抗癌剤の意義と患者の選択

緩和ケア・腫瘍内科医の西先生(@tonishi0610)による抗癌剤のお話。
医療 健康 化学療法 抗癌剤
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本題
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
先日、とある番組で、ある患者さんの闘病記で、癌による体調不良、そこに「抗がん剤の投与が多大な苦痛を加えたのです!」→それでその後、癌が小さくなり体調がよくなったのは「奇跡」と報じている例が。「予後3ヶ月と言われたのが本人の気力で1年間生き抜きました!」と。抗がん剤はあくまで悪者。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
抗がん剤の効果で体調が回復、予後も1年に延長した、というのが本当のところだと思うのですが、そのように報道しないのは恣意的なものを感じます。ただ、「予後3ヶ月です」とか、強い痛みで苦しむ様子が映されていたので、支持療法が弱い病院であったのかもしれませんが。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
支持療法をしっかりして、早期から緩和ケアも関わって行う抗がん剤治療は、報道では「地獄の苦しみに耐えて・・・」と言っていましたが、実際には外来通院で治療しながら仕事に通われている方も多いです。もちろん、副作用の感じ方は人それぞれですし、強く出た方には調整が必要なこともありますが。
takashi_md @takashi_md
@tonishi0610 こんばんは。これは「多大な苦痛を加えた」時点で抗がん剤を中止したのですか?
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
@takashi_md 報道では、「ずっと抗がん剤治療を続けた」ということになっていました。なので「続けられるくらいの内容だった」とも言えます。なので報道の偏向を感じるわけです。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
そもそも、そんな「地獄のような苦しみ」の治療を、どんな方でも1年間も続けることはできません。必ずどこかで調整が入っています。
takashi_md @takashi_md
@tonishi0610 ありがとうございます。抗がん剤を中止しての結果ならまだわかりますが、継続していたのにその治療効果(の可能性)とは表現せず「奇跡」ですか。最期まで戦った患者さんにも失礼ですよね。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
書店ではK医師の「抗がん剤はしてはいけない」本がベストセラーですが、あまり抗がん剤を悪者にしすぎるのはいかがなものと思う。もう少し、メリットとデメリットを整理して、中立的に伝えるべきではないか。ただ、センセーショナルに書いた方が「売れる」だろうから、仕方ないかもですが。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
抗がん剤が生活の質を下げない、とは言いません。多かれ少なかれ、やはり多少生活の質は下がります。ただ、そのために生存の期間が延びる、というのは事実です(統計的に)。抗がん剤をしないメリットは、少なくとも抗がん剤による生活の質低下は避けられることです。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
なので、多少生活の質を下げても、長く生きる確率を増すことに意義を感じる方は、抗がん剤治療を選択するべきと思うし、そこに価値を見いださないのであれば、抗がん剤をしない、という生き方もあると思う。私達、腫瘍内科医は必ず、この点について説明しています。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
それを「生活の質を下げる」ことだけを取り上げて、ことさらに悪者扱いするのは?私達も、いいことばかり言っているのではないです。また、先に述べたように、既に癌による苦痛症状がある場合には、抗がん剤で癌が小さくなることで、症状が緩和して楽になることもあります。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
実際、口から食事が摂れずベッド上で寝たきりに近かった患者さんが、抗がん剤投与で元気になり、食事を食べ、歩いて退院する例もあります(癌種によりますが)。そういう事実を全て考慮に入れて、抗がん剤治療を勧めたり緩和に専念することを勧めたりしているのが腫瘍内科医です。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
実際、抗がん剤で治るはずだった方が、K医師の本を読んだことで「治療を中断」し、その後手のつけられない状態になった例も多数診ています。それで、本人が納得しているなら「それも本人の生き方」でしょうが、「こんなはずじゃなかった」という方も多数おり、これはもうどちらが悪なんでしょうか。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
実際、抗がん剤で治るはずだった方が、K医師の本を読んだことで「治療を中断」し、その後手のつけられない状態になった例も多数診ています。それで、本人が納得しているなら「それも本人の生き方」でしょうが、「こんなはずじゃなかった」という方も多数おり、これはもうどちらが悪なんでしょうか。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
抗がん剤をする選択も、しない選択も、その人の人生。私達はその選択をした意志を尊重して、どちらを選んでも最後までその方に寄り添いたいと思っていますが、その選択をした結果、できれば後悔しないでほしいと思うのです。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
抗がん剤をする選択も、しない選択も、その人の人生。私達はその選択をした意志を尊重して、どちらを選んでも最後までその方に寄り添いたいと思っていますが、その選択をした結果、できれば後悔しないでほしいと思うのです。
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
K医師は「何もしない方が長生きする」と言っていますが、その根拠は希薄です。患者さんがそれを真に受けて「私は死にたくないから抗がん剤は止める」として、本当に後悔しないか?
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
本を書いた本人は、そのような患者さんを最後まで診ないから無責任でいられますが、最後まで診ている我々の考え方に口を出すのは、本当にこちらの気力が削がれます。それとも、それも「本人がきめたことだ」とか言うのでしょうか。
@cho_shiさんとのお話
たっちー(でっかい奈良漬け) @cho_shi
@tonishi0610 こんばんは。自分は乳がんですが例の本で転移か再発の乳がんの方で治療せずそのままにして皮膚までグズグズになっていたが痛みもなく亡くなっていかれたとありました。 あくまでその方はは痛みがない病巣の広がりだったのかもしれないと自分は読み取りましたが(続く
たっちー(でっかい奈良漬け) @cho_shi
@tonishi0610 だからといってあの先生が仰るように抗がん剤が不要というのは違うのではと思いました。 しかし、一般的にはあの一例だけで乳がんも放ったらかしでいいのかと感じられる方もおられるかと思うと何とも言えない気持ちになります。(続く
たっちー(でっかい奈良漬け) @cho_shi
@tonishi0610 かくいう自分も苦しい思いはしましたが複数種あった病巣のひとつは病理的にも奏功し(残ったのは効きにくいタイプ)、再発の知人も化学療法によって復職予定です。抗がん剤も必要な治療であったと感じます。万事がひとつのことで片付かないと思いました。(長文すみません
Dr.西智弘@リレーショナルアート「奢られる人奢る人」5/12 @tonishi0610
@cho_shi おそらくは「医者が病気を作っている」といった考えが基本にあるのかと思います。確かに、そういった側面は否めませんが、その考えをさも常識であるかのように吹聴しないでほしいのです。「こういう考えもあるよ」くらいで。
たっちー(でっかい奈良漬け) @cho_shi
@tonishi0610 そうですね。 トータルして考え方のひとつとしてはありかもしれませんが、あれだけが正しいと言い切る姿勢というのはいかがかと思います。 やはり西先生の仰るように当人が何を良しとし選択するかが重要だと感じております。お返事頂いてありがとうございました。
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コメント

病理医ヤンデル @Dr_yandel 2013年4月11日
「抗がん剤をする選択も、しない選択も、その人の人生。私達はその選択をした意志を尊重して、どちらを選んでも最後までその方に寄り添いたいと思っています」、ブラボーです。リスクと利益を両方説明できる人がこれを言ってくださるから、すばらしい!
こくりこ★!!! @kokurikofufu 2013年4月11日
抗がん剤関連で最近驚いたお話。#NHK BS世界のドキュメンタリー「絶食療法の科学」 http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/120425.html 国民の2割が絶食療法を経験しているドイツでは、抗がん剤投与時に絶食療法を組合せ、副作用を激減させた例があるそうです。かの国でもまだ確立された治療方法ではないそうですが、ご参考までに。(ちなみに題名で検索すると動画が見れ‥‥モゴモゴ)
あえりうす~やっぱロードスター最高 @Aelivs 2013年4月11日
とても参考になりました。恥ずかしながら『抗癌剤』については否定的なイメージばかりを漠然と持っていましたので福祉従事者としては反省しきりです。
伊坂一馬 @Ithaca_Chasma 2013年4月11日
抗がん剤に限らず、リスクの本質は「確率」なんだと思う。しかし0か1かでしか考えられない人が多い。駄目だった場合に取り返しがつかないから、という医療という分野ならではの問題という側面はあるにせよ。
Terra Khan @DrTerraKhan 2013年4月11日
自分も患者さんに化学療法をするかどうか、どうアプローチするかについて2年前にBlogで書いたけど、今読み返したら文章が稚拙過ぎた。
かなこ@ 中の人は猫の妖精 @moetreehaihai 2013年4月11日
今なら西先生のおっしゃること、全くその通りだと確信を持って言えます。娘はB細胞型のリンパ芽球リンパ腫ステージⅳでした。わたしも、抗癌剤治療の苦しさばかり聞いていたのでそんな辛い思いをさせるくらいなら、ホスピスに入れて苦痛だけとって静かに・・と思ったこともありましたが、主治医はじめ緩和ケアチームのタッグで思った程の苦痛もなく7ヶ月の治療を終えてまた学校へ戻りました。あのとき治療を選択して本当に良かったと思っています。
BUNTEN @bunten 2013年4月11日
自己決定を歪めかねない情報を故意に流す連中には毎度怒りがわく。
ア★☆コベヰ(大人の階段転落中) @abekohfuketsuSC 2013年4月11日
薬=根治というこれまた0×100理論がまだまだ蔓延してるし(放射能リスクが顕著)、そこに付け込む商売人な輩が多いのも問題…リスクバランスは小さい頃から教育で叩き込む必要があるような。家庭に任せても親がバランス悪いと目が当てられないし。ベタだけどブラックジャックによろしくのガン編はその意味で勉強になる。
neologcutter @neologcut_er 2013年4月11日
怪しげな健康食品の「○○でガンが治った!」みたいな内容の宣伝どうにかならないかなー。
犬山しんのすけ @shinnosuke_inu 2013年4月12日
うちのおかん、スキルス癌だったよ。でもね、抗がん剤治療で頑張ってたよ。予想よりは半年余命伸びたみたい。流石に、治る事は無かったけどね。それでも、孫(自分から見れば姪)と上野動物園にも行けたし。こっちも僅かでも親孝行できたんじゃないかと思ってる。
luckdragon2009(rt多) @rt_luckdragon 2013年4月15日
がんの情報はエビデンスレベルが違う内容もあり、その中にはがん検査をしない、というものもあって(その方が生存に対するリスクが増えるから)なかなか理解が難しいけど、
luckdragon2009(rt多) @rt_luckdragon 2013年4月15日
色々勉強して、トンデモ医療に騙されないようにしてください。多くの人が、癌で亡くなることが多いので、勉強はいつか役に立ちます。医療エビデンスを学ぶと、他の医療にも役立ちますし。
luckdragon2009(rt多) @rt_luckdragon 2013年4月15日
shinnosuke_inu 知っているかと思いますが、スキルス癌はとても発見が難しい癌です。その意味でも、治療に対して、よく頑張られた、と思います。誇って良いですよ。
犬山しんのすけ @shinnosuke_inu 2013年4月15日
@rt_luckdragon 有難う御座います。そう言って頂けると、母も喜んでいると思います。
luckdragon2009(rt多) @rt_luckdragon 2013年4月15日
shinnosuke_inu 私も、知り合いをスキルス癌で亡くしましたので。 心穏やかであれたら、幸いです。
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