さて、今日は、今年の教採で多くの県(もしかすると、ほとんどの県)で出題が予想される重大な文書(文部科学省の通知)についてのお話です。通知のタイトルは、「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」で、平成25年3月13日に出されました。つい最近の重要文書です。
2013-03-25 22:47:57まずは、本文から当たることが必要です。「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)は、文部科学省のサイトの http://t.co/rkqYwIFXlx で読むことができます。
2013-03-25 22:48:49この通知には、別紙があり、「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」と題されています。こちらも文部科学省のサイト http://t.co/1Wm74KjxIG で読めます。
2013-03-25 22:50:27今回出た通知は、平成19年に文部科学省が出し、これまで学校における懲戒と体罰のガイドラインともなっていた「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」という通知を上書きするものと言えます。この19年度版通知も本体と別紙とで構成され、懲戒と体罰の法的な解釈を述べたものでした。
2013-03-25 22:54:02平成19年度版の通知はこれまで約5年間、あちこちの教採で出題され、その出題数は述べで100問をゆうに超えるでしょう。懲戒とは何か、体罰とは何かの「方的基準」として機能するべく出された通知なので、教員への周知徹底が期待されていたので、教採でも最頻出の通知となっていました。
2013-03-25 22:55:47今回の新しい25年度版通知は、平成19年度版より遥かに重大な意義を持つと考えられますので(昨今の体罰等のニュース報道から)、今年の夏の教採でも最頻出の文書になると予想されます。今日はこの通知の文書について詳しくいていきますね。
2013-03-25 22:57:22文部科学省としては、今回の新しい通知を懲戒・体罰の「法的基準・解釈」を示す指針とすると明確に述べています。通知本文に、「懲戒、体罰に関する解釈・運用については、今後、本通知によるものとします。」と述べられています。
2013-03-25 22:59:15従って、様々な意見がありうる懲戒や体罰ですが、学校教育においては、今後はこの通知の解釈が行われるということであり、教育委員会や学校現場(管理職、教諭)はこの通知の解釈に事実上、拘束されるということになります。教育を行っていく上でもどうしても知っておかなければならない内容です。
2013-03-25 23:02:03通知はまず、「体罰は、学校教育法で禁止されている、決して許されない行為であり」と述べて、体罰は容認されないということを明確にしています。
2013-03-25 23:03:08さらに部活動に触れて、「また、部活動は学校教育の一環として行われるものであり、生徒をスポーツや文化等に親しませ、責任感、連帯感の涵養等に資するものであるといった部活動の意義をもう一度確認するとともに、体罰を厳しい指導として正当化することは誤りであるという認識を持ち」と述べ、(続)
2013-03-25 23:03:46(続き)部活動における体罰を厳しく戒めています。これは、部活動における体罰による生徒自殺の報道が大きくされたことに関係するわけですが、今後は、部活動における体罰に厳しい眼が向けられることになるでしょう。
2013-03-25 23:05:26通知本文は、次のように始まります。「体罰は、学校教育法第11条において禁止されており、校長及び教員(以下「教員等」という。)は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合も体罰を行ってはならない。体罰は、違法行為であるのみならず、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、(続)
2013-03-25 23:06:26さらに、「体罰により正常な倫理観を養うことはできず、むしろ児童生徒に力による解決への志向を助長させ、いじめや暴力行為などの連鎖を生む恐れがある。もとより教員等は 指導に当たり、児童生徒一人一人をよく理解し、適切な信頼関係を築くことが重要であり、(続)
2013-03-25 23:07:14(続き)このために日頃から自らの指導の在り方を見直し、指導力の向上に取り組むことが必要である」と述べて、体罰が教育的に許されない行為であることを明確に述べています。
2013-03-25 23:07:44併せて、通常の懲戒として許されるものとして、児童生徒に肉体的な苦痛を与えるものでない限り、「通常、懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為として、注意、叱責、居残り、別室指導、起立、宿題、清掃、学校当番の割当て、文書指導」は許されると例示されています。
2013-03-25 23:09:28何が体罰に当たるかについての大原則として、「教員等が児童生徒に対して行った懲戒行為が体罰に当たるかどうかは、当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要がある。(続)
2013-03-25 23:10:27(続き)この際、単に、懲戒行為をした教員等や、懲戒行為を受けた児童生徒・保護者の主観のみにより判断するのではなく、諸条件を客観的に考慮して判断すべきである。」としながらも、
2013-03-25 23:11:03「その懲戒の内容が身体的性質のもの、すなわち、身体に対する侵害を内容とするもの(殴る、蹴る等)、児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなもの(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)に当たると判断された場合は、体罰に該当する。」と述べ、肉体的苦痛を与えるものは厳禁です。
2013-03-25 23:12:49ただし、正当防衛などの正当行為において、教員が生徒に対して行う有形力の行使は認められており、通知でも、「児童生徒から教員等に対する暴力行為に対して、教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使は、もとより教育上の措置たる懲戒行為として行われたものではなく、(続)
2013-03-25 23:14:44(続き)これにより身体への侵害又は肉体的苦痛を与えた場合は体罰には該当しない。また、他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対して、これを制止したり、目前の危険を回避したりするためにやむを得ずした有形力の行使についても、同様に体罰に当たらない。(続)
2013-03-25 23:15:01通知は、「学校は、指導が困難な児童生徒の対応を一部の教員に任せきりにしたり、特定の教員が抱え込んだりすることのないよう、組織的な指導を徹底し、校長、教頭等の管理職や生徒指導担当教員を中心に、指導体制を常に見直すことが必要である。」と述べ、体罰の起こらない体制整備を求めています。
2013-03-25 23:16:55特筆すべきは「校長は、教員が体罰を行うことのないよう、校内研修の実施等により体罰に関する正しい認識を徹底させ、「場合によっては体罰もやむを得ない」などといった誤った考え方を容認する雰囲気がないか常に確認するなど、校内における体罰の未然防止に恒常的に取り組むことが必要である。(続)
2013-03-25 23:18:02(続き)と述べて、「場合によっては体罰もやむを得ない」という考えが誤っていることを名言していることです。国民の過半数が、「場合によっては・・・」と考えていることが指摘されていますが、少なくとも学校現場では、その考えは誤りであると文部科学省が明言して通知したということになります。
2013-03-25 23:19:46教員に対しては、「教員は、決して体罰を行わないよう、平素から、いかなる行為が体罰に当たるかについての考え方を正しく理解しておく必要がある。また、機会あるごとに自身の体罰に関する認識を再確認し、児童生徒への指導の在り方を見直すとともに、(続)
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