動乱の宇宙世紀(仮題)

フォロワーさんのツイートから発想した、デラーズ紛争とグリプス戦役の間を背景にした物語。ジオニズム運動に身を投じていく裕福な資産家の少女と、その両親を養い親として育った連邦軍士官を志す戦争孤児が主人公です。まだ冒頭部分ですが、別のツイートがいっぱいになってまとめ難くなる前に、と思って作りました。仕事が落ち着いたら続き書きます。
6
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

U.C.0085年、学業の不振や親への反撥心から、既存の既得権益受益層を「重力に魂を惹かれた者たち」として糾弾するジオニズムに傾倒していく、地球在住の特権階級の子弟たちが続発。一種のムーブメントが世界を覆った。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:31:03
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

むろん、それは先に記したように、たわいもない反撥心から生じたものだったので、厳密な意味において、彼らはジオニストではなかった。しかしそれは、若者特有の血気によってサイド社会へも伝搬、80年代半ばのジオニズム運動を支える背骨になっていった。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:33:53
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

地球の特権受益層の出身である少女は、北東アジアの国立大学でひとりのジオニズム運動家と出逢い、行動を共にするようになっていく。それが思想に共鳴したからなのではなく、単なる異性への憧れに過ぎないと気づくには、彼女は人間というものを知らなさ過ぎた。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:37:25
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

最初は単に活動家に憧れ、アジビラをバラ撒くだけだったが、ある長期休暇で目撃した出来事が、少女の運命を狂わせた。…否、彼女に選択を誤らせた。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:40:20
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

少女の家は金満であり、そういった家庭でよく見られるように、親は慈善事業にも積極的だった。あの地獄のような一年戦争からわずか5年である。不幸のネタは、世界中に掃いて捨てるほど存在していた。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:42:16
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

少女には兄弟のように慕う少年がいた。戦後間もなく、両親が慈善事業の一環として引き取った戦災孤児である。彼らは孤児院に多額の寄付をしていたが、あまりの世界の荒廃ぶりに、それだけでは自分たちの善意を確認できなくなっていたのである。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:44:43
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

一人っ子だった少女は、同世代の少年を自分の兄弟として受け入れた。親たちも、少年の優れた素養に気がつくと、喜んで教育を与えた。養子にしようとさえ思った(これは少年が固辞した)。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:47:29
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

少女が大学に進むと同時に、少年は養父たちの説得を振り切り、地球連邦軍地上軍士官学校へ入学した。人の役に立ちたい、戦争によって社会ステータスが向上した軍人になって、養い親たちに恩返しをしたい、と考えてのことだった。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:49:39
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

両親は少女が大学でジオニズム運動に関わっていることを、咎めはしなかった。若者にありがちな一過性の熱病だろうと見ていたのだ。また、ジオニズム運動団体は、積極的にボランティア活動もしているという。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:54:24
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

近い将来、欧州の大社交界にデビューし、そこで名のある家の男子を婿にとり、家を盛り立てていかねばならない運命を背負った娘である。ボランティア活動に精を出すのは喜ばしいことだった。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:55:47
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

ただ、ジオニズム運動をはじめてから、軍人の道を志す少年と、休暇で顔を会わすたびに口論することが多くなったことが、母親は心配だった。少女は連邦軍を圧制者と糾弾し、士官候補生になった少年を悪罵した。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 16:58:33
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

少女の悪口に、しかし少年は口答えしなかった。育てて貰ったことへの負い目なのか、彼は少女と養い親に対して常に一歩引いていた。だが、少女が長期休暇を利用し、運動仲間と東欧に旅行すると聞くと、珍しく強い口調で思い止まるように説得した。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 17:02:00
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

しかし少女は忠告に耳を貸すことなく、ワルシャワ行きの弾道軌道旅客機に乗った。それが、P.O.N(帰還不能点)だったと少年が気がついたのは、ずっと後になってからだった。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 17:05:27
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

東欧から帰ってきたのは、かつての少女ではなかった。彼女は自分をこれまで育んでくれたことには感謝するが、それが人民を圧制して得た金だということ、父親が世界的に有名な軍需産業への融資で金を稼いでいることを大いに恥じると両親に告げ、大学の寮へ戻っていった。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 17:08:30
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

娘の変貌に父親は愕然とし、母親は嘆き悲しんだ。その日以来、少女はそれまでは欠かさなかった連絡を、一切してこなくなった。屋敷からは笑い声が絶え、母親のすすり泣きだけが聞こえてきた。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 17:11:16
ヤバい囚人番号6 @F4EJ2Phantom

養い親の尋常ならざる状態に気がついた少年は、急ぎ休暇を貰って屋敷に戻ってきた。そこで事情を聞くと、すぐに少女がいる北東アジアへと飛んだ。下手をすると単位が足りなくなり、卒業に支障が生じるかもしれなかったが、そんなことは関係なかった。 #動乱の宇宙世紀

2013-04-13 17:13:26

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?