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2013年4月17日

【討議の欠如・続3】

「サイエンスとポリシー」が密接に絡みついている状況で、フェアーな討議が行われていないことについて、宗教学者 島薗進氏が連続ツイートしました。
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島薗進 @Shimazono

1【討議の欠如・続3】日本学術会議が設置した「放射線の健康への影響と防護分科会」(2011年4~9月)は討議はしないで「正しく怖れる」ことを国民に求めるという立場での政府・福島県の政策の後押しをし、国民への情報発信を行った。その上で「討議せず」の正当化も試みられた。

2013-04-17 10:05:19
島薗進 @Shimazono

2【討議の欠如・続3】政府や学界に強い影響力をもった核医学者で放影研の理事長やチェルノブイリ医療協力に関わった長瀧重信氏はこの点で強いイニシアティブを発揮した。同氏は『医学のあゆみ』2011(10号)で特集「原発事故の健康リスクとリスク・コミュニケーション」の企画者となっている。

2013-04-17 10:05:48
島薗進 @Shimazono

3【討議の欠如・続3】長瀧氏は「はじめに」で「われわれ専門家集団としては、国際的に科学的に正しいと認められた知識を今後も繰り返し説明し、伝え続けていくことが責務であると考える」p943と述べる。ここでの問題は、1)「国際的に科学的に正しいと認められた知識」は1枚岩なのか、

2013-04-17 10:06:06
島薗進 @Shimazono

4【討議の欠如・続3】2)「われわれ専門家」が国際的な討議を適切に伝えているか、3)これらに異論がある場合、その問題を公共的な討議に付す心構えがあるかどうか、ということだ。加えて、「われわれ専門家」が、4)どれほど公共性をもった集団なのか、5)他の専門家と討議しようとしてきたのか

2013-04-17 10:06:28
島薗進 @Shimazono

5【討議の欠如・続3】6)「ポリシー」に開かれた関わりをもってきたか、7)「科学的事実」をめぐる問いから市民を排除しようとしていないか、7)「サイエンスとポリシーを混同しないこと」というが、そもそも「サイエンスとポリシー」の望ましい関係をどう考えているのか、などの問題が生じる。

2013-04-17 10:06:46
島薗進 @Shimazono

6【討議の欠如・続3】具体的な例をあげて長瀧氏はこう述べている。「ICRPの勧告にある計画被曝状況の公衆被曝限度の年間1mSvを超えると健康に影響があるという主張や、現在話題となっている現存被曝状況の1~20mSvを超えると健康に影響があるという主張に、科学的根拠はない」。

2013-04-17 10:07:01
島薗進 @Shimazono

7【討議の欠如・続3】長瀧氏は上記の言明が「科学的事実」を述べたものというが異論は多い。BEIRⅦには「例えば、「オックスフォード小児がん調査」からは「15歳までの子どもでは発がん率が40%増加する」ことが示されている」「これは10~20mSvの低線量被曝においてである」とある。

2013-04-17 10:08:01
島薗進 @Shimazono

8【討議の欠如・続3】米国「電離放射線の生態影響に関する諮問委員会」BEIRは長瀧氏も科学的評価の団体として重視しているが、BEIRが掲げるこのデータをどの程度重視するかにはさまざまな科学的立場があり、それがポリシーの多様な考え方にも反映する。公共的討議に付されるべきものだ。

2013-04-17 10:08:15
島薗進 @Shimazono

9【討議の欠如・続3】しかし長瀧氏は彼自身の、また「われわれ専門家」の放射線リスク評価が唯一の「科学的事実」だと主張してじっくり論じ合う討議の場を設けようとしない。長瀧氏が主査の一人となり、2011年12月に報告書を出した「低線量被ばくのリスク管理に関するWG」では、対立する

2013-04-17 10:08:43
島薗進 @Shimazono

10【討議の欠如・続3】科学的見解をもつ木村真三氏や児玉龍彦氏からいちおう意見を聞いた形を作ったが、しっかりとした討議はせず、彼らの意見は報告書にほとんど反映されていない。報告書の内容の決定に関わる委員は「われわれ専門家」で固められていたのだからこれも当然だろう。

2013-04-17 10:09:04
島薗進 @Shimazono

11【討議の欠如・続3】科学者間のフェアーな討議の場がないだけでなく、「サイエンスとポリシー」が密接に絡みあっていることに鑑み両者の関係を問いながら討議を行おうとする意志がない。これには誤った「リスク・コミュニケーション」誤解が関わってる(拙著『つくられた放射線「安全」論』)。

2013-04-17 10:09:24
島薗進 @Shimazono

12【討議の欠如・続3】リスク・コミュニケーションとは確率論を用いた「客観的な科学的事実」をもつ科学者が、科学的知識に欠ける市民の主観的な不安を和らげ、「正しく怖れる」ように導くことだという理解。これは本来、リスク・コミュニケーションは双方向的なものだという共通理解に反する。

2013-04-17 10:09:45
島薗進 @Shimazono

13【討議の欠如・続3】加えて、長瀧氏は科学者の多様な見解が社会に知られることがそもそも好ましくないと論じる。「もちろん、学問上の議論は、科学のために大いに推奨されるべきであり、現実に世界中で膨大な研究が遂行されている。しかし、様々な主張が科学の名前で社会に直接に伝わることで」

2013-04-17 10:10:02
島薗進 @Shimazono

14【討議の欠如・続3】「混乱をまねく状況下では、“科学”的な結論が出るまでの議論は、まず責任を持って科学者の間で行うべきであり、科学者間の議論は科学に基づいてフェアーに検討され吟味されるべきである。その上で、社会に対して発せられる科学者からの提言は、一致したものでなければ」

2013-04-17 10:10:21
島薗進 @Shimazono

15【討議の欠如・続3】「ならないと私は考えている」p940。しかし、1)「科学者間の間で」開かれたフェアーな討議が行われてきたか、2)科学者の声が多様である場合、いかにして社会に情報を発するのか、3)「一致したものでなければならない」というのはどのような意味でなのか?

2013-04-17 10:10:40
島薗進 @Shimazono

16【討議の欠如・続3】年間20mSvをめぐる文科省通達(2011年4/19)においても、福島県県民健康管理調査の情報発信においても、科学者の間でも専門家と市民の間でも開かれたフェアーな討議はなされず、それ故に不信は募った。長瀧氏の討議忌避の考え方は不信を招く大きな要因となった。

2013-04-17 10:12:10
島薗進 @Shimazono

17【討議の欠如・続3】福島県県民健康管理調査の検討委員会は、形の上では開かれたフェアーな討議を行う場となりえたものかもしれない。だが、実際には「秘密会」で専門家の「一致した」見解を準備しようとし、そのために不信を一段と増幅することになった。続5では、その経過を見ていく。

2013-04-17 10:12:30

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