ミステリ好きの対話を立ち聞きする。

個人のメモ用です。 私はミステリ読み・好きと言えるほど、読んでないけれど、 「ミステリは嫌い?」と聞かれれば「いや、嫌いではないです」とは答えるくらいには好きなので、聞き耳を立てるw
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漆原正貴 @japanfield

昨日留学生の方とミステリについて話していたのですが、「日本のミステリはつまらない。なぜあんなに動機にこだわるんだ」「海外では『殺したいから殺した』これがいいんだよ! 何故殺したかなんて興味ないね」と主張されて、これも文化の違いかなーと思いました。

2013-04-16 09:22:08
漆原正貴 @japanfield

以前話した別の留学生の人は「日本は最後にツイストしないといけないみたいなルールがあるのか? 最後にひっくり返したら投げ出されちゃうし、そこまでして驚かさなくても……」と困惑してらしたので、やっぱり文化の違いか。

2013-04-16 09:25:08
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield ミステリという表現系だからこそ説得力をもって描ける動機や感情があると思います。特にトリックには「それを弄さないといけなかったという逼迫性」が一般的に求められるということを考えれば、ガチガチの本格やパズラーこそ強くそれを体現できる可能性がある予感があります。

2013-04-16 20:31:17
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield 留学生の方がイメージしているミステリ像がサスペンスやスリラーに近いという気もします。狭義のミステリでは意外性が、広義のミステリでは犯罪が描かれる過程がそれぞれ重視されることを考えると、日本では広義のミステリであっても意外性が求められるのは興味深い現象です。

2013-04-16 20:42:43
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield 英語は後置修飾のため文の前半にSVCOがあることが多く、内容が把握しやすい。日本語は前置修飾しかないため最後まで聞かないと内容が把握しづらく、そのため「話の内容を常に考えながら読み聞きする」必要があります。その言語性質の差もミステリ観に影響しているのでは。

2013-04-16 21:12:18
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs 先のツイートは極端な例だと思いますが、海外はクライムノベルがメインストリームとなっており、日本とは大分異なっていますね。戦前から日本のミステリの成立史を辿ってみると(特に「本格」概念の変遷に着目すると)独自の発展を遂げてきたのだと実感します。

2013-04-16 21:47:52
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs 英語の文法構造に着目するのは面白い考え方です。1つあるのは、日本語は非常に叙述トリックに適した言語である、ということでしょうね。欧米圏と比べると圧倒的なメリットだと思います。個人的にも「ミステリだからこそ描ける」感情や物語こそ、醍醐味だと感じます。

2013-04-16 21:50:24
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield 国内は乱歩・正史以後の「社会派による断絶」(厳密には鮎川・高木・都築らがかろうじて繋いでいますが)がやはり大きいですよね。これにより新本格が一種の飢餓感をもってシーンに迎えられ、その勢いが広義のミステリーやエンターテイメント全般にまで波及したと思ってます。

2013-04-17 00:13:45
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield 日本語は主語や述語の省略も一般的ですからね。そう考えると海外の叙述ミステリは「ニーリィ・折原タイプ」とでもいうべき「複数視点からの叙述の組み合わせによる人物の錯誤」が圧倒的に多い。これが多いのは国内もそうなのですが、その率はおそらく決定的に違うでしょう。

2013-04-17 00:19:34
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield 僕にとっての理想のミステリのひとつは島田荘司先生の「ロシア幽霊軍艦事件」です。まさしく、あの豪快なトリックとそれを行うだけの切実な動機があるからこその物語です。この感動をミステリ的な構造なしで同じように描くのは不可能と断言できます。

2013-04-17 00:24:51
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs 仰るとおり、本格は「変格」、続いて「社会派」への対抗として生まれたマイノリティのアイデンティティで、それが島田荘司、及び新本格以降、マジョリティになっていったという点にこそ、国内ミステリの展開の面白さがあります。

2013-04-17 00:55:50
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs 個人的には、ニーリィは海外の中ではかなり独創的な叙述を使う作家だとは思っています(単純な人物錯誤に当てはまらないものが多い)が、多くの海外ミステリの「叙述」が、ある程度の枠内に収まっている(ように見える)のも事実です。無論、無知ゆえかもしれませんが……。

2013-04-17 00:59:00
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs 自分も『ロシア』はミステリの構造を利用することで大きな物語を描こうとした、島田荘司らしい良作だと思います。それ以外にも、ミステリでしか伝えられない強い切実さがあるような物語を、読みたいと常々思っております。年に一作読めれば嬉しい、くらいですが。

2013-04-17 01:02:50
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield これは個人的な印象にすぎませんが、新本格よりも氷河期を支えた鮎川・高木の方が「本格であること(≒伝統的、保守的)に自覚的」である気がします。新本格以後で叙述ミステリに脇目も振らない保守派といえば有栖川・法月・二階堂に、最近では石持くらいで意外と少数派です。

2013-04-17 01:09:51
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield ニーリィや折原と類似した叙述の作家はいないですよね。話は変わるようですが、叙述トリック「のみに依存」している作品は最近は好みではなく、マジックと同様に「騙されたその先」に驚きしか残らないというのは少し寂しいです。そこで読者を狭めてしまっている感があります。

2013-04-17 01:15:49
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs それは、本格がマジョリティになってしまったからでしょうね。それこそ存続をかけた危機感のようなものが新本格以降では薄く……。鮎川、高木は叙述も上手く使っているのですが、新本格以降とはやや趣が異なります。昨今の叙述偏重は個人的にあまり好ましくはないです。

2013-04-17 01:16:43
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs 叙述トリックについては「なぜその仕掛けが必要だったのか」が不明瞭な(穿った見方をすれば「騙すための」叙述)が多すぎて食傷気味です。叙述が楽に使える手段なのはわかりますが、どうにも寂しい気がしています。

2013-04-17 01:19:57
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield ミステリでしか描けない人物像という点で、歌野晶午の比較的初期のある作品と乾くるみの話題作がこの方法論の中では頭ひとつ出ています。前者ではある人物の苦悩が、後者ではある人物の二面性が鮮やかに描かれており、これにはトリックによる驚きが大きく後押ししています。

2013-04-17 01:23:53
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs あの年は(今から思えば)良かったですね。個人的な好みはさておき、二作とも優れたミステリ(ミステリの方法論を活かしきったミステリ)だと思います。他に道尾の初期作品や、ややテクニカルですが七河迦南は、突出しているなぁと思います。

2013-04-17 01:34:26
やかた @yakata22

@japanfield これは面白いですねw! 日本と海外の文化の違いなのか、その方個人の性格によるものなのかは兎も角。 ミステリでホワイダニットってあまり聞かないなあ。理屈じゃ説明しきれない歯切れの悪さの様なものがあるんでしょうか。「虚無への供物」も何とも文学的な動機でしたね。

2013-04-17 10:49:41
漆原正貴 @japanfield

『虚構推理』は、科学コミュニケーションの文脈で読むと最高に面白いので、正直ミステリ読みでなくても勧めたいです。

2013-04-18 08:57:00
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield @yakata22 海外の古典には優れたホワイダニットの要素を含む作品あるんですけどね。ぱっと思いつくだけでチェスタトン「折れた剣」始めブラウン神父もの全編、クリスティ「ABC」「オリエント急行」、クイーン「チャイナ橙」「スペイン岬」。

2013-04-18 17:50:23
ヤマギシルイ/小説を愛するマジシャン® @rouis_ymgs

@japanfield 刀城言耶シリーズ、文庫化された長編を今年になってからまとめて読んだのですが「首無」は歴史に残り得る大傑作ですよね!「たったひとつの事実に気づくと全ての謎が氷解する」趣向や畳み掛けるドンデン返しもさることながら、首無様がシリーズ最恐レベルというのも魅力的。

2013-04-18 17:56:28
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs @yakata22 あのあたりの古典的名作は確かに素晴らしいですね。ソウヤーなんかも好きです。ただ、うまく説明できないのですが、やはり国内のホワイダニットとは少し趣が違うな……と。連城三紀彦が描くようなホワイは、日本ならではという気がます。

2013-04-18 17:57:35
漆原正貴 @japanfield

@rouis_ymgs 刀城言耶シリーズはどれを読んでも素晴らしいです! 個人的にも『首無』は圧倒的だと思いますが、やや地味ながら不可能状況一本を固くロジックで攻めていく『水魑』も好みです(来月文庫化されますのでぜひ!) あのクラスのものに出会えると、嬉しくなりますね^^

2013-04-18 17:59:04