深夜ゲーム

ジョンス妄想 深夜ゲーム前編 1~20までまとめました
1
む う @non_nthng

1「ちょっとこっち来いよ」震えるあいつの瞳『…ぃ、ゃっ』小さく抵抗するけど分かってるよな?「あっ?口答えできるんだ」抑揚もつけずに冷たく一瞥すればビクッと体を震わせ、怯えたように近づいてくる『な…なに』「暇だからさ、これから遊ぼうよ」拒めるはずのないゲームの始まり… #深夜ゲーム

2013-04-14 12:40:08
む う @non_nthng

2『…っ』恐怖に下唇をぎゅっと噛む姿が堪らなく俺をそそる「したくないの?」『します…』にっこりと笑い頭を優しく撫でる。「いい子だね。」パッと視線を逸らす。手から感じるわずかな震え「何したい?」『ジョンスが…したいのでいい』「じゃぁ、かくれんぼな」あいつの瞳が揺れる #深夜ゲーム

2013-04-14 12:47:02
む う @non_nthng

3逃げられない…震える体を落ち着かせようと、両肘を掴む。怖い…笑った顔でさえ、自分を怯えさせるには充分だった。『かくれんぼ…』「俺隠れるから、お前鬼」私が鬼?いつもなら私が隠れるのに…不思議に思いながらも了承する「60数えてね」私を一人暗い部屋に残しゲームが始まる… #深夜ゲーム

2013-04-14 12:47:44
む う @non_nthng

4「探す時間は…3分だよ」ガチャンと扉が閉まった後に聞こえた声。3分なんて…広くもないこの家で隠れるところは限られる。それでも彼が何を考えているのか分からない『いち…に…さん…』涙まじりの声で数え始める。どうしよ…頭の中をぐるぐると回るある考え。ここから…逃れたい #深夜ゲーム

2013-04-14 12:48:34
む う @non_nthng

5ドクドクと速まっていく心臓。『さんじゅういち…さんじゅうに…』もはや、なんのカウントダウンをしているのか分からなくなる。いろんな思いが自分を苦しめ、気道が狭まっていく感覚。逃げ出すなら…今しかない。極限まで追いつめられた私に、明確な考えなどできるはずもなかった… #深夜ゲーム

2013-04-14 13:21:18
む う @non_nthng

6扉の方へゆっくりと歩き出す。ドアノブに伸ばした手がカタカタと恐怖を帯びていた。手首を掴み、大丈夫と自分に言い聞かす「ごじゅうきゅ…ろくじゅう…」ガチャッ…扉の音が想像以上に廊下に響き渡る。私の心臓の律動さえ聞こえてるのではないかと思うほど冷たく静まり返っていた… #深夜ゲーム

2013-04-14 13:21:40
む う @non_nthng

7歩みを進めるたびにギシギシと床の軋む音がする『どこ…』探すフリをしながら念のため一つ一つの部屋の扉を開ける。階段を降り玄関を目指した『こわい…』消え入りそうな声が小さな自分を押しつぶす。はあはあと息が荒くなっていく…あと少しで楽になれるから…小さな期待を抱きながら #深夜ゲーム

2013-04-14 21:18:40
む う @non_nthng

8玄関まで続く廊下が永遠に続いているような…気が遠くなる。あと…もうちょっと。焦る気持ちを抑え、できるだけ足音をさせないようにゆっくりと…時計の時を刻む音より速い自分の脈拍…緊張感のなか手にはじっとりと汗をかいている。もう時間がない…一度だけ何かを感じパッと振り返る #深夜ゲーム

2013-04-14 21:18:48
む う @non_nthng

9だ…大丈夫だよね。何かに追い詰められているとき人は全てのものに敏感になる。大きく一回深呼吸をし、足早に玄関へ向かい重い扉を開けた。久しぶりに全身で感じる外気『はぁ…』見上げれば煌々と星が輝く。無意識にガクガクと膝が震えていた…それにも構わず裸足で走り出していた #深夜ゲーム

2013-04-14 21:25:07
む う @non_nthng

10『あそこの曲がり角を曲がれば…大丈夫』お願いだから…!あと…すこしっ!後ろも振り返らずに走った。街灯に照らされる顔には、涼しさに反して冷や汗が滲んでいた。『はぁっ…はぁっ…』曲がり角に差し掛かり、曲がる方向に目を向ける。誰もいない道…車の通る音が耳に響く #深夜ゲーム

2013-04-14 21:25:26
む う @non_nthng

11一瞬背中を悪寒が走る…振り向いちゃ…だめ…。直感的に感じた。「おい、何してんだよ」いきなり声をかけられ息をのんだ。でもこの声…振り返れば口許を緩ませるヒチョルの姿『えっ?なんで?』「はっ、何でってコンビニの帰りだよ。お前なんだよその格好」一気に緊張の糸が切れた #深夜ゲーム

2013-04-14 23:51:25
む う @non_nthng

12『ひっ…ちょる…ふっ、』ずっと怖かった。ジョンスに会えばいつも恐怖しかなかった。彼は躾と言っていたけど…あれは…。「なんだよ急に泣くなよ」着ているジャケットをそっと肩にかけられ優しく抱き寄せられた。『ひちょるっ…。』こんなに生きた心地がするのは久しぶりだった… #深夜ゲーム

2013-04-15 19:27:52
む う @non_nthng

13「なんか良くわかんねーけど、もう大丈夫だから。」『…うん』安堵の涙が全てから解放されたことを表しているようだった。頭を優しく撫でられ、指で涙を拭ってくれるヒチョル。見上げれば目を細めて笑う彼…だんだんと距離が縮まり、ゆっくりと触れるだけのキスを落とされる… #深夜ゲーム

2013-04-15 19:28:08
む う @non_nthng

14「ふっ…。あはははは」いきなり笑い出す彼に驚きが隠せない。『な…なに?』「はい、俺のかーち。」不気味に口許が歪む。バサッと羽織っていたジャケットが落ちた『やだ…。なに?!勝ちってなに!』叫び声は一層冷たくなった空気に吸い込まれていった「何って…ゲームだよ」 #深夜ゲーム

2013-04-15 19:52:07
む う @non_nthng

15さっきまでの笑顔が消え、冷たく放たれた言葉「だから言っただろ、ジョンス!」「あーあ、負けちゃった…俺…信じてたんだけどなぁ」ヒチョルの視線の先を辿れば街灯に照らされ陰を帯びるジョンスの姿『なんっ…で…』ドクンと波打つ鼓動。反射的に体が反応し始める。息が…吸えない #深夜ゲーム

2013-04-15 19:52:47
む う @non_nthng

16さっきまで感じていた安堵感は微塵も残されていない。湧き上がってくるあの感覚。彼が…ジョンスが一歩近づくたびに言いようのない恐怖が私を包んでいった「躾…足りなかったみたいだね」笑窪を作り笑っている…その瞳に…光はない『…いや』私はただ…泳がされただけだったんだ… #深夜ゲーム

2013-04-15 19:53:12
む う @non_nthng

17「おい、怖がってるだろ」耳障りに笑いを含むヒチョルの声「仕方ない…もっと教え込まないとだめみたいだ」抑揚のない怒りを帯びたジョンスの声「まぁいい、賭けたもの今度な。じゃ、またね…」耳許で名前を囁き妖笑を浮かべヒチョルは遠ざかって行った。夜風が気味悪く背中を撫でる #深夜ゲーム

2013-04-15 19:53:28
む う @non_nthng

18「こっちおいで」首を横に振る。上手く体が動かない。はぁっとため息をつかれ「早く…俺の気が変わる前に来いよ」鋭く私に目を向ける。痺れを切らしこっちに近づいてくる。『こ…ない…で』言葉が喉で詰まりでてこない「ヒチョルの抱擁はどうだった?束の間の幸せは…どうだった?」 #深夜ゲーム

2013-04-15 23:15:09
む う @non_nthng

19『やめて…!』「キスは?してたでしょ…他の男に優しくされると許すんだ?」『いや…いやぁ!やめてっ!』両手で耳を塞ぎ叫ぶ。現実に引っ張り出され、暗闇に落ちていくようだった「答えろよ…」片腕を強く掴まれ耳から離される「まぁいいや、後で嫌でも吐き出してもらうし」 #深夜ゲーム

2013-04-15 23:15:27
む う @non_nthng

20いつの間にか夜空には雲がかかっていた…光はなく、人工的な光だけが二人を照らしていた。極限まで追い込まれ…そして…プツンと張っていた意識は途切れていった「あーあ、気失っちゃった。楽しみはさ、これからだよ?」ゲームの敗者は罰をうける。それがプレーヤー本人だとしても… #深夜ゲーム

2013-04-15 23:15:39