは40年以上前に倒産したバイク・カンパニーである。その流麗かつシンプルなデザインは、このマッポーの世においてもはやオーパーツだ。5
2012-03-05 23:25:08プロジェクト区画への外部からの出入りは厳しく制限されている。このロードキルは明らかに異物であったが、光学ゲート・セキュリティが咎める事はなかった。6
2012-03-05 23:30:305~6①:オーパーツ関連も省略。価値判断はあくまでも聴取者にゆだねるというコンセプト、もしくは情報の過剰な提供による混乱を避けるためか。この辺りでアトモスフィアが削ぎ落とされているのではないかと不安を覚えはじめるが「セキュリティ」で安心する。見事なバランス感覚ではないだろうか。
2013-04-07 05:58:25ドライバーは女だった。黒いレザーのライダー・スーツが、しなやかなボディ・ラインを強調している。女はフルフェイスのヘルメットに触れ、ハンズフリー通話をオンにする。「ナンシーよりホゼへ。支障なく通過した、オーバー」「冗談はやめてくれよ、ナンシー」くぐもった、困惑気味の答えが返る。7
2012-03-05 23:35:09「何度でも言うが、今やっている事はメチャクチャやばいんだぞ。お前がヘマしたら、俺だって......」「本当に感謝してるのよ、ホゼ=サン。そして、信頼もしてる」ナンシーはロードキルをドリフトしながら停止させた。 8
2012-03-05 23:35:09ホゼが通信を返す。「当たり前だ。俺の偽装には全く何の問題も穴も無い。でも、俺がどれだけ完璧にこなしたところで、君がやらかしちまったら、それでオシマイなんだからさ」「そこは信頼してもらうしかないわね」 9
2012-03-05 23:40:147~9:=サン問題。ここでは=サンの前に呼吸はない。我々が日常使う~~さんとほぼ同じ感覚で=サンが使われている。忍殺世界の異質さを代表する=サンだが、音声にしてしまうと我々の日常そのものなのである。
2013-04-07 06:00:427~9②:これは私見だが、オーディオドラマ版の脚本中において、通常の会話の中では~~さん、ニンジャ同士のアイサツにあたっては~~=サン(一拍開けて)という使い分けがなされているのではないだろうか。
2013-04-07 06:01:347~9③:原文ではIRC通話冒頭は、洋画翻訳無線通話らしさを出すためか、=サンは使われていない。オーディオではナンシー、ホゼ、共に、IRC通話冒頭からさん付けをし合っている。これも後に出るアイサツにおいての=サンの異質さを際立たせるためか。
2013-04-07 06:01:537~9④:またSEや声優の演技により、地の文での描写、ナレーションを省いていることにも注目したい。これがただの朗読ではなく、確かなコンセプトを持ったオーディオドラマであることの証左の一つである。
2013-04-07 06:02:29フリージャーナリスト、ナンシー・リーの眼前には、代わり映えのしない白色の高層マンションが列になっていた。「14号棟だッけ?どれ?」「いま場所を送る」ヘルメットのバイザーに簡素な位置情報が点灯する。ナンシーは再びロードキルを発進させる。 10
2012-03-05 23:40:15「しかし、こんな吹き溜まりに、本当かよッて感じだな?」「そうね。だからこそ今まで気づかれずにきた、消されずにきた、でしょ」「ガセって事は無いのかい?」ナンシーは返事をしなかった。目指す14号棟にたどり着いたのだ。 11
2012-03-06 00:00:43