第3回twitter小説大賞応募作品

時間がなくて6本だけです。
1
廻転寿司 @kaitenzushi

ロボットの所長が我が営業所にやってきた。昨日社宅宛に宅急便で15個の段ボール箱が届いた。総務課全員で梱包を開き、簡単な説明書を頼りに所長の体をネジとドライバーで組み立てた。口のパーツだけがないので本社に問うと、初日からうるさいと嫌われるから来週届くのだそうだ。 #twnovel

2013-04-01 11:07:04
廻転寿司 @kaitenzushi

「取引先から借りた黒真珠のネックレスをなくしたので19万8千円貸してくれ」父の名を騙る男から携帯に電話があった。僕の父はとうに亡くなっている。下らない嘘だと分かっていたが相手が指定したカネの引き渡し場所に興味を抱き、タクシーに乗ってクリフハンガー岬へ向かった。 #twnovel

2013-04-01 18:04:10
廻転寿司 @kaitenzushi

「面接会場」の紙が貼られたドアの向こうから威勢のいい声で「どうぞ」と招かれた。中へ入ると磨き上げた肉体にネクタイとパンツだけの姿で4名の役員が長机に書類を広げていた。汗ばむ肌を密着させ役員は僕の体にのしかかり、自己PRや職歴を訊いてきた。これが圧迫面接か……。 #twnovel

2013-04-01 19:17:50
廻転寿司 @kaitenzushi

爆撃機や戦車がまっぷたつになった光景が続く国境を抜け、私達カメラマンは「戦争のない国」へ入国した。仲間の一人が空を指す。轟音と振動を伴い、白く長い兵器が飛んできた。戦争のない国の住民達は一斉に祈り始めた。国境の手前で兵器はまっぷたつに割れ、白い鳩の群れとなった。 #twnovel

2013-04-12 12:04:03
廻転寿司 @kaitenzushi

仕事帰りに寄るコンビニがある。店員は一人だけ。いつも浮かない顔。深夜だから疲れているのか。私はそう思いロールケーキを買って家路に着く。この店に来 るとカーナビの現在地が必ず墓地を示す。徹夜明けにロールケーキを求めて立ち寄ると朝の日差しに輝く墓地が山から見ていた。 #twnovel

2013-04-12 12:27:01
廻転寿司 @kaitenzushi

歩道に沿って点在する簡易トイレから出てくると私はまたいつもの行列に加わった。日が昇る頃にはいつもの売り子から弁当を注文するだろう。この列に並んでから十年が経っている。いつ先頭に着くのか。行列から出てきた人が持っていた単行本は私が買おうとしている作品の次回作らしい。#twnovel

2013-04-12 12:48:18