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もりかの自主トレ。「子猫を拾ったはなし(仮)」。

竹の子書房BL課所属 もりかの自主トレです。ライトなBLです。猫好きな方にもお勧め。
書籍 文学 電子書籍 竹の子書房 創作 小説 BL
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もりか @_molica_
@ts_p  自主トレでライトなBL書きましたので、投稿いたします
もりか @_molica_
@ts_p ある日、コンビニへの買出しの途中で子猫を拾った。寮住まいの自分としては、もちろん連れて帰れないことは分かっていたのだが、何度「駄目だよ」とお尻を押しても、消えそうな声で鳴いて追いすがるので、とうとう抱き上げてしまったのだ。
もりか @_molica_
@ts_p よく見るとまぶたは目やにでふさがりそう。見た目よりずっと体は軽く、アバラがゴリゴリと指に触れた。きっと「これを逃したら二度目はない」と必死で出てきたのだろう。病院に連れて行くと「ミルクがいるけど缶入りしかないからなあ」と困った顔をされた。
もりか @_molica_
@ts_p つまり缶入りを買っても無駄になる可能性が高いということだ。手元の財布から診察代と薬代、ミルク代を払うと、頼まれた弁当その他は諦めるしかない。箱詰めされた子猫を抱えて、炎天下を寮まで戻る。何と言い訳しようと考えながら。
もりか @_molica_
@ts_p ただいまと声をかけながら自室に戻ると、啓介がいぶかしげに俺を見た。「なんだ、その箱」「えーと…」買出しに行くと言って部屋を出たのは、もう二時間も前のことだ。目的の買い物は見当たらず、にゃあにゃあ声のする不審な箱を持った俺。
もりか @_molica_
@ts_p 突っ込みどころ満載だが、啓介は怒るでもなく俺から箱を受け取った。「…猫か」「ごめん…」謝ることしかできない。寮は二人部屋だしそもそもペット不可だ。啓介は猫アレルギーかもしれないし。でも「どうするんだ?」いつもどおりの声で訊ねられて、なんだか拍子抜けする。
もりか @_molica_
@ts_p 「もうちょっと可愛くなったら、里親探そうかなって」段々声が小さくなる。栄養不良で瀕死の重体だとは言えなかった。啓介は子猫を箱から出すとひざの上に乗せた。「ずいぶん軽いな」「栄養失調らしくて…」おとなしく抱かれたままになっている子猫の頭をそっと掻く。
もりか @_molica_
@ts_p 「世話の仕方、きいてきたのか?」俺の持っている動物病院の薬袋を見ながら、啓介はそう言った。「うん。ミルクはなるべく濃くして、練乳みたいに指で練ってスポイトで飲ませるんだって」その他、食べるなら何でもあげてみること、薬をちゃんと飲ませることなど、きいてきたことを伝えた。
もりか @_molica_
@ts_p 「新聞もらってくる」ひざの上の毛玉を俺に渡しながら啓介が言う。「トイレ作ってやらないと」ここで世話するんだろ、と問われて不覚にも泣きそうになった。自分の勝手で厄介ごとを持ち込んだのに、啓介は当たり前みたいに受け入れてくれる。
もりか @_molica_
@ts_p うん、と返事をして、啓介に気づかれないよう瞬きで涙を振り払う。子猫はもう鳴きもせずに、鼻を鳴らしながら眠っていた。「がんばれ。元気になれ」ぼさぼさの毛皮にほお擦りをする。熱があるので手の中の体温は驚くほど高い。見つけなければ、きっと死んでしまっていた。
もりか @_molica_
@ts_p「よかったなぁ、おまえ」ベッドの上に丸めたタオルケットに寝かしつけながら、俺は心底そう言った。でも今こう言えるのは啓介のおかげだ。啓介が受け入れてくれなかったら今頃俺はどうしていただろう。「ちゃんとお礼言っておかないと」きっと何が?って顔をされると思うけど。
もりか @_molica_
@ts_p 舎監室から新聞を持ってきた啓介は自分の洗面器を取り出すと、新聞を細く裂いてその中に入れ始めた。「これがトイレなのか?」猫のトイレといえば砂だと思っていた。あとで買いに行かなければと思っていたのだ。「汚れたらすぐ取り替えられるから、このほうがいいんだ」
もりか @_molica_
@ts_p 「でも啓介の洗面器…」「別になくても困らないし」啓介はあっさりとそう言った。「でもトイレがなかったら猫は困るだろ?」「うん。あの…ありがとうな」「何が?」思ったとおりの反応がらしくて声をたてて笑うと、子猫が起きだして啓介の手にすりすりをした。「啓介が好きみたいだ」
もりか @_molica_
@ts_p 口に出してからはっとした。啓介も驚いたような顔で、一瞬目を見開く。「え、と、この子が」あせって言いつのり、その不自然さにさらにあわてる。自分だけがどきどきして馬鹿みたいだ。「名前、つけないとな。可愛くなるまでここにいるのに、いつまでも『猫』じゃかわいそうだ」
もりか @_molica_
@ts_p そう言った啓介はもう普段どおりだった。笑い飛ばしてくれたら俺だってそうするのに、なんだか気持ちが落ちつかない。「仮の名前だから、チビでいいか…」その声にうん、と返事をする。子猫…チビは啓介になでられながら、また眠ってしまった。本当に啓介が好きなんだろう。
もりか @_molica_
@ts_p 「おれは好きだよ」チビを見つめたままの啓介の声が耳に届く。「飼えないって分かってても、死にそうな子猫をほっとけないで連れてきてしまうおまえが」へ?と間抜けな声が出た。考えていたことと啓介の言葉がうまく結びつかず、頭の中がぐるぐるしはじめる。
もりか @_molica_
@ts_p 「困ってても困ってるって言えないで、自分で何とかしようとしてるお前見てると、おれを頼れよっていつも思う」啓介は少し苦しそうに続けた。「おれの知らないとこで何かしでかしてるんじゃないかって思うと、たまらない…」今度は俺が目を丸くする番だった。
もりか @_molica_
@ts_p いつも飄々としてそつなくいろんなことをこなす啓介にあこがれ、同室とはいえちょっと近づきがたく感じていた。啓介のように器用でない自分をひそかに恥じてもいた。俺なんかと同室になって、啓介は迷惑だと思っている、と…悲しかった。
もりか @_molica_
@ts_p 「今日も出かけたきり帰らないし、事故にでもあってるんじゃないかと思って、すげえ心配した」「ごめん…」ちょっとそこまでのつもりで携帯も持たずに出かけたのはいつものことだった。まさか啓介がそんな風に自分を思ってくれているなどとは、知らなかったから。
もりか @_molica_
@ts_p 啓介の視線と自分のそれが絡んだ。怒ったような表情。でも俺の頭に置かれた啓介の手は、チビをなでるときのように優しく髪の上をすべる。懐かしい心地よさに、うっとりと目を閉じそうになる。ひとの手の暖かさなんてしばらく忘れていた。それを啓介に求めてもいいのだろうか。
もりか @_molica_
@ts_p 「がんばってるおまえも好きだけど、おれを頼ってくれたらうれしいんだ」啓介の手が一瞬だけ頬をなぞって離れた。その手を追いかけたい衝動にかられて、ひとり顔を赤くする。「誰のためにがんばってたと思ってるんだ」心の声は口に出ていたらしい。啓介の困惑したような顔。
もりか @_molica_
@ts_p 「啓介に嫌われたくなくてがんばってるんだ。ちょっとは察しろ」そう言ったけど、啓介に頼ってもいいと思ったら胸がいっぱいになった。がんばり過ぎなくていい。そう言ってくれたのが啓介でよかった。啓介にもう一度髪をくしゃくしゃにされながら、俺は心からそう思った。
もりか @_molica_
@ts_p 投稿終了です。タイトルつけるのがすごく苦手なので「子猫を拾ったはなし(仮)」にしておきます。 
もりか @_molica_
@ts_p さてさて、自主トレ投下します。「子猫を拾ったはなし(仮)」二回目 #tknk
もりか @_molica_
@ts_p 遅い昼食兼おやつを啓介が仕入れに行っているあいだ、チビのお守りをする。チビは驚くほどおとなしかった。病院から寮に連れて帰るときには鳴いて暴れたが、部屋に入れてからはまったくといっていいほど泣き声をたてない。タオルケットの上で丸まったままかすかな寝息をたてているだけだ。
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コメント

クロミミ @kuromimigen 2010-09-10 22:51:05
もりかさんの自主トレ「子猫を拾ったはなし(仮)」をまとめました。ライトなBLです。
もりか @_molica_ 2010-12-12 04:34:39
「子猫を拾ったはなし(仮)」をトゥギャりました。
もりか @_molica_ 2010-12-24 04:53:43
子猫を拾ったはなし 最終章をトゥギャりました。
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