「旧軍の37mm戦車砲は一号戦車の砲塔後面防弾鋼板を貫徹出来ないのか?」への私なりの回答
- Nyarlathotep_44
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朝方流れてた日本軍が1号戦車に37ミリ砲試射したけど貫通しなかった、という写真、たぶん11年式歩兵砲か94式戦車砲ではないかなぁ。94式速射砲はさすがによほどの遠距離とか角度が悪いんでもなければ抜くと思う。
2013-04-23 13:09:35@flowerclass 横から失礼しますが、その写真とやらについて詳しく教えてくださると助かります。
2013-04-23 13:15:51@Nyarlathotep_44 @flowerclass こちらだと思いますよ。 http://t.co/GOacC1cY73
2013-04-23 13:21:17@Nyarlathotep_44 @flowerclass いえいえ。95式軽戦車の対装甲貫徹力、私も気になってましたし。
2013-04-23 13:24:06ちょっと調べてみた。この写真は内部向けの冊子「機甲」にて「○○製第一号戦車(水陸両用)砲塔に対し○○式軽戦車搭載火器を以てする各種弾薬の効力を検すると共に観測状態を審査す」との題で掲載されたうちの一つとのこと。 https://t.co/wjco2csu7g
2013-04-23 13:45:20この一号戦車A型は日華事変で鹵獲されたうちの一つやーね。靖国に飾られたのは昭和14年ごろであってるっけ?
2013-04-23 13:48:25まあ、それ以降が問題なのだけれど、掲載元のサイトでは肝心なところばかりが書かれていなくて、いつに試験されたものかを特定するのは難しい。分かるのは「37mm砲徹甲弾での300mから400mでの試験結果とこの写真」だけだ。
2013-04-23 13:51:36試験結果は写真に乗っている通り「徹甲弾(37粍)超飛痕射線の、砲塔後面に対する貫通可能なる面積は、幅約30糎にして他の面に着弾せば凡て超飛す、避弾経始の重要性を認めらる。」だ。
2013-04-23 13:53:15他にも車載重機(詳細不明)での2~300mからの射撃試験で「表面塗料を脱するのみにて侵徹威力を認めず」までしか書かれていない。肝心の試験日時はおろか、掲載号、発行時期すら分からない。なので、此処から先は予測で回答する。
2013-04-23 13:54:22まずは表題にある「○○式軽戦車」の特定について。第二次上海事変があった昭和12年頃の鹵獲だとして、昭和11年までには九五式軽戦車は制式化されてるので、まあ九五式軽戦車と考えるほうが無難だろう。ただ、そもそも試験日時が分からないのでルノー軽戦車の可能性も万が一、である。
2013-04-23 14:04:52次に砲の特定について。試験に供された「○○式軽戦車」が軽戦車であった場合、砲は九四式三十七耗戦車砲で間違いないだろう。まあ、第一次上海事変にて使用された八九式軽戦車極初期型砲塔5輌が改造37mm狙撃砲を搭載しているが……まあまず時期的にこれでの試験はあり得ない。
2013-04-23 14:09:53それでは考察の前提から始めよう。一号戦車A型砲塔は全周13mmの装甲板にて形成されており、全てが60度以上の傾斜、または曲面で整えられている。サイズは……いくつぐらいなんだろうな、とりあえずそう大きくないのは確かだ。多分1.5m×1.5×0.5程はないはず。
2013-04-23 14:18:33この頃にある37mm戦車砲と言えば、改造狙撃砲の元となった十一年式平射歩兵砲と、九四式三十七耗戦車砲の二つだ。37mm砲だけなら他にもいくらかあるが、今回はそれらは考えなくてもいいだろう。
2013-04-23 14:22:55十一年式平射歩兵砲は、昭和七年の効力射試験において八九式軽戦車の車台正面装甲板(装甲厚17mm・ニッケルクローム鋼・ブリネル硬度340)を400m撃角直にて「半貫通」しており、あまり貫徹力は高くない。傾斜がつくと容易に非貫通となった程度である。
2013-04-23 14:35:05一方の九四式戦車砲も、そう貫徹力は高い方ではない。砲弾は九四式三十七耗速射砲と同一のものを使用するが、戦車用に薬莢を短くしてあるため、初速が700m/sある速射砲用九四式徹甲弾と違い、574.4m/sと戦車砲用九四式徹甲弾はかなり遅くなっている。
2013-04-23 14:53:47九四式三十七耗速射砲は400mにて25mmの装甲板の貫徹を期待できたが、初速が落ちている九四式三十七耗戦車砲では同等の貫徹数値を期待できない。恐らくは同距離にて20mmほど貫徹出来れば上出来であろう。
2013-04-23 14:57:05ただ、ノモンハン事件に於いてソ連BT戦車に対し5~700mからの射程にて同戦車の撃破が可能であり、最長で1500mでの撃破が行えたと戦車第四連隊の報告が存在しているようだ。
2013-04-23 15:01:25これらの結果をふまえて、結論に入る。単純に見れば、一号戦車後面への射撃試験に対し、37mm砲(形式不明)は400mからの射撃にて弾かれているという認識でいいだろう。ただ、一号戦車砲塔後面は60度傾斜に更に曲面処理にて形成されており、避弾経始の高さは考慮しないといけない。
2013-04-23 15:06:48これらを考慮した場合、十一年式平射歩兵砲徹甲弾跳飛の可能性は非常に高く、たとえ射距離が300mであった場合でも貫徹させることは難しい。一号戦車の防弾鋼板も所謂浸炭鋼板に相似するものを使用していると思われるので、尚更である。
2013-04-23 15:14:57次に、問題の九四式三十七耗戦車砲の場合だが、ノモンハン事件にてソ連戦車隊と交戦した報告を見る限りでは、貫徹できない可能性は比較的低い。考えるとするならば、一号戦車砲塔の対象物の小ささからくる「当たりどころが悪かった」という辺りだろうか。
2013-04-23 15:22:10何しろ試験結果の詳細が分からないため、厳密な判断のしようがない。射距離、結果以外の情報の全てが分からないため、厳密な審議が出来ないのが問題だが、仮に戦車第四連隊の報告を受け入れなかったとしても、実際にノモンハンでは500mほどの距離にてBT戦車と対峙し、撃破まで持ち込んでいる。
2013-04-23 15:25:23その点を踏まえると、一号戦車の13mm厚の装甲板が抜けない、というのはありえないだろう。跳飛した事を認めるとするならば、60度の傾斜に曲面がかかった目標の避弾経始の高さがずば抜けていた、という点が一番の有力な跳飛理由と結論付けるのが妥当である。
2013-04-23 15:29:53