2013年4月18日

西住殿の戦車講話#8 「装甲と砲弾の歴史V」

西住殿による装甲と砲弾の歴史第五回。 今回は対戦車ミサイルのお話です。 年々小型化していって運用も簡単になっている、戦車にとって厄介なシロモノですね。
7
西住みほ @Miho_Nishizumi

装甲と砲弾のと歴史その5。対戦車ミサイルの歴史です。例によって大したことはつぶやかないので過度な期待はしないでくださいね。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:00:03
西住みほ @Miho_Nishizumi

対戦車ミサイルというのは、要するに対戦車ロケットや擲弾に誘導機能をつけて、命中精度を上げてやろうという意図から開発されたといえます。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:03:15
西住みほ @Miho_Nishizumi

バズーカなどの無誘導対戦車兵器でも戦車の破壊は可能ですが、肉薄しないと命中を期待できません。ならばロケット弾をリモコンにしちゃえとなったわけです。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:05:44
西住みほ @Miho_Nishizumi

戦車の装甲を貫徹するためには少量の通常火薬による通常の爆発では効果が見込めません。また、対戦車ミサイルはその飛翔速度が徹甲弾に比べて遅いため、運動エネルギーによる装甲貫徹は望めません。そこで、ふつう対戦車ミサイルの弾頭には成形炸薬弾(HEAT)を用います。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:08:40
西住みほ @Miho_Nishizumi

このあたりは携帯型の対戦車兵器でも同様ですね。HEATはモンロー/ノイマン効果を利用した、『化学エネルギーを使用した運動エネルギー弾』と言い換えてもいいかもしれません。HEATについてはその原理を以前簡単にお話したので、今回は割愛します。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:11:35
西住みほ @Miho_Nishizumi

世界で最初に開発された対戦車ミサイルは、1941年にドイツで開発が始まり、1944年に実物試験が行われた「X-7 ロートケップヒェン」です。ロートケップヒェンとはドイツ語で赤ずきんちゃんのことです。「ドイツの科学は世界一ィィィ」とか言う少佐さんが喜びそうです。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:14:33
西住みほ @Miho_Nishizumi

ロートケップヒェンの射程は1.6Kmで、誘導方式は第1世代のジョイスティック式。ほかに誘導情報を有線ではなく赤外線で伝送する方式や現在第2世代と呼ばれる誘導方式の研究もされていました。終戦までに300発ほどが生産されたようですが、実戦での使用記録はありません。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:19:16
西住みほ @Miho_Nishizumi

世界で最初に実戦で使用された対戦車ミサイルはフランスのSS.10です。このミサイルは第1世代型の有線誘導指令方式対戦車ミサイルで、フランスの他にもアメリカとイスラエルが採用。米軍での名称は『MGM-21A』です。 #装甲と砲弾の歴史 http://t.co/HH37odSIDM

2013-04-18 19:22:30
拡大
西住みほ @Miho_Nishizumi

SS.10は1955年からフランス陸軍に配備され、1962年の生産終了まで約3万発が製造されました。射程は1.6Km、飛翔速度は毎秒80m。エアソフトガンのBB弾より遅いですね。弾頭は炸薬量5KgのHEAT。RHA換算で400mmの貫徹力を持っていました。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:26:11
西住みほ @Miho_Nishizumi

SS.10の実戦での使用は1956年の第二次中東戦争の時でした。このときはイスラエル軍がエジプト軍の戦車をSS.10を用いて攻撃しています。誘導操作は非常に難しかったそうで、射手は高い練度と集中力が必要でした。これは他の第1世代型対戦車ミサイルでも同様ですね。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:28:26
西住みほ @Miho_Nishizumi

対戦車ミサイルが大規模に用いられたのは第四次中東戦争の時。エジプト軍がイスラエル軍戦車部隊に対してAT-3サガー対戦車ミサイルを集中使用し、大損害を与えることに成功。これがきっかけで戦車不要論が叫ばれました。 #装甲と砲弾の歴史 http://t.co/WMPjorhgdC

2013-04-18 19:31:52
拡大
西住みほ @Miho_Nishizumi

AT-3サガー(ソ連名称は9M14 マリュートカ)ミサイルは有効射程3000m。飛翔速度は115~130m毎秒(タイプによる)。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:34:40
西住みほ @Miho_Nishizumi

炸薬量は2.6Kgまたは3.5Kg(タイプによる)で、誘導方式は手動指令照準線一致誘導方式。9M14-Pからは半自動照準線一致誘導方式に変更されました。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:37:45
choco @scar_m686

@Miho_Nishizumi 確かにシュトロハイムさん喜びそう http://t.co/44BGsfJPTI

2013-04-18 19:40:20
拡大
西住みほ @Miho_Nishizumi

手動指令照準線一致方式(Manual Command to Line Of Sight:MCLOS)は射手が目標とミサイルの両方を目視で常に捕捉し、ジョイスティックで誘導する方式です。写真はサガーの誘導装置です。 #装甲と砲弾の歴史 http://t.co/sP36tnF0FH

2013-04-18 19:41:13
拡大
西住みほ @Miho_Nishizumi

MCLOSは射手により手動誘導されるため、高速のミサイルには使用できず、命中精度は射手の練度によって左右されます。そこで開発されたのが半自動指令照準線一致方式(Semi-Automatic Command to Line Of Sight:SACLOS)です。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:44:30
西住みほ @Miho_Nishizumi

SACLOS方式は照準器で目標をとらえ続けることで、目標とミサイルの位置を照準器側が計算します。計算結果は有線または無線でミサイルに送り、目標への飛翔経路を修正します。無線式は電子妨害に対して不利である一方、有線式はワイヤーの長さで射程が制限されます。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:48:01
西住みほ @Miho_Nishizumi

要するにMCLOS方式は射手は射手が照準器を覗きながらミサイルが命中するまで手動で誘導。SACLOS方式は射手が照準器で目標を追尾すると、照準器側が自動的に目標への飛翔経路を計算して誘導してくれるわけです。射手の練度によって命中率が下がることは激減します。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:51:11
西住みほ @Miho_Nishizumi

対戦車ミサイルが登場すると、戦車の側の装甲もそれに対応すべく新しいものが採用されるようになります。たとえば中空装甲、あるいは複合装甲です。これらは単純な均一圧延装甲に比べてHEATに対する防御力が格段に上がっていました。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:53:42
西住みほ @Miho_Nishizumi

爆発反応装甲(Explosive Reactive Armour:ERA)を装備するのも対戦車ミサイル対策として有効です。以前にもお話しましたが、HEATが着弾したときに主装甲外側に貼り付けられたERAが爆発する事で、メタルジェットを阻害し無力化するものです。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:57:10
西住みほ @Miho_Nishizumi

戦車の防護力が上がると、それに対抗するために対戦車ミサイルの弾頭も進化します。たとえばタンデム弾頭のHEAT。これは主弾頭の前にサブ弾頭を置いて、サブ弾頭でERAの爆発を誘い、主弾頭で主装甲を貫徹することを狙ったものです。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 19:59:59
西住みほ @Miho_Nishizumi

また、戦車の弱点である上面装甲を狙うもの(トップアタック)も登場します。さらには従来のHEATではなく装弾筒付翼安定徹甲弾と同様運動エネルギーを用いた超高速の対戦車ミサイル(LOSAT)も試されるに至りました。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 20:03:05
西住みほ @Miho_Nishizumi

LOSATというミサイル、凄い高速で飛びます。秒速1500mで重量80Kg近いミサイルが飛んでくるのです。炸薬は積んでません。秒速1500mといえば、戦車砲のAPFSDSと変わらない速度です。その運動エネルギーは推して知るべしです。開発中止されちゃいましたが。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 20:06:15
西住みほ @Miho_Nishizumi

LOSATの技術はCKEM(Compact Kinetic Energy Missile)に継承されています。これも弾頭に炸薬を搭載せず、高速で飛翔し目標に直撃することでミサイルの運動エネルギーで目標を破壊するものです。なんと撃ち放しができるとのこと。 #装甲と砲弾の歴史

2013-04-18 20:09:16
西住みほ @Miho_Nishizumi

対戦車ミサイルはその誘導方式で世代が分けられます。まず第1世代。目標を照準器で照準し、ミサイル後部の噴射炎や発光マーカーで位置を確認しつつジョイスティックで手動誘導する方式です。自衛隊の64式MATもこの世代です。 #装甲と砲弾の歴史 http://t.co/NMDZtSd7rk

2013-04-18 20:12:45
拡大
残りを読む(24)

コメント

ワス @wsplus 2013年4月19日
湾岸戦争で1000両近い戦車を撃破したA-10のGAU-8 Avengerガトリング砲話も機会があれば是非
0
ちいさいおおかみ〜クリアカード編〜 @siu_long 2014年9月11日
そう云えば、ロケット弾とミサイルの区分が曖昧な様に、自走砲と駆逐戦車の区分も曖昧になっていると云う話です。でも誘導の有無で峻別出来るのね。
0
ちいさいおおかみ〜クリアカード編〜 @siu_long 2014年9月11日
駆逐戦車と自走砲の違いは自走砲の戦闘室が車台上部に露出しているか同様の高さを持っている事(屋根の有無に関して)で、駆逐戦車は完全に戦闘室が車高最大値と云う違いみたいなもの?
0