jyasuda1中内論文まとめ

Cell. 2010 Sep 3;142(5):787-99.の膵臓欠損マウスをラットPSCで補った実験の解説
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Tokyo Laboratory @tokyolab
@jyasuda1 5年ほど前に日本のグループから、ヒト間葉系幹細胞をマウスに移植して、キメラ腎臓を作るという論文が出ていました。 http://bit.ly/dn8mtO
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文紹介)まずは抄録の翻訳だが、逐語訳でやると著作権に引っかからないか心配なので、簡略化する。今日は結果までで、私の感じた疑問などは一部明日に回します。論文はこちら http://bit.ly/9LPr5M
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文1)概略1.胎児で膵臓形成不全を起こすPdx1欠損マウスの胚(胚盤胞)にマウス野生型多能性幹細胞(PSC)を注入し、仮腹で発育させるとほぼ完全にPSC由来の膵臓を形成する。さらにマウスもしくはラット由来のPSCを別の胚盤胞に注入したら、種間キメラが出来た。#ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文2)概略2.この種間キメラの一部は、成体になるまで成長させることが出来た。このマウス・ラットのキメラの形成は、種特異的な臓器形成や体のサイズは、宿主の胚盤胞もしくは代理母に影響されている。#ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文3)概略3.さらにPdx1欠損マウスの胚盤胞にラットの野生型PSCを注入し、正常に機能するラット膵臓が生成された。これらの知見は、異種移植によってPSCから生体内での臓器生成が可能であることを示している。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文4)私が考えるイントロでのポイントは5つ。A)iPSを作ったところで臓器を作るのは難しいB)ある臓器が欠損する改変遺伝子を持つマウス胚盤胞に野生型ES細胞を注入し、子宮内で発育させるとその臓器を持つマウスが出来た。#ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文5)C)これが異種間で出来れば、家畜でヒトiPSから移植用臓器作成が可能になる。D)その異種間でのキメラ動物作成はこれまで困難であったが、胎盤などの胚外組織における異種細胞の存在が着床の障害などを引き起こしていたためらしい。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文6)E)この困難を乗り越えるべく、多能性幹細胞の培養技術を確立し、幹細胞の胚への注入時期を遅らせ桑実胚ではなく胚盤胞に注入したり工夫を加えて、異種間キメラ動物の作成に成功、さらには臓器欠損を修復した。以下、主な図について、簡単にコメントする。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文7)図1はPdx1欠損マウス由来の胚盤胞に野生型マウスPSCを注入して発育させて出来た膵臓におけるPSC由来細胞の貢献度と分化の方向性の確認。Pdx1欠損マウスに出来た膵臓実質はPSC由来だが、血管などの間質はキメラであった。#ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文8)図1、2のポイントはPdx1のヘテロマウスの胚盤胞に野生型マウスPSCを注入した場合、出来た膵臓は各ランゲルハンス島を含めキメラであること、なぜか知らないが、注入したPSCは生殖細胞系列に入りにくそうだと思われることである。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文9)図4はマウス、ラットの異種胚盤胞へのPSC移植の胎児レベルでの確認。4Aでは胎盤など胚外組織ではPSCがないことを強調しているが、いまひとつはっきりしない感じ。本文中では異種PSCの貢献度がますと流産しやすくなるとある。#ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文10)4Bでは胎児線維芽細胞と胎児肝臓(造血組織として解析)でのキメリズムの確認であるが、マウスが宿主(=胚)の場合、ラットのPSCの貢献は極めて小さい(3%程度)。この理由は不明。そのほかの臓器ではばらつきがあるものの2割程度。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文12)4Fでは異種間キメラの流産率はマウスが宿主の場合過半数であるが、ラットが宿主でマウスのPSCを移植する場合、出生率は同種移植とそう変わらない。一般に同種と比して異種ではキメラ率は低い。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文12)【重要】また、ラットには胆嚢がなく、マウスには胆嚢があるが、これも各宿主と同じく、マウスの胚盤胞にラットのPSCを入れても胆嚢が形成されるし、ラットの胚盤胞にマウスのPSCを入れても胆嚢は形成されない。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文13)図7Pdx1欠損マウスへの異種間でのPSC胚盤胞補填によって生成された膵臓の機能解析および詳細な由来細胞の解析。得られた膵臓実質はラット由来であり、インスリン分泌も正常であった。 #ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文14)臓器作成実験として、139個のPdx1欠損マウスに、厳選された野生型ラットのPSCを注入し、34匹出生した。しかし、成体となったマウスはたったの2匹であった。おもなデータはこんなところ。以下、明日以降に生物学的問題点を書く。今日はこれまで。 #ISBC
ひろ@猫もふ欠乏症 @hiro_h
@jyasuda1 ってことは、それぞれの個体では使われることがないregulatory edgeが残っていると理解しても良いのでしょうか?>マウスの胚盤胞にラットのPSCを入れても胆嚢が形成されるし、ラットの胚盤胞にマウスのPSCを入れても胆嚢は形成されない。#ISBC
Jun Yasuda @jyasuda1
中内論文ではマウス胚に入れたラットPSCの、胆嚢への貢献について特にコメントがないことが気になるところです。現在出先ですのでまたあとで。@hiro_h
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文16)直前の@hiro_hさんへの返事の続きだが、膵臓を作る遺伝子プログラムはラットもマウスも共通なのだと考えられるが、果たして胆嚢を作るプログラムが機能していないラットの幹細胞が、マウスの胆嚢生成プログラムの中でどのように振る舞っているのか、結果が知りたい。
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文17)私は胆嚢、胆管の組織解剖学は詳しく知らないが、細胞の種類も基本構築もほぼ同じだったように思う。胆管はラットにもある。つまり、細胞レベルでなら、ラットの幹細胞もマウス胆嚢に貢献しうるだろう。胆嚢入口部の括約筋がマウス細胞のみなら、胆嚢発生の機構説明として面白い。
ひろ@猫もふ欠乏症 @hiro_h
@jyasuda1 本題の邪魔してるようで恐縮なのですが、使われていないのに、有害変異が入らないなら不思議ではあります... // 偽プロモータにならない!?
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文18)マウス胚でのラット幹細胞の胆嚢への貢献は明言されていない。他のところで「脳や生殖細胞を含む体全体にあまねく」とあるので、胆嚢にもラットの細胞はあるものと理解している。
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文19)例えば異種キメラの脳や神経系の機能、可塑性や回路の整合性などがどうなっているのか、大変に興味深い。視覚や聴覚の機能、嗅覚の機能なども影響を受けていないとも言えないように思う。
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文20)論文中でも一部議論されているが、胚=多数派、PSC=少数派のせめぎ合いが起こっている可能性がある。このことが一部組織のキメリズムの偏りを招いているかもしれない。また、成長、加齢が進むにつれ、少数派排除が起こる可能性もある。様々な異常な病態が再現できるかもしれない。
Jun Yasuda @jyasuda1
(中内論文21)また、発がんの観点からも興味深い実験が可能になるように思われる。組織特異的な発現を示すような発がん性の遺伝子変異をPSCに加えた状態でキメラを作ることによって、より詳細な腫瘍・宿主相互作用の研究が出来るかもしれない。

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