社畜兵といムズ

降り注ぐバグ。 舞い降りる仕様変更。 欲望と秘密と暴力のビルド、プロジェクトが燃える。 圧倒的、ひたすら圧倒的遅延が蹂躪しつくす。 ささやかな望み、芽生えた愛、絆、健気な野心、 続きを読む
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†とい†@良いお年を @tswi

ホールディングスを真っ二つに分けた、親会社と子会社の二つの星系が、砲火を交えて100時間。両陣営の疲弊は極みに達し、それでも終戦の曙光が見え始めない大戦の末期。辺境の小部署、弊チームの漆黒の闇の中で物語は始まった。『社畜兵といムズ』、お楽しみに。

2013-04-23 19:53:10
†とい†@良いお年を @tswi

顧客要望の手を逃れたといを待っていたのはまた、地獄だった。仕変の跡に棲みついたバグと品質要求。百年戦争が生み出した、ソドムの街。悪徳と野心、退廃と混沌とをスパゲッティコードにかけてぶちまけたここは、SI案件のゴモラ。 次回、『うわ』。来週も、わたしと地獄に付き合ってもらう。

2013-04-23 19:57:12
†とい†@良いお年を @tswi

食う者と食われる者、そのおこぼれを狙う者。根性を持たぬ者は生きて行かれぬ体力の業界。あらゆる悪徳が跋扈する、ここはIT業界が産み落としたソドムの市。といの体に染みついた徹夜の臭いに引かれて危険な奴らが集まってくる。 次回、『出ない』。といが飲む、深夜のコーヒーは苦い。

2013-04-23 20:03:12
†とい†@良いお年を @tswi

かつて、あの美しき理想に送られた戦士達。業界を守る誇りを、厚い提案書に包んだアーマード・トルーパーの、ここは、墓場。無数の追加要望達のギラつく欲望にさらされるSI業界の剣闘士。魂無きSE達が、ただ己の生存を賭けて激突する。 次回、『要件定義』。といに熱い政治力学が突き刺さる。

2013-04-23 20:06:10
†とい†@良いお年を @tswi

最も危険な罠、それは議事録。巧まずして仕掛けられた打ち合わせの闇に眠る殺し屋。それは、突然に目を覚まし、偽りの合意を打ち破る。議事録は巨大な罠の文。そこかしこで信管をくわえた不発弾が目を覚ます。 次回、『無理』。迂闊な一言も巨大な不発弾。自爆、誘爆、御用心。

2013-04-23 20:09:13
†とい†@良いお年を @tswi

SEの運命を司るのは役員か、客先か。それは、労働の回廊を巡る永遠の謎掛け。だが、といの運命を変えたのは『現行システム』と呼ばれたあの物体。別ベンダーの闇の中で走り抜けた戦慄が今、といのチームに甦る。 次回、『動作解析』。ドキュメントのないERの中から、現行機能が微笑む。

2013-04-23 20:12:56
†とい†@良いお年を @tswi

プロジェクトという穢れの海に見え隠れする、現行機能という氷塊。どうやら水面下の謎の根は深く、重い。SEの運命は客が遊ぶ双六だとしても、上がりまでは一天地六の賽の目次第。鬼と出るか蛇と出るか。謎に挑む敵中横断。 次回、『就寝』。とい、敢えて火中の栗を拾うか。

2013-04-23 20:15:03
†とい†@良いお年を @tswi

役員は、客先経営層に心を売って明日を得た。部長は、3人の顧客のRFPに乗って地獄に落ちた。といは、当プロジェクトに己の運命を占う。ここ、SI業界で明日を買うのに必要なのは、根性と少々の危険。 次回、『取引』。社畜の商売には死の匂い。

2013-04-23 20:17:56
†とい†@良いお年を @tswi

昨日の夜、全てを無くして怒号の雨に濡れていた。今日の昼、命を的に人月工数を追っていた。明日の朝、ちゃちな信義と、ちっぽけな良心が瓦礫のチームに金を撒く。ここは、SI業界が作ったパンドラの箱。質を問わなきゃ何でもある。 次回、『緊急』。納品日?そんな先のことは分からない。

2013-04-23 20:20:30
†とい†@良いお年を @tswi

客の要望にまみれた未読メール。地獄の部署と人の言う。といのチームに、炎上案件の亡霊が蘇える。未決仕様の高原、正解不明の宇宙に、無理とうたわれたSE機甲特殊部隊。情け無用、命無用の社畜兵。この命、人月X万円なり。 次回、『きっと死ぬのだ』。とい、危険に向かうが本能か。

2013-04-23 20:24:31
†とい†@良いお年を @tswi

社畜兵が走る、跳ぶ、吠える。ドキュメントが唸り、チケットが弾ける。鉄の腕が、秘密の挙動をこじ開ける。朝日の向こうに待ち受ける、ゆらめく影は何だ。今解き明かされる、客先責任者の謀略。今その正体を見せる、既存システムの謎。 次回、『逆襲』。とい、牙城を撃て。

2013-04-23 20:26:42
†とい†@良いお年を @tswi

百年戦争とPM、PL、PG、QC、CS。もつれた糸を縫って、担当者の手になる運命のメールが飛び交う。会社間に織り成される、経営層の企んだ紋様は何。巨大な未保守資料に描かれる壮大なる嘘。その時、といは叫んだ。動かねーよ!と。 次回、『絆』。いよいよ、キャスティング完了。

2013-04-23 20:31:29
†とい†@良いお年を @tswi

降り注ぐ追加仕様。目覚める社畜兵。欲望と秘密と暴力の案件が燃える。圧倒的、ひたすら圧倒的政治パワーが蹂躙し尽くす。老いも若きも、男も女も、昨日も明日も飲み込んで走る、炎、炎。音を立てて、これまでの合意事項が沈む。 次回、『脱落』。SEは、炎を浴びて蘇える。

2013-04-23 20:34:21
†とい†@良いお年を @tswi

何もかもが、政治調整に沈んだ。微笑みかけた要件定義も、芽生えかけた合意も、仕様も。そして、あらゆる悪徳も同じだ。全てが振り出しに戻った。社畜兵は、死んだ魂を疲れた身体に包んで、泥濘と硝煙の地に向かった。 次回、『あっという間にできますよね?』。社畜兵は、最終決定権が無い。

2013-04-23 20:36:20
†とい†@良いお年を @tswi

遥かな勤務の闇を走り、破壊の案件に曲折し、動乱の泥濘に揉まれても、なお、きらりと光る一筋の糸など無い。この糸は罠のために。嵌り嵌められ、相寄る運命。だが、この調整は何のために。炎熱のプロジェクトに第2期案件が開く。 次回、『疑惑』。まだ、要件は姿を見せない。

2013-04-23 20:39:30
†とい†@良いお年を @tswi

回るスクラム、起きる問題。こわばった指が送信ボタンを押す。SMTPがメールサーバで空しい音を立てたとき、皮肉にも生の充足が魂を震わせ、肉体に溢れる。責任のなすり合い。この危険な遊戯が、これこそがこの業界に似合うのか。 次回、『暴動』。追加要望が出れば、リスクが上がる。

2013-04-23 20:42:16
†とい†@良いお年を @tswi

オンスケを夢見たのが幻想なのか。勤務の果てに理想を見るのが幻想に過ぎないことは、社畜の誰もが知っている。だが、あのテストカバレッジの光が、試験項目消化が幻だとしたら。そんなはずはない。ならば、このWBSの全ては幻想に過ぎぬ。 次回、『再試験』。劇的なるものが、牙を剥く。

2013-04-23 20:45:22
†とい†@良いお年を @tswi

変わる、変わる、変わる。この案件の仕様を回す客先キーマンが、思いつきでまた動き始めた。全体整合性が軋み、バグは蠢く。仕様が変わればば、作るものも変わる。昨日も、今日も、明日も政治に閉ざされて見えない。だからこそ、切れぬ合意を求めて。 次回、『急変』。変わらぬ仕様などあるのか。

2013-04-23 20:48:39
†とい†@良いお年を @tswi

再検討のためのプロジェクト停止。破壊のための建設。連綿と続くこの愚かな行為。経営者は悩み、担当者は傷つき、責任者は自らに絶望する。だが、失敗案件は絶えることなく続き、また社畜兵が呟く。「たまには、火薬の臭いを嗅ぐのも悪くない」 次回、『思惑』。誰も、ピリオドを打たない。

2013-04-23 20:51:13
†とい†@良いお年を @tswi

契約、合意、責任。官僚的な、あまりに官僚的な、そんな響きはそぐわない。火薬の臭いに導かれ、SI地獄の炎に照らされて、ホールディングスの星屑の一つで出会った、誰も触りたくない地雷案件。これは単なる偶然か。 次回、『もうやだ』。衝撃の、あの日からをトレスする。

2013-04-23 20:54:12
†とい†@良いお年を @tswi

人は、案件に何を求める。ある者は、ただその日の糧のため、タスクを消化する。ある者は、理想のために現場を血潮に染める。雨は汚れた大地を泥濘へ。流れは川となって常に現場指揮官を潰す。 次回、『今更そこかよ』。SEは流れに逆らい、そして力尽きて流される。

2013-04-23 20:57:31
†とい†@良いお年を @tswi

大いなる偶然が全ての始まり。芽生えた齟齬は行動を、行動は再検討を生み、再検討は手戻りを求める。システムはやがて、保守不可能に行きつく。コードは全てに呵責なく干渉し、再現不可能バグの嵐を育む。そして、放たれたいかずちはといを打つ? 次回、『それ無駄』。必然足り得ないバグはない。

2013-04-23 21:00:08
†とい†@良いお年を @tswi

炎熱のデスマーチが狂気をはらむ。それぞれの望み、それぞれの運命。せめぎ合う欲望。中間報告の弾幕をくぐり抜けたとき、突然現れた一刻のミーティング。沈み行く残工数に、社畜兵の影が重なる。そして、思いは切なくすれ違う。 次回、『殺伐』。夜の闇が茶番を隠す。

2013-04-23 21:02:50
†とい†@良いお年を @tswi

嵐が吹かねば案件が受注できぬとするなら、大地を走る無謀なる社畜兵となろう。戦いの果てにしか検収は来ないものなら、己の血のたぎりに身を任せよう。それぞれのタスクを担い、社畜たちが昂然と顔を上げる。 次回、『俺やだよ』。放たれた業務命令は、SEを射るか。

2013-04-23 21:05:16