茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【TED talkを、即興でやる人が最高】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート９１４回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、珍しいことですが、今朝起きる前に見ていた夢に関連して。

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てそ（１）TED Long Beachのメインステージでしゃべったのは去年の２月２９日だった。blogには記録されているが（http://t.co/iGgnWSbaIO）ビデオはリリースされていない。今のところ幻のトークとなっている。まあ、いいや。

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てそ（２）TEDx Tokyoでのトーク（http://t.co/07knTLQGY8）もそうだったけれども、私は英語のトークの準備は一切しない。その場で思いつきでしゃべる。ところが、TED Long Beachでのトークは、原稿をver.8まで書いて３０回くらいリハーサルした。

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てそ（３）それだけ、TED Long Beachでのトークのレベルが高くプレッシャーを感じていたということなのだが（来年からTEDはVancouverに移る）、無意識のうちに、抵抗というか違和感があったのだろう。今朝またTEDでしゃべることになるというストーリーのへんな夢を見た。

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てそ（４）もう出番が近づいている時に、突然、あっ、おれ、原稿を書いていないし、リハーサルもしてねえ！　とパニックになる。そして、次の瞬間、しょうがねえじゃねえか、じゃあ、この場で思いつきでしゃべろう、と思ってステージに立つ。それで、しゃべり始めるところで目が覚めた。

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てそ（５）TEDはキュレーションもプレゼンテーションもすばらしく、その中でしゃべるとなると普通は原稿も書くしリハーサルもする。一方で、ぼくは、根本において即興性とか自然さを信じているところがあって、そのあたりで、TEDの文化と自分の中の自然な傾向の間に齟齬を感じているのだろう。

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てそ（６）Sir Ken RobinsonのTED talk（http://t.co/zQMCZZvX8m）はもっとも人気のあるものの一つだが、出だしのところで、「いやあ、会議すばらしいね。ぼくは帰っちゃうけど」みたいなことを言って聴衆を笑わせる。そのあと、教育について語り出す。

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てそ（７）Ken Robinsonの語り口は、自然で、まずリハーサルしたものではない。だからこそ、聴衆も虚を突かれて笑い出す。落語でも、大家になると、最初はのろのろぐだぐだ淀みながら始めて、やがて本筋に入ると白熱してぐっと惹きつける。始まりから立て板に水は、むしろ不自然だ。

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てそ（８）TEDのideas worth spreadingという思想はすばらしく、日本の無内容な挨拶文化は打撃を受けてざまーみろなのだが、scriptを書いて完璧に話す、みたいなプレゼンテーション文化が表面的に取り入れられると、自然さが失われて、妙なことになるような気がする。

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てそ（９）ろくな内容もないのに、立て板で水でばあばあしゃべってプレゼンテーションでござい、と言っている人は寒い。TEDの価値は、そのプレゼンテーションの洗練ではなく、内容の厳選にある。そして、最後は人間に還る。TED talkを、即興でやる人が最高ということなのだと思う。

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以上、連続ツイート９１４回「TED talkを、即興でやる人が最高」でした。