森下式磐田の現状検分(前編)
基本的に自分は内容厨なんですけど、それなりに長くチームスポーツなりチームなりを観たり、スポーツとは無関係ですが内容の問われるギョームなどをしていますので、内容にフィロソフィーを投入しても結果が残らなければハイそれまでよという現実は心で血の涙を流しつつもすんなり受け入れる派です
2013-04-22 23:44:39その一方、人間が未来を見通せぬ生き物である以上、今ここにないもの/自分が具体的に手にしていないものに無根拠に期待したり、必然性に乏しい、根拠が説得的に記述できないガラガラポンをするというのは、何かをやり遂げようとする人間、チームが一番やってはいけないことだと信じています
2013-04-22 23:50:22どんな場合でも、どんな現場でも、まずやるべきことは今、実際になにができていて、なにができていないのか。その状況で、なにができるのか。それを確認すること、定義すること。
2013-04-22 23:52:52神頼みや今ここにないものに期待するのは、そのうえでのことです。必要ならば神頼みをしにいきます。社長にスケジュールをいただきにいったりね。
2013-04-22 23:52:59自分が、この監督とこのチームちょっと違うな、面白いとはっきりと考えるようになったのは、昨季のナビ予選セレッソ戦での松浦のゴールを見、そのゴールをめぐる大記と松浦の「ようやく練習通りの形ができた」的なコメントをみてのことでした。
2013-04-22 23:57:09そのゴールは、バックラインから速いグラウンダーを二列目(外)→内、縦、とほぼ足下とワンタッチで動かし、数本のパスを経てセレッソCBの間に入り込んだ松浦の足下に付け、ゲットしたもの。スピードのある、美しい構成でした。
2013-04-23 00:00:14あまりにもうまく行き過ぎな感のあるゴールだったので、大記と松浦が「練習通り」というのは、単に球足の速いラストパスを出した大記と、それを足下でぴたりと受け、CBが対応できないわずかなアクションでゴールを決めた松浦の「足下プレー」「プレーの精度と速度」が練習通りなのだろうと思いました
2013-04-23 00:03:00しかし、その前後のプレー文脈、試合の様相を見ているとどうもそうではない。バックラインからこの松浦のゴールに関与した選手たちのポジショニング、受け方含めてのプロセスが、どうも練習通り、ということらしい。
2013-04-23 00:05:35その後、チームはこのような形のゴール、作り……バックラインからの速いグラウンダーを二列目もしくは高い位置に直接つけ、相手のアプローチより速くボールを動かして少ない手数でゴール前まで動かし、シュートポイントを得る……を様々な試合で再現していました。
2013-04-23 00:08:54これは面白い…復元性の高さも含めて、面白いと思いました。このチームは明らかに、シュートポイント(シュートコース)をいかに得るかという点から効果的な逆算を行って攻め筋を作り上げようとしている。
2013-04-23 00:13:22ひとつは、レシーバーに自由を与えるため。オフザボールの動きで一瞬相手をはがして受けに出て得た僅かなフリーの時間を有効に使わせるため。なぜ自由が必要か。相手守備者に対する個の主導権を得るため。なぜ主導権を得る必要があるか。自分が前を向くか、近くにいる味方に前を向かせ自由を与えるため
2013-04-23 00:23:21森下磐田が、いわゆるボールプレイヤーをこの位置のこの役目に置くことにこだわっているのはこのためです。そしてここで、彼らが相手ボランチのプレーエリアにいるということが重要になってきます。
2013-04-23 00:26:17ボランチのプレーエリアで、複数の相手、しかもドリブルもパスもいける選手たちに複数前を向かれるということが何を意味するか。思い切ってアタックして潰すか、ラインを動かして対応の選択肢を得てアプローチする、などの必要が生じるということです。
2013-04-23 00:28:45森下磐田の二列目の選手たちにこのような状況で前を向かれた場合(有効なプレッシングができていない場合)、多くのチームはラインを下げ調整する動きを始めます。彼らの大外には駒野も上がってくるので、選択肢を得るために必要なことです。ですがこの対応を引き出すこと自体が磐田の狙い。
2013-04-23 00:31:34相手DFは、額面通りの被カウンター時ほど視野を制限される背走ではないものの、それに近似した半身の擬似的な背走状態におかれ、視野が制限されていきます。つまり、擬似的な被カウンター状態に追い込まれます。
2013-04-23 00:36:02サッカーにおいて最も得点しやすい状況はいうまでも無くカウンターです。その理由は複数あると思いますが、守備側が背走状態となり視野の確保や連携に困難を生じるため、攻撃側が主導権を握って崩しきるに容易である、というのは大きな理由でしょう。
2013-04-23 00:39:04森下磐田は、ボランチのエリアに一気に有効なボールを付けボールプレイヤーに技巧を発揮する自由を迅速に与えることで、カウンターに近似した状況を主導的に生み出すことを意図しています。
2013-04-23 00:42:25それが、なぜ「ゲームメイカー」「司令塔」であるはずのボランチ(DMF)ではなく、CBからのボールである必要があるのか。それは、なるべく自陣側に入った位置からのボール供給の方が、相手のDFラインをできるだけこちらにとって望ましい高さに引き出せ、その上で急襲をしかけられるからです。
2013-04-23 00:48:19そのような、バックラインと前線と二列目とアウトサイドが一体となった擬似的なカウンターを仕掛け、相手DFを動かし、視野を制限した上で、実際の相手DFの破綻状況に応じたシュートポイントを確保していくのです。ゴールに近い位置への浸透が難しくても、クロスに持ち込むことができます。
2013-04-23 00:51:10これが森下磐田の攻撃面での骨格で、就任時から現在までおそらくトレーニングされ、メンテナンスされ続けている最重要事案のひとつと思われます。
2013-04-23 00:54:38